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エンドレスヒールⅡ-3.11 #2あさみの場合

2011年4月8日

「水月さん、夕べの地震 どうだった?」
職場に顔を出すなり、昨晩の震度6強の余震の話で持ちきりだ。

「うちは、前みたいに壊れた物は無かったよ。あれから、食器棚やサイドボードはガムテープで貼って、扉が開かないようにしているの。」
「そう、家具には良くないけど 仕方ないね。何でもなくて 良かった。電気は?」

「今朝 付いた。3月11日のより短かったし、予想されてたから復旧が早かったのかな?」
水月浅海(みずき あさみ)と書いてあるネームプレートを付ける。
朝の打ち合わせが始まる。

バイトの6人は、そろって事務所内に入った。
リーダーと呼ばれる上司が、全体打ち合わせをするので下の階に集まるようにと言うので、バイトだけでなく社員も階段で一階下に降りた。
他のの部署の人たちも神妙な顔をして並んでいる。

責任者が前に出た。
「今回、被害が前と比べ無かった人。」
浅海をはじめ、何人かが手を上げた。
「3月より、酷かった人。」
数人が手を上げた。
「今日は電気が復旧していないので、外からの明かりだけで作業します。くれぐれも無理をせず、気を付けるように。」
全員、ヘルメットをかぶって自分の部署、オープンの書棚に向かった。

半年のアルバイトとしてS県N市図書館に勤め始めたのは、4月1日。震災から三週間後のことだ。
採用は地震の当日午前中に決まっていて、市に出す書類を預かった日だった。
翌日、不安になり図書館の事務所に行ってみた。
「書類は、こんな時だから揃えられるものだけで良い。」
と言われ、本来必要書類の中でコピーするものもあったが、コンビニも開いていなかったので、後日本当に揃えられるものだけ持って行った。

そして始まった、図書館のバイト。しかし。最初は地震の整理。バラバラに入っている本を整理する仕事だった。
それは本当に地道な作業で、決まった並びで閉まってあるものを、震災時とり合えず棚に戻した本を順番にする、という気の遠くなる作業だった。

2011年6月2日(木)
続く

エンドレスヒールⅡ-3.11 あさみの場合#2

※私のペンネーム「水月あす薫(みずき あすか)」
最終出版の「炎の巫女/阿修羅王」に記しましたが、
十代の時、突然おりてきた名前「飛鳥薫」
このペンネームにしたかったのです。

でも、当時の出版社から、何故か(何故か、わかりません)
却下されて、「飛鳥薫」にできませんでした(?)
かなりの数のペンネームを考えましたが、最終的に
「水月あす薫」になりました。
でも・・・
まさか、12年前に書いた作品に「水月」という姓が出てくるとは!!
前にも書きましたが
「理科学実験室の女」の主人公「和美」(短編集「白龍抄」収録)
書籍「千に咲く」では名前が「美咲」
「エンドレスヒールⅠ」では「岬 和美」
この「エンドレスヒールⅡ」では「水月浅海(みずき あさみ)」
そして、書籍「駒草」では「岬 明純(みさき あすみ)」
自分でも、「はぁ~~~??」と、ため息の私です・・・・※

私は泣いていない。理屈で理解しても、感情では納得していない。
私はもう一生、大丈夫にもならないし、落ち着くこともないだろう。

次回エンドレスヒールⅡあさみの場合#3はこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n62ecb6c583af

前回 エンドレスヒールⅡあさみの場合#1 は こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n799a32079029


②エンドレスヒールⅡ あさみの場合 最初からはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n799a32079029

①エンドレスヒールⅠ 和美の場合 を最初から、まとめて読めるマガジンは、こちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921

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