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エンドレスヒール#66 -3.11

3月17日(木)震災7日目

水を運び、何日かぶりで携帯が充電されると、すぐに家に帰って着信を確かめた。
22通 メールがあり、どれも心配のメールだった。
携帯は すぐに圏外だったため、届かなかったメールがいちどきに届き、人によっては、悲鳴に近い形で安否を気遣うメールに頭が下がった。

すぐに返信し 無事を知らせると本当に喜んでくれた。
正直 親族の安否がわからない状態で、友人に安否を知らせるまで とても気が回らなかった。
せめて携帯が通じれば なんとかなったのだが、災害時の携帯の弱さには、便利さに慣れた今 とても不便に感じた。

また、ノアヒールのメーリングリストからもメールが入っており、創始者の須藤さんから

「ノアヒールのエネルギーは個人に送られるものなので、顔か名前がわかれば遠隔で送れる。TVなどに顔が映った時、その人に思いを伝えるように送れる」

とのメールがあった。

和美も、ノアヒールのメーリングリストへも、やっと充電できたことをメールし、全国の皆様からのエネルギーに感謝した。

やっと 友人宅で充電で来た その夜、この住宅地の最後の最後に電気が通じた。
残すは ガス のみとなったが、ガス局が損壊した状態で、ガスの見通しは立たなかった。

3月18日(金)震災8日目

3.11の震災から一週間が過ぎた。
昨夜 やっと電気が通じたが、テレビでは原発の話ばかりで、震災当時放映されたという 津波の様子は、すでになかなか放送されなかった。
実際に被災地にいる人間の方が情報がなく、本当の震災の深刻さは わかっていなかったかもしれない。

日本中が 大変なことになっていることは 新聞で想像がついたが、まだ本物の津波をみていない和美には、信じられないことではあった。
しかし、出来ることが何もないと感じていた和美も、TVに向かって避難所が映った時など、エネルギーボールを送れる、というのは勇気づけられた。
何か少しでも、という気持ちが働いた。

その日の夕方、隣の奥さんから電話が来た。
オール電化の家で、水と電気が通じたので、お風呂に入らないか、という御誘いだった。

毎日、体は拭いていたが、シャワーをあびたり、お風呂に入ることは出来なかった。
少し ためらった和美だったが、髪も洗いたかった。

「最後の 残り湯で良いので。」

と 話すと、だいたいの時間を指定してきたので、その時間に銭湯に行くように用意した。

実際に行くと、何人かは入っていたようだが、和美の後にも入る人がいるらしく、これは汚せない、いや、人さまの家なのだから、もちろん汚せないが、さらにきれいに使わなければ、と思った。
なにしろ 久しぶりのお風呂。湯舟に入る前に、お湯を汚さないように精一杯 きれいにした。
湯船も さらっと入り、すぐに上がった。

「もう 上がったの?ゆっくり入ってくれれば良いのに。」
「いえ、充分です。ありがとうございます。」

体中を洗えて、シャワーを浴びることができて、湯船につかれた。
それ以上、何を望むというのだろう。

一週間ぶりの お風呂だった。

2011年22日(日)

エンドレスヒール#66 -3.11

私は泣いていない。理屈で理解しても、感情では納得していない。
私はもう一生、大丈夫にもならないし、落ち着くこともないだろう。

次回 エンドレスヒール#67 へ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n9286dfad4357

前回 エンドレスヒール#65 は こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/nfd66a0452eff



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https://note.com/mizukiasuka/m/m3589ceb09921

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