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鮨 桂太

2018/11/27  追記
ミシュラン1つ星獲得おめでとうございます。これで予約が取りづらくなりそうですね。
実は桂太大将とは訪問前に2度お逢いしていて、1度目が鮨太一、2度目がてんぷら下村のカウンターなんですよね〜。たまたまその日のその時間にいたのが、桂太のご夫妻だけでして。その下村さんもこの度、桂太さんに並んで1つ星を獲得されて。いやはやめでたく、なんとも奇妙な。

11月の東京滞在にて、オープン後から気になっていた鮨 桂太さんを訪問しました。というのも、こちらの大将は過去noteの「カデカワが勧める東京の通いたくなる店」でも紹介しているお気に入りのお鮨屋さん、太一のご出身で、わたしも太一時代に一度お目にかかったことがあったからです。初訪問のとき、太一さんが「こいつ、もうすぐ独立するんですよ。行ってやってください」と客に話していたのを覚えています。

今回の予約はランチで、握りお任せ1万のコース。

以下、内容と感想です。

ガリ
絡めでスッキリ系。薄く切って指でまとめ、山の形にして出している(ので、箸でほぐす必要があり若干たべづらさはあるが、おいしいので特に問題なし)

シャリ
ガリ同様、酢がピンと立っている。

1貫目 ヅケ
マグロは定番ですね。筆でしょうゆを塗りますが、こちらで使われているお醤油、とっても優しい!めずらしいくらいに優しいお味です。店によっては、出された時点で醤油の味や香りが強すぎる、ってこともあるので、これはうれしい。
ヅケの食感はぬるっとしており、実際以上に肉厚に感じさせる。しかし寝かせすぎている感じもなく、適度にあっさりとした新鮮さを残していて好感がある。それによって、余韻はありつつも終わり方がすっきりとしている。手に取った瞬間の、鼻に抜ける香りも良い。

2貫目 中トロ
さきほどのヅケよりもさらにネタにとろみがある。とろ〜ん、にゅるん。とした食感はかなり上手い演出なのだが、シャリの硬さがやや目立ち、ネタとシャリの硬さのバランスが問われる。あえてやっているのかもしれないので、あまり言えないが。

3貫目 小肌
すき。ネタが他に比べて温かかったように思う。

4貫目 イクラ
個人的にはテンションの上がらないネタの1つなのだが、これはよかったなあ。おいしかった。粒が大きく、しっかり甘い。甘いのだが、その甘さのトーンが強すぎず、海苔の旨味と塩味が後半で広がってくる。このネタでは中トロとは打って変わって、シャリの存在をさほど感じなかった。わさびは割と入っているわりに辛味はない。(個人的にカウンター鮨では辛味のないわさびが好きです)

5貫目 アイナメ
とても印象深いネタだった。すごい好きなタイプの仕込み。いや仕込みの過程までわかりませんが。
淡白なんだけど、奥にはちゃんと味があるタイプで、口にいれてすぐに感じられる綺麗で薄い「味」がスーっと横に伸びつつ、すこしずつ上がってくるイメージ。長くて、低い線。

ここで、シャリには多少の苦味もあるのかも?と感じる。

6貫目 鯖
身のグラデーションがうつくしい。おいしいのだが(そりゃ旬の鯖だしね)、味の曲線と食感には探求の余地がありそう。相変わらずいい香り。シャリと醤油の相乗効果かなあ。

7貫目 車海老
視界の端でずっと尻尾をバタつかせながら茹でられていた車海老さんたち。大きいです。今回いただいたなかでは、もっともシャリとのフィット率が高かったと思う。すごく相性がよかった。もう1貫食べたくなった。

8貫目 秋刀魚
旬もの……といいたくなるけど、秋刀魚の旬って短くいんですよね、たしか。グーグル先生によれば9〜10月が旬らしく、11月からは脂が少なくなってくるそうです。実際どうなんだろう。
こちらもシャリとネタの相性がよかったのですが、後半になると秋刀魚のもっている生臭みが多少シャリとぶつかる感覚があったので、薬味(生姜、ネギ)や大葉を挟んでもいいような気がしました。そういえば桂太さんは薬味をあまり使わないスタイルですね。好きです。

9貫目 墨烏賊(すみいか)
水分の抜けた寝かしイカ。まあ、寝かせてないフレッシュなイカのほうが珍しい気がしますが。粗めの塩をのせて出される。塩と寝かしたイカだと、ふつう甘さがグッとくるような気がするが、これは食感で食べさせてくる感じ。すだちも絞ってました。

10貫目 蛤(はまぐり)
甘い〜!けど、煮詰め醤油がかかっているわけでもなく、他所と比べればあっさりとした味つけ。これで食べせてくるの、なかなかすごい気もする。

11貫目 生ウニ
函館のバフンウニ(板)。こちらの醤油とめちゃくちゃに相性がよく、おいしさ倍増でした。イクラ同様、チート系のネタをしっかり個性をだしておいしく食べさせてくれる桂太さん、すばらしすぎる。

12貫目 カツオ
覚えてない。

13貫目 ヤリイカ
スミイカとは対照的に、味で食べさせてくるネタ。ここにきて柚子が初登場。

14貫目 シマアジ
結構フレッシュめ。すんごい浅かった(味が)なんだけど、ネタの流れを考えると、これくらい静かな1貫を挟んだほうが総体としておいしいのかも。

15貫目 青柳(アオヤギ)
ぎゃん旨い。貝類だいすき。絶妙な磯臭さ(笑)がさらに美味しさを引き立ててくる感じがありますよね、貝。だいすき。

16貫目 カワハギ
目ネギと肝入り。肝がとろとろで、少しだけ甘くていい。

17貫目 赤貝
珍しいタイプの味付けだな〜。どのネタを食べていても。突飛でこそないものの個性のある出し方で、自分なりの考えのもとで作られてるのだろうなあ、と思わされるものがある。これもまた薄味で、それゆえというかM若干海の味()が強いように感じましたね、はい。

18貫目 アナゴ
わたしのだいすきなネタであり、どこで食べても外れないネタである。ツメなしで食感はほわほわ系で、皮目を強く焼くなどはせず均一な食感。

19貫目 玉子
最後の最後で予想以上のものがでてきた。と、とろけた……っ。

お任せは以上でした。お酒は頼んでいないので、きっちり1万800円。

総評としましては、薄い。薄いっていうのは、素材の良さを活かそうと四苦八苦している証拠でもあるような気がします。もちろん、味のバランスが取れていない薄さというのはだめなので、あくまで一般的な味付けと比較したときの、相対的な薄さの話ですね。8割のネタに塗っていた醤油そのものの薄さや、柑橘や塩などをほとんど使わなかった点においても、引き算で素材を活かした鮨を目指しているのかな、と感じました。この方向性と味付け、わたしはとても好きです。

鮨 桂太さん、これからますます美味しくなってくのではないかなあ。予約もまだまだ取りやすいし、おすすめです。

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