見出し画像

なぜ牌効率が最も大切なのか?

麻雀で最も成績に直結する技術は押し引き判断だと言われる。
なぜなら、アガリに結び付く押しや、放銃回避に結び付くベタオリの判断はそのまま成績に結び付きやすいからだ。無駄に押しすぎるとすぐ放銃して点数が無くなる。かといってオリ過ぎるとアガリが少なくなりツモられジリ貧になる。
効率的にリスクとリターンを考えて勝負所を見極める判断は、麻雀において最もキモとなる部分だと言える。

しかし、私は(中~長期的に)雀力を上げ続けるという観点で考えると、最も大切なのは牌効率だと思っている。初心者が基本形を学んで短期間で効率的にアガリ手順を踏めるようになる、という意味でも勿論だが、中上級者にとっても牌効率を学び続けることは長期的に成績上昇に寄与するはずだ。

この記事ではレベル別に、改めてなぜ牌効率が大切なのかをまとめていく。

アガリ率アップ

主に初心者にとって、牌効率の理解はそのままアガリ率の上昇につながる。特に基本的なセオリー形、イーシャンテンの基本的な捌き方等は先制テンパイ率に大きく影響を与える。ここを押さえるだけでも恐らく本人が体感するレベルで先制テンパイ率が上がるはずだ。
実際的な効果だけでなく、牌効率の理解が進むと「この形はこうするのがいいはずだ!」と自覚できる局面が増える。「勝てた!」の成功体験が限られるこのゲームにおいて、「知ってる!」「うまく切れた!」の成功体験を積みやすくなることは、プレイヤーのモチベにつながりやすい。そういった心理的な意味でも、まずは牌効率を押さえていくのがいいだろう。

他の技術の下地

今回の記事で一番言いたいのがこの部分だ。
主に初心者にとって、対局のほとんどの時間、視線は手牌に落ちている。そしてほとんどの時間、手牌について考えている。
多くの時間自分の手について(=牌効率)考えているため、場の状況や相手の河・鳴きに対して視線を飛ばしたり考えたりする時間が足りなくなっている。

勿論最初は自分の手だけを考えていても良いが、ある程度のレベルからは場の状況を取得したり、河や鳴きから情報を読み取った上で打牌を選択していく必要がある。

特に中級者以降の課題としてよく挙げられるのが、河を見る、山読み、鳴き読み、さらには手出しツモ切りを見る、などといった自分の手以外の思考だ。

これらは意識的に増やそうとしても、なかなかうまくいかない。なぜなら思考のリソースも時間も限られているからだ。いくら場を見ようとしても自分の手牌についての思考をショートカット(牌効率の理解・慣れ)しないと自分の手に視線と思考が引っ張られてしまう時間が多くなる。この状態で無理をして視線を上げても、思考まで繋げられないし、最悪手牌の思考すらままならなくなる。

場の情報のための思考リソースを確保するために、まずは自分の手牌についての思考を減らすことから始めないといけない。

この自分の手についての思考を減らす技術がそのまま牌効率にあたる。ある程度牌効率のパターンを知っていればじっくり考えずとも捌ける手牌が増えていくからだ。牌効率は自分の手牌以外の思考(場況判断、読み等)を充実されるための下地になっていると言える。

上達と思考リソースの割合の変化(視線も同様)

上の図のように、基本的には上達に伴って自分の手牌についてだけ考える時間・リソースは減っていく。それにともない場の情報について考える余裕が生まれる。強い人ほど自分の手牌を凝視・熟考せず済むので、その分細かい情報を拾って判断することができる。

麻雀は場の情報については最悪無視して考えずともゲーム自体は成立するが、自分の手牌について考えることは回避できない。そういう意味でも、ある程度しっかり牌効率を学んでいた方が強い時間を長く楽しめるし、他の技術への下地にもなる。

他のゲームとの共通項

最後に少しだけ話が逸れるが、大事なことを書く。

初心者・・・自分側について視線・思考を割く
ベテラン・・・上達して相手側について視線・思考を割くようになる

この流れは他の対人ゲームでも共通の上達の流れだ。
多くの場合、初心者の実戦中の思考は「自分がどうするか」であり、ベテランになるほど「相手や状況がどうなっているか」になる。

例えば、格闘ゲームであれば初心者の視線は自分のキャラに向いているし、自分のキャラをどう動かすか、どのタイミングでどう技を出すか、という思考が多くを占めている。
しかし上達してくると、そもそも自分のキャラは見なくても操作に伴いどこで何をしているか把握できているため、相手のキャラやゲージに視線を向けるようになる。同様に思考も自分がどう動くかではなく相手が次どう動いてくるかの読みになる。

これは、初心者の頃に頭の中を占めていた操作やコマンド、コンボ(麻雀でいう牌効率的な部分)が無意識レベルでできるようになったからこそできることだ。

FPSなども同様で、初心者は視線が下側を向き、自分がどう動くかを考えているが、上達すると視線が上側を向き(索敵)相手がどのあたりから来るかを考えるようになる。これも自分側だけでできる技術(マップ把握やエイム操作、キャラコン等)に多くの思考リソースを割かないからこそできることだ。

同様に対戦パズルでも似たような動きがみられる。初心者は自陣側を注視して連鎖や形を組むのに精一杯だが、練習を重ねパターンをつかみ素早く高精度で自陣側を構築できるようになると、相手陣側を見て相手が今何をしているか、いつ頃仕掛けてきそうか、に視線と思考を割くことができるようになる。

そして、麻雀であれ、他の対人ゲームであれ、この自分側のベースの技術は、一人の練習だけで上達できるという共通点がある。自分側だけで完結しているのだから、実戦でなくても構わないのだ。
麻雀であれば平面的な牌効率の理解は本や動画、何切るなどの座学でかなりの精度まで鍛えることができる。
格闘ゲームであれば自分キャラの操作、コマンド、コンボといった技術、FPSのエイム練習、対戦パズルの連鎖をひたすら組むなども、大抵は一人練習モード的なもので一人でできる。

勿論実戦経験慣れは必要ではあるが、それ以前に一人でできる部分は非常に多い。
そして、ベテランプレイヤーであってもこういった基本の練習は人一倍行っていたりする。基本動作を体に染みこませて実戦に挑むことで、より多くの思考・判断ができるようになる。

そういった意味で、牌効率が一番大切なのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?