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トンニャン過去編#74 アリス・ジョージャス(原題「ファイヤーバード」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「ファイヤーバードの巻」の次。「アリスの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです。

魔性のものは脂汗を拭った。
「と・・・とんでもねえ」
「だったらさっさと出てお行き」
魔性のものはすばやくその身を消した。その瞬間、眠っていたアリスの顔が赤みを帯びてきた。
「ありがとう。ブラックエンジェル」
「あんたの役に立てて、嬉しいよ」
「チェリーが家の前にいるわ。会って行く?」
ブラックエンジェルは少し顔を伏せた。何かを考えているようだったが、やがてゆっくりとうなずいた。それから彼女は、大きな鳥から下りると、コーラの肩に手をかけた。コーラはニッコリと笑うと、家の外に出る為、歩き出した。
 
 
外では、チェリーが十人の人間を守っていた。
「チェリー、終わったわ」
コーラはチェリーに近づいてゆく。
「誰?」
チェリーはコーラの後ろに立っている女を見ている。
「ブラックエンジェルよ」
ブラックエンジェルは目を伏せたままだ。
「そう・・・あなたが。話には聞いてます」
チェリーは、そう言った後、思いついたように中の様子を聞いた。
「もう・・・大丈夫なのね?皆を自宅に帰してもいいわね?」
 
まわりが急に明るくなった。
「夜明けだ!」
ブラックエンジェルが、はじかれたように顔を上げる。
「違う。あれを見て」
コーラの指差す方向に、真っ赤に燃える一羽の鳥が飛んでいる。
「ブラックエンジェル、この間もあのファイヤーバードのせいなの」
「どうでもいいけど、明るすぎてたまんないよ」
 
ファイヤーバードはかすかにくちばしを動かした。
「ブラックエンジェル、愚かな女。そんな事だから、天上界を追われたんだ」
ファイヤーバードの言い草に、さすがのブラックエンジェルも体中が熱くなるのを感じた。
「それそれ。カッカッしてるから、あなどられるのだ」
ファイヤーバードは旋回しながら、アリスの家の屋根に止まった。鳥の暑さに耐えかねて、さっきの魔性のものが家の中から飛び出してきた。
「おまえ・・・まだいたのかい!よくも私に恥をかかせてくれたね!」
ブラックエンジェルは、魔性のものの首根っこを捕まえて、大きな鳥に飛び乗った。
「ミスは認める。こいつがまだ家の中にいる事を見抜けなかった。だが、覚えておきな。私がこうなったのは、チェリー、あんたも全く関係ないわけじゃないんだよ」
ブラックエンジェルはチェリーを指差すと、魔性のものを捕らえたまま飛び去った。
 
ファイヤーバードは、ゆっくりとチェリーのもとに飛んで来て、気を失っているトーニ達をすくい上げた。
「わたしが、家まで送り届けましょう」
そして、静かにどこかへ飛んで行ってしまった。
チェリーとコーラは、残されたアリスの両親と家政婦を、そっと家の中に戻した。そして、何事もなかったように眠るアリスを見て、ほっと胸をなでおろすのだった。

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#74 アリス・ジョージャス(原題「ファイヤーバード」)

※2006年頃から再開したトンニャンシリーズによると、ブラックエンジェルは記憶を操作されたことになっています。
本日のお話、この時、ブラックエンジェルの過去を詳細に設定していたわけではない子供の私は、かなり危ないセリフを言わせております。
つじつま、という意味では、かなりギリ。いやぁ~~~我ながら、汗かくわぁ~~~💦
「夜の女王ブラックエンジェル」こちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n1291fee2479a?magazine_key=mf04f309d9dfc

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次回トンニャン過去編#75 アリス・ジョージャスへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/n5f2e87335d11

前回トンニャン過去編#73 アリス・ジョージャスはこちらから
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■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d

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https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024

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