エンドレスヒールⅡ-3.11　＃36あさみの場合

2023年7月7日 10:13

2011年3月　震災後、福祉施設に勤めている時のこと

何度か職場に　信号の付かないバイパスを行ってみたが、そのたび休みだった。
２度ほど　行ってみて数日後、電話・電気・水が復旧したころ、職場から電話が来た。

送迎のバスのガソリンが確保できないため　２週間は待機だと言う。
出勤は３月２８日（月）と決まった。

浅海が、短期パートを終える４日前。
あと　たった４日しか　利用者さんといられない。
こんな終わり方とは。
きちんと最後の一ヶ月　働きたかった。

せっかく得た　ヘルパーという資格を充分に生かしきりたかった。
しかし、これもめぐり合わせなのか。

まさかの　震災。
職員にも　利用者さんにも　被害が無かったのが、せめてもの幸いだった。

職場から電話が来たのは、電気が通じた　震災から一週間ほど過ぎた時だった。
まだまだ　生きるのに精いっぱい。
しかし、やっと携帯も通じて、家族だけでなく心配して下さった　たくさんの方たちに　早速　無事メール　お礼メールを出した。

直後　電話が来た。

昔からの長い友人だ。

福島の原発が　ＴＶや新聞発表より深刻なので　注意すべきことを　教えくれた。
長年信頼していた友人なので　浅海は一も二もなく信じた。
もし、知らせたい人がいたら、注意だけでもするように言った方がいい　と、付け加えてくれた。

確信の無い中、浅海が信じているとはいえ　メールで流すとなると、文章は考えなければならない。
人によってはチェーンメールと誤解するかもしれない。

「何人かに送るように」などという　チェーンメールの文言はいらない。
なんだ　かんだ　と説明もいらない。
新聞報道もあるのだから、注意した方がいい。

注意事項を　簡潔に列記するのは　どうだろう。
後は、大人の判断、大人の対応を期待するしかない。
信じる　信じないは　その人しだいなのだから。

原発注意メール

『皆様、ご無事ですか？
私は無事です。携帯が充電できて　やっと繋がりました。

ありがとうございます。
友人から電話があった情報です。

※放射能もれ　に　ついて
テレビ報道より事態は深刻です。

①ここ　二～三日は　外出を控える。
②どうしても出る時は、雨合羽・マスク・長靴を使用。家に入る前に　外で脱ぐ。
③もし、雨にあたったりしたら、水で良いので流水で流す。

皆様　お互いに　ご無事で！』

短く簡潔に　注意事項を列記したはずだった　原発注意メール。
地震後　３・４ヶ月たった時、これを読んで　『おかしい』と　思うだろうか。
単純な　注意メールだ。

残念ながら、二～三日では、済まなかったが・・・。
さらに　この注意事項だけでは終わらなかったが・・・。

しかし、未曽有の大震災という　混乱のさ中　このメールが大きく浅海の運命を変えてゆく。

２０１１年７月６日（水）
続く