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将軍のヘタウマな絵「へそまがり日本美術」展

へそまがり日本美術。終わってしまう前に滑り込んできました(5月12日まで!)。

いやーとってもよかった。かなり展示替えがあったみたいだから、前期も行きたかったなぁ。

簡単に言うと、「へそまがりな感性」から日本美術を見返そう!という展示です。

<みどころ1>
日本初!「へそまがり」で美術史を俯瞰する展覧会。
中世の水墨画から現代のヘタウマ漫画まで、日本人の「へそまがりな感性」が生んだ絵画の数々を展望する初めての展覧会です。
<みどころ2>
破壊力のある作品が勢ぞろい!「おかしい」「ユルい」「へんてこ」「苦い」「かわいい」など、従来の“美術鑑賞の言葉”からはかけ離れた言葉で形容されるような、けれども、強烈なインパクトのある作品が揃います。
<みどころ3>
「奇想の画家」の作品も多数登場!「奇想の画家」として知られる蕭白、蘆雪、若冲、国芳もまた「へそまがりな感性」の持ち主。新発見作品も含め、彼らの作品を多数紹介します。
<みどころ4>
お殿様の絵画、集めました。江戸時代、絵を描くことは将軍や大名らの「たしなみ」のひとつでした。そして中には、プロの画家顔負けの、いや、プロの画家では到底描けなかったような、自由な作品を描いたお殿様たちがいました。(公式ホームページより)

わたしが一番楽しみにしていたのは、ホームページのトップ画にもなっている「お殿様の絵」でした。

どうみてもこのウサギ……切り株に〝座って〟いるようにはみえないんだよね……わたしには。皆さんには見えますか…!?笑

展示での解説の言葉もいい意味でひどくて笑、「カスカスの墨で描かれたぽそぽその兎の姿」とか紹介されていて。
いやでも、すごい愛嬌があって、なんかひかれちゃう絵なんだよね~。

こちら、あの江戸幕府3代目将軍・徳川家光が描いたもの。

そのほかにも木菟(ミミズク)の絵があり、こちらは目が大きく薄墨で描かれていて、とても写実的。か、かわいい~~って思わず声がもれます。

あと家光は、すげーシンプルな「鶏図」を残しています。数えてみたら30本ぐらいの線で描いてる。掛け軸の柄になっている金箔の鳥の方が細かいぐらい。笑

そして家光の息子・徳川家綱(4代目)は、とにかくニワトリの絵を残しまくってて。

とってもカラフルだったり細かかったり。ニワトリ好きだったのかな~って感じる。家光と同じ時期に見つかった「闘鶏図」は、カラフルで攻撃的だった。

お殿様ってあんまり絵を描くの上手じゃないのかな…?と思いきや、「団扇歌千中納言兼輔像」では、けわしい目つきの人を写実的に描いてる。わざとの画風なんだなぁ。現代ならイラストレーターになれたよね…。

あと鶴の毛づくろいのようすをわざわざ描いた、臼杵藩主・稲葉弘通さんの「鶴図」にもびっくり。
鶴、ペコリ。ぜんぜんクチバシ見えない。「そのポーズ、選ぶ!?」って、絵の前で突っ込んだ人絶対多い。いやホントへそまがってるわ~
と思ってたら、新聞に寄稿した美術史家さんもそう思ってたらしい。笑

大分の臼杵藩主・稲葉弘通の「鶴図」の極端に曲がった首の表現に驚いた。羽繕いでもしているのだろうが、こんな鶴図は見たことがない(下記記事より)


あと、絵はうまいんだけど、謎にサインがでっかい福岡藩主・黒田綱政さんの「鶺鴒図」とか、おもしろ殿様絵画がたくさん。

若冲の「伏見人形図」もかわいいし(「こんなにゆるい絵も描くんだな~」とびっくり。福島の若冲展も行きたい)、整列する鶴がかわいい遠藤曰人の「『杉苗や』句自画賛」もすき。
あと、なにより長沢盧雪の「狗子図」「菊花子犬図」はずっと見ていられるかわいさだよ…!コロッコロ。むっくむく。でも毛先は繊細なのー。


「狗子図」は月の背景とのコントラストがとてもステキだった。橋本関雪さんといい、最近、動物をかわいく描く人を再発見するな~

会期ギリギリだけど、ぜひみんな出かけてみてほしいな^^

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