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春に向かって(詩)

喫茶店で口喧嘩していると
店のマスターがペンキを持ってやってきた
口下手なマスターは壁の焦げ茶色を
水色とピンク色に塗り分けた
僕は喧嘩するのも馬鹿馬鹿しくなり
空のような水色と桜のようなピンク色の
境界線を散歩しようと君に言った
君の手は羽のように軽くて
逃げないように
それでも壊さないように
慌てないように
それでも落ち着きすぎないように
そっと包むように
それでも温もりを感じられるように
僕は君を春へ連れて行く

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