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トンニャン#44 太陽神アポロン

※この物語は、「阿修羅王」編、「アスタロト公爵」編の、本編です。
「アポロンの巻」のような意。話の位置は前回の「リリスの巻」の次、書籍化した「阿修羅王」の1~3話「力の神インドラ」「猿神ハヌマーン」「シッタルタ」(インドの神様編)の続きとなります。
なお、この物語で「現在」「今」という場合は「日本民族が滅びてから約1000年後」のこと。つまり、今から何千年後かの未来です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

「おにいさま、この先はここでは話せないわ。誰にも聞かれたくないの。一緒に来て」
チェリーはそう言うが早いか、もう外に飛び出し飛んでいた。
「おい、チェリー!」
アポロンはチェリーの後を追って、天上界を離れた。

チェリーがやって来たのは、トンニャンの作った異次元の球体だった。
「何だ、これは?」
「いいから、中に入って。ここなら、誰にも聞かれないわ」
チェリーは、中のロココ調のソファーにアポロンを座らせると、自分は向かい合った一人用の椅子に座った。

「・・・おにいさま、ブラックエンジェルを知っている?」
「・・・また、魔界の話か?」
アポロンは、さすがに不愉快そうに顔を歪めた。
「ブラックエンジェルが、堕天使になった理由は知っているでしょ?」
「天使長を誘惑した罪。誰でも知っている。それがどうした?」
「誘惑した天使長が誰か知っている?」
「いいや、誰かはわからなかったと聞いている」
チェリーは言いにくそうに、手を膝に置いて、そわそわと落ち着かないように軽く首を動かした。

アポロンは、妹の様子を見ながら、いぶかっていた。
そう言えば、久しぶりに会ったというのに、この妹は先ほどから質問ばかりだ。何が言いたくて、やって来たのだろう。しかも、こんな球体に急に連れて来て。
アポロンは可愛いだけのこの妹の真意が計りかねていた。

「あのね、おにいさま。ブラックエンジェルは、堕天使として墜とされる直前に、子供を生んでいたらしいの」
「子供を?そんな話しは聞いた事がないぞ。何故、そんなことをチェリーが知っているんだ?」
チェリーはためらいつつ、アポロンの顔色をうかがうように上目使いで口を開いた。
「トンニャンがね・・・。」
「また、トンニャンか!何の為にそんな事調べたんだ?」
チェリーは、どう説明したものか、考えあぐねているようだ。

「その事は説明しずらいわ。ごめんなさい。いつかちゃんと話すから。それより、続きを聞いて欲しいの」
アポロンは険しい顔のまま頷いた。
「私も最近知ったのよ。その子供なんだけど・・」
「子供は、どうなったんだ?」
「・・・四枚の翼を持っていたらしいの。でも、その翼を引きちぎられて、魔界に墜とされたの」
「四枚の翼・・・。その誘惑した天使長の子供なのか?」
「わからないわ。ブラックエンジェルには、好きだった上級天使もいたらしいから、その方の子供かもしれないし」
アポロンは、両手をソファーの上に置いているが、その拳はかすかに震えているように見える。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン#44 太陽神アポロン

※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。

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https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

※トンニャンが全部読めるマガジンはこちら
https://note.com/mizukiasuka/m/mf04f309d9dfc

次回トンニャン#45 太陽神アポロンへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n6ee47163416a

前回トンニャン#43 太陽神アポロンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n73ea787ef9b8

最初からトンニャン#1は
https://note.com/mizukiasuka/n/n2fc47081fc46

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