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筒井康隆『旅のラゴス』読了

いろいろな方がポストされていたので、手にした本。

筒井康隆がSF作家なのはもちろんだが、昔、『狂気の沙汰も金次第』や『おれに関する噂』、『男たちのかいた絵』を読み、エログロドタバタ喜劇の作家というイメージがついていた。そして最近『ロートレック荘事件』を読んで、本格推理も書くのかと驚いていたのだが、『旅のラゴス』は初めて読んだ筒井康隆のSF作品となる。

ラゴスという主人公の旅の物語で、SF的なところもあるが、私には純愛物語に感じてしまった。愛する女性に会うために死の旅に出る場面で終わるところがそれを象徴している。著者を知らないで読めば、筒井康隆とはたぶん気づかなかっただろう。(そんなにたくさん読んでいないから?)

超進歩した社会が一度原始時代に戻るという発想は、地球温暖化により人類が今のように便利な社会では暮らせなくなるのではないか、原始時代に戻らなければ人類は滅亡するのではないか、ということを考えていた私にとっては新しいものではなかったが、著者のテーマの中にもしそのような意図があったとしたら、その先見の明には恐れ入る。

まあ、あまりゴタゴタ考えずに気楽に読んだほうが楽しめるに違いない。

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