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トンニャン過去編#49 ビリー・グレープ(原題「フェニックス」)

※この物語は「阿修羅王」編・「アスタロト公爵」編の本編であり、さらに昔1970年代に描いたものを、2006年頃に記録のためにPCに打ち込んでデータ化したものです。
話の位置は「エレンの巻」(原題「天使チェリー」最終話)の次。「ビリーの巻」のような意です。
また、特定の宗教とは何の関係もないフィクションです

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「トンニャン、久しぶりだな。・・・コーラのことか?」
トンニャンはルシファーの城に来ていた。その姿は、少女ではない。
「ルシファー、頼みがある」
 
「それは・・・しかし・・・」
「必要な事だと思うんだ。彼女には」
ルシファーは黙ってうなずいた。

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コーラはマジックのサークルに入った。校内で発表の機会は意外に早く訪れた。
コーラ達がいなかった夏休み、ミスター・ディック・ガンとミス・ボニー・ザートが結婚したのだ。
ミス・ザート・・・いや、ミセス・ボニー・ガンは、当面仕事を続けるはずだったが、妊娠により学期途中で退職することになった。
その送別パーティーに、出し物としてマジックサークルも参加することになったのだ。
 
「ねえ、いいでしょ?人が足りないのよ。大掛かりなマジックで、皆をあっと言わせたいの。協力してよ」
コーラは三人で住むマンションでチェリーとトンニャンを説得している。
トンニャンはブラックコーヒーを飲みながら、無言だ。
「コーラ、協力するのはいいわ。でも、その胴体切りなんて、本格的すぎない?」
「だから、やりがいがあるのよ。お願い!トンニャンも、いいでしょう?」
ブラックコーヒーを飲み干して、トンニャンがカップをテーブルに置いた。
「いいわよ。ただし、その胴体切り、メインは私で。切られる役は、コーラ、あなたよ」
 
 ***
「チェリー、心配な事があるの」
珍しくルーシーからの呼び出しだ。
「フィリップが言ってたのよ」
最近ルーシーは、よくフィリップと会うらしい。
「フィリップは、五年のピエール・オーギュスタンといとこなんですって。そのピエールは、アリス・ジョージャスと仲がいいらしいんだけど・・・」
「?」

「アリスは去年からコーラと一緒にいる事が多くて、コーラの行動に不審感を持っていたみたい。
それで、コーラ、チェリー、トンニャンの三人は、普通じゃないって言ったんだって。
ピエールはもともとスピリチュアル好きで、そういうのに惹かれるところがあって、アリスと二人で、三人の正体を探る事になったの」
「正体?」

ルーシーは下を向いたまま、チェリーに話しかける。
「私はね、チェリー。あなたが誰でもかまわない。いや、むしろ本当に天使だとしても驚かないわ。
だって、私は、あなたのその天使の心に救われたんだもの。それに、あなたが誰でも、私達が友達である事に変わりはないでしょう」
チェリーは、この世界で信頼にたる友人を得たことに感謝した。
「ルーシー、ありがとう」

続く
ありがとうございましたm(__)m

トンニャン過去編#49 ビリー・グレープ(原題「フェニックス」)


※トンニャンシリーズの「〇〇の巻」noteなら、ほぼ五回。
これから時間のある時に、一挙に五話アップします。
たまにしかアップできないので、お時間のある時、ゆっくり一話ずつ読んでくださると嬉しいです。

【「炎の巫女」全国配本書店名110店舗はこちら
https://note.com/mizukiasuka/n/ne4fee4aa9556 】

 ※トンニャン過去編 全部読めるマガジンはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/m/me347e21d7024

次回トンニャン過去編#50 ビリー・グレープへ続く
https://note.com/mizukiasuka/n/ne458e0a0e0aa

前回トンニャン過去編#48 ビリーグレープはこちらから
https://note.com/mizukiasuka/n/n4bb909f7eaab

■トンニャン過去編#1最初から
https://note.com/mizukiasuka/n/n32aa2f7dc91d


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