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パートナーアライアンス部門は、経営/事業責任者への登竜門。営業出身者だから見える景色。

初めまして!LayerXでアライアンス責任者を務めております水野(@mizuno19x)と申します。最近は寝ても覚めても、"すべての経済活動をデジタル化したい"と考えています。

本記事は、パートナーサクセス社主催のアドベントカレンダーです。
この度は貴重な機会をいただきましてありがとうございます。アドベントカレンダーのリンクはこちら

アライアンス部門立上げ時に諸先輩方々に大変お世話になりましたので、少しでも還元出来る様に今回弊社からmikachu_san(藤木さん)と2名参加させていたただいています。2日間連続となりますが、お付き合いください!


0. はじめに


年末も近付いていますので、今回はLayerXのパートナービジネス立上げ経験を棚卸しをすると共にパートナーセールスという職種の魅力について発信をしていければと考えています。

0-1. 自己紹介


冒頭に簡単に自己紹介をさせていただきます。
この後の最も伝えたい主題の一つに関わりますので、ざっくりと営業畑のキャリアで一児の父という点だけ覚えていただけますと幸いです。

1. 経歴:
 ・2015年 グルメ媒体運営会社にて飛び込み営業を担当。
 ・2016年 旅行会社にて法人営業/PMを担当。
 ・2018年 人材会社にて新規事業/子会社立上げにて営業を担当。
 ・2020年 同社営業マネジメントを担当。
 ・2021年 LayerXに入社。
       - バクラク事業立ち上げ期に営業を担当。
       - その後、アライアンス部門の立上げ及び責任者を担当。
2. 特徴:
 ・事業を伸ばす為に何でもやる人
 ・難しい方が面白いと思っている
 ・ジョブグラム:知識をつけるのが生きがいで好奇心旺盛な、行動超人タイプ

0-2. 要約


本記事は本来2点に分けて公開するべき内容を、伝えたい想いを込め過ぎたことにより、7,000文字以上と若干長い文章となっています。目次を細かく切っているので、興味のあるテーマのみ、また本当に時間が無い人は、以下の要約のみご確認ください。mm

本記事では、パートナーサクセス社主催のアドベントカレンダーに寄稿したLayerXのアライアンス責任者、水野の考えを紹介します。

水野は"すべての経済活動をデジタル化したい"という強い意志を持っており、そのビジョンを実現するためにはパートナーシップが重要だと考えています。その理由として、パートナーシップが企業のビジネス成長を加速させることができ、また自社の製品やサービスをより多くの顧客に届ける手段となるからです。

この記事では、LayerXのパートナービジネス立上げ経験を共有し、パートナーセールスという職種の魅力について語っています。パートナーセールスは「1人the Model」の総合格闘技であり、幅広い知識と戦略思考が求められます。また、パートナーセールスは社外の経営レイヤーとの関わりを増やし、経営視点での思考や意思決定の機会を提供します。

また、パートナーセールスはビジネスの非連続成長を実現する可能性を秘めています。しかし、そのためには足元の連続成長の実現が不可欠であり、そのためには特定の業種にフォーカスし、有効なパートナーシップを築くことが重要です。

更に、パートナーセールスは、経営者や事業責任者を目指す人々にとって、経営や事業の模擬体験ができる貴重な機会を提供します。具体的なビジネスの課題解決から、戦略的な視点での事業全体の検討まで、幅広い経験を積むことができます。

最後に、パートナーセールスは、自社のビジネスだけでなく、パートナー企業のビジネスにも深く関与するため、パートナーサクセスを追求することが求められます。これは、自社のビジネスとパートナー企業のビジネスが共に成功することで、より大きな成果を生むという考え方に基づいています。

以上、水野の考えと経験を通じて、パートナーセールスとは何か、その魅力とは何かを理解していただければ幸いです。

Notion AIによる秀逸な要約

1. LayerX/バクラクのアライアンスとは

1-1. ミッション・ビジョン


LayerX及びバクラクの紹介は本記事では割愛して、弊社代表福島の記事に任せることにします。

当社アライアンスグループのミッションは「アライアンスを通して、バクラクの"提供価値"を最大化する」、またビジョンとしては、以下3点の「事業イシューを解決して、SOM/SAM/TAMの拡大に貢献する」と掲げています。

私達は良いプロダクトを開発して、特定顧客のペインを解決することは可能ですが、一方で速やかにより多くの顧客へ届け切る、ペインの解決からゲインの獲得に昇華するという点においてはスタートアップのソフトウェアベンダーならでは難しさがあると考えています。このGapをパートナーと協働をすることで解決することを構想しています。

私がアライアンスにbetすることを自己決定したのは、3年後の未来から逆算した時に、パートナーと協働することによってバクラクの"提供価値"最大化に繋がると考えた為です。


1-2. 数字で見る


バクラクは、約2.5年で6つサービスをリリースしており、お陰様でSaaSの成長モデルである「T2D3」を大きく超える成長率で事業拡大を続けています。また法人カード事業も、年初比の10倍と成長を遂げております。

その中でアライアンスグループは、直近1.5年で事業は10倍、組織は約5倍(3名 - > 15名)と急成長/急拡大をしています。
また事業の最注力イシューの一つとして、会社からの期待及び重要度が上がり、来年より部格に昇格することになりました。

大型資金調達のリリース等を見て、ありがたいことに当社の存在を知って頂き、「勢いがあるね。資本力があって羨ましい。」と言って頂くことが増えましたが、個人的にはアライアンス部門の立ち上げは正に生きるか死ぬかの闘いだったなと振り返って思っています。

2. アライアンス部門の立上げ1.5年を振り返る


私達は駆け出しの挑戦者です。また各社から勉強させていただいておりますが、其々の思想や色があり、正解が無いのがパートナービジネスの面白いポイントだと考えていますので、あくまで一つの例として捉えて頂けますと幸いです。

尚、読み進めていただく前に前提を補足しておきますと、当社においてパートナーアライアンス部門は事業を最短距離で伸ばす上で欠かせないピースとして、現場の"意思"で発足をしています。
(象徴するエピソードとして、mikachu_sanこと藤木はポジションが開いていない状態にも関わらず、パートナーサクセスとして応募してきた猛者ですw)

2-0. 2次情報を調べ尽くし、1次情報を獲りに行く


私はパートナービジネス未経験からスタートしています。「しきり?でぃすとり?」というレベルでした。

まずはパートナービジネス及びパートナーの事業解像度を上げる為に最初のアクションとしては、ネット、X(twitter)、note、決算資料、書籍、Podcast等にて情報を調べ尽くしました。パートナーサクセス社の記事は勉強になるものばかりで、いつも参考とさせていただいております。

SaaS×パートナービジネスの先輩企業10社以上ヒアリング

また加えて、note等を拝見したパートナービジネス歴代の猛者達にX(twitter)やFacebookにて凸らせていただき、立上げエピソードや評価指標・体制のヒアリング及び当社のパートナービジネスに対する壁打ちの機会をいただきました。今も飲みながら壁打ちをいただく関係性に繋がっている方々もおり、飛び込んで良かったなと思っています。当時ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。

2-1. パートナーポートフォリオをプロットする


さて、アライアンス部門立上げの際にまず着手したのは、自社の事業イシューをマッピングする事です。弊社はコンパウンドスタートアップで半年に一度プロダクトをリリースすることを意思決定しているので、断続的にプロダクトのPMF>GTM>グロースというフェーズが訪れます。
その中で各プロダクトにおいて、PMF進捗に差分が発生していたり、そのボトルネックとなっている指標が存在します。
それらのイシューを具体的にどのようなパートナーとアライアンスを推進する事で、解決出来そうかを一覧化して、事業インパクト×時間軸で整理しました。
その際に意識をしたポイントとしては、ネットの情報や業界本等を参考にしながら、パートナーの市場環境を調査し、当社と組む理由があるかという仮説を一緒に立てたことです。

モザイクを掛けたら何も伝わらない図


パートナー候補約100社以上と面談を実施

更に仮説の精度及びパートナーの事業解像度を上げる為に、アウトバウンド/リファラル/展示会等にて新規パートナー候補との面談機会を設定し、以下の内容を中心にヒアリング及び提案を実施しました。抽象と具体を行き来しながら、解像度を上げてアライアンス成功確度を確かめにいきました。

  • パートナーの事業における重要指標/イシュー

  • パートナーの事業の今後の動向

    • 対面の方&現場の方々の目標設計

  • パートナーの顧客の特徴


パートナーの現地に訪問する

また解像度を上げる上で最も有効なのが、既存パートナーの現地に訪問することです。(個人的な好みもありますが訪問後、会食でお酒を酌み交わすことが出来るとベストです。尚、私は1杯程しかお酒が飲めませんw)
オンラインでは、限られた情報しか取れない場面が多いですが、オフラインだと圧倒的に取れる情報量と現場で見たからこそ受け取り方が異なります。

  • 何故、バクラクを取り扱いいただいているのか。

  • 何故、競合ではなくバクラクをお勧めいただいたのか。

  • 実際に顧客へ提案をして反応としてはどうだったか。

  • バクラク/もしくはアライアンスの取り組みに対する期待/本気度。

2-2. 連続成長にフォーカスする


各パートナーの解像度が上がったところで、選択と集中を迫られる場面が訪れます。
各社1~3名程でパートナービジネスをスタートすることが多いと思いますが、限られたリソースを何処に貼るのか。というのが立ち上げる上で最も重要な問いだと考えています。

"非連続成長を実現するアライアンス"という虚像

誤解を与えぬよう予め言及をしますが、アライアンスが事業の非連続成長を実現することは事実だと思っています。一方でアライアンス部門が足元の連続成長の実現をしなくて良いのかというとダウトだと考えています。

特に私達のようなスタートアップは、狙っているマーケットを速やかに獲得しきることで勝敗が決まります。故にムーンショットの事業計画を掲げて、優先順位付けをしながら限られた資本をアロケーションをしています。
投資判断をする上で足元の事業インパクト×確からしさが重要となるので、まずは小さく速やかに見通せる変数を作る必要があります。

また私自身の信念でもありますが、連続成長を実現し続けられる人や組織に、非連続成長が実現出来ると考えています。
最終的に私達は非連続成長のドライバーとなる為に、足元~6ヶ月の時間軸でfactとして成果の出ている特定業種にフォーカスする意思決定をしました。

意思を持って"No"と言う勇気

アライアンスは事業戦略の一つで、考え出すと複数のアイデアが湧いてくる非常に面白い分野です。
一方でよくあるアンチパターンとして、パートナーを主語として考える視点が欠けていることで、契約締結した後に成果が上がらない事例だと思います。
結果が出始めたタイミングで、ありがたいことに経営チームをはじめ各方面よりアライアンスのお話をいただきました。但し、私達としては、パートナーがヒトを1名貼る程のメリットを提案出来ない場合は、双方にとって不幸を招くのでやらないと伝え続けました。
"NoじゃなきゃGo"という文化が浸透している当社において、"No"と言い続ける異質な集団に映っていたと思います。

2-3. 社内各部門の評価指標に貢献する


パートナービジネスは、直販the Modelと様々な前提やルールが異なります。the Modelは効率性を追求して成果最大化を目指す体制ですが、パートナービジネスは時にパートナーへgiveを続けてtakeを得るというBS的な思考回路が必要な場面が多々あります。その差分を社内各部門に理解いただかないとパートナーセールスの努力が水の泡になってしまう危険性がありました。

各部門に貢献するパートナープログラムの設計

ちょうど、SaaSの営業組織が所謂分業制になっているに対して、世に出回っているパートナープログラムは「紹介取次/再販」とパートナーに対して契約までのコミットメントを求めることが多く、以下の仮説を持っていたのもあって、各部門の成果及び生産性指標に貢献するパートナープログラムを設計しました。

  • パートナーのビジネスモデルに対して適正化されていないのでは?

  • 業務難易度を上げてしまっているのでは?

想定通り各パートナーから取り組みやすいというお声を頂戴し、比較的短期間でコミットをいただける企業様が増えた印象です。

またお陰様で社内における理解も徐々に浸透してきたことを実感しております。更に今やthe Modelの各部門(MK/IS/FS/CS/Ops)がアライアンスグループに協力をしてくれる体制となっています。私達は各部門に貢献するスタンスであり続けていければと考えております。

仮に今から立ち上げるとしたら。
プロセスチェンジやもう少し早いタイミングで仕掛けられたなという反省は多々ありますが、大枠の方向性は間違っていなかったなと考えています。

ようやくアライアンスの本領を発揮する土壌が整いました。
ここからまたフェーズを変えて、更に加速をさせていければと考えています。TAMから逆算をした大型アライアンス、テックドリブンなオペレーショナル・エクセレンスの実現等、大きな挑戦を仕掛けていきます。

3. "パートナーセールス"という職種の魅力を語る


実はこのテーマが最も伝えたい内容です。
パートナーセールスって「何をやっているか分からない、おっさんが多いよね。」という声をよく聞きます。私もおっさんの1人ですが、パートナーセールスの経験だけで見ると1.5年と若手です。この1.5年で好奇心を満たす楽しさと想像以上の成長を実感しています。個人的には、変数が多く、難易度が高いからこそ、事業責任者もしくは経営に登りたい人は、"パートナーセールス"を選択するべきだと考えています。

また新卒/第二新卒でもチャレンジが出来る職種だと考えていて、パートナーセールスを経て会社の中核人材として育っていく若手のロールモデルを作るのが、この会社でやりたい事の一つです。

パートナーセールスという職種の魅力はより多くの人に届くべきだと考えているので、木村さん・中原さんnoteに重ねて想いを綴っていきます。


3-1. 経営者/事業家の模擬体験が出来る


パートナーサクセスの理想とは、パートナーの「経営に資すること」だと私は考えています。自社の製品をパートナーに販売いただくという範囲だけの思考ではなく、パートナーの事業成長にコミットして、結果的に自社製品が成長ドライバーになっているくらいの状態が望ましいと考えています。パートナーの経営/事業視座で本気で考え抜いて、イシューを特定し、解決に向けてアクションが出来ることが本質的なgiveの精神だと解釈しています。

一般的な会社員が経営者/事業責任者のポストを目指そうとすると、信頼残高を積み重ねて、数少ない切符を勝ち取ることでしか、得ることの出来ない機会だと思います。一方で自分の意識/水準を上げることで模擬体験が出来る機会が転がっているのが、パートナーセールスの魅力だと思います。

尚、戦友である事業開発部責任者の諏訪は、パートナー先へ出向をして、経営コンサルタントと呼ばれるくらい、営業手法/評価制度/採用戦略/若手キャリアパス等、幅広い経営課題に切り込んで絶大な信頼を勝ち取っています。


3-2. 社外に戦友が出来る


個人的な考え方ですが"成長"に対して最も影響する変数は、"環境"だと思っています。アメリカの起業家ジム・ローンの「自分の周りの5人を平均すると自分になる」という有名な言葉があります。普通に会社員をやっていると、自然と社内チームと関わる時間が大半を占めると思います。一方でパートナーセールスの場合、関わる人の範囲が社外に拡がります。

私自身は多くの時間をご一緒する人が、パートナーの経営陣 & 同じくパートナービジネスの立上げに奮闘しているSaaSベンダーの責任者の方等、社外経営レイヤーにガラッと変わりました。

時には自社の事業/営業上の悩み等を壁打ちさせていただき、時にはロールモデルとしてまた彼らの考え方に触れて自分との見ている景色の差分を確かめられる機会をいただいています。

私の場合は、役得の要素もありますが、社外にロールモデルや戦友が出来るのが一番の魅力だと考えています。

3-3. ケイパビリティを拡げる必要がある


よく言われることですが、パートナービジネスは「1人the Model」の総合格闘技です。加えて、実務ではテクニカルサポート/法務/経理といった幅広い知識と、マーケットから逆算するマクロな視点及び戦略思考が必要となります。

また営業のゴールは、特定のカウンターパートを抑えて製品を購買いただくことであるのに対して、パートナーセールスのゴールは、より多くの営業を抑えて顧客へ自社製品をお勧めいただくことです。意思決定者が多く、複雑性が高いのは明らかで、故に高度な水準でのアカウントマネジメントと加えて営業マネジメント/セールスイネーブルメントの要素が求められます。

ポイントとしては、単に幅広い分野を"経験する機会がある"では無く、当たり前に"バリューを発揮することが求められる"という点です。一定数自分に負荷を掛ける必要がありますが、「精神と時の部屋」で修行をするように、短期間で圧倒的な経験学習を積み重ねることが出来ると考えています。

4. 最後に


従業員数に紐付いて売上高のキャップがあるのが、SaaSビジネスの特徴だと考えております。パートナービジネスはリソースのキャップを外して、社外に数千~万という単位の営業組織を組成することが出来、爆発的な事業成長を生み出す可能性を秘めています。
一方で非常に難易度が高く、時間が掛かる分野でもあります。成功事例が少ない、且つ市場に出来る人がいないので、パートナービジネスは悪手であるという声もちらほらと耳にすることがあります。製品によって向き不向きもあるので、フラットに判断いただく必要はありますが、社会課題を解決する上での最短距離を行く手法として、当たり前のように選択肢として上がってくる。という状態を目指して、微力ながら貢献出来るように、私達の経験学習を言語化することに向き合い続けていきたいなと思っています。

私は今まで営業のキャリアを中心に歩んできております。実は少し前までマネジメントから事業家に登っていく上で見えない壁を感じており、階段に落とし込むことが出来ない悩みを抱えていました。
この職種に運良く巡り会えたことで、見ている景色がガラッと変わりました。経営/事業責任者の登竜門として、あらゆるbiz職種の行き着く場所がアライアンスであるという時代になると良いなと考えています。

具体的な内容を聞いてみたい等のご要望があれば、全てをオープンにお話ししますので、お気軽にX(twitter)もしくは以下のリンクからお声掛けください!


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