ハイパーレクシア雑感

自閉っ子などにたまにある特性の1つに、ハイパーレクシア(過読症)というものがあるらしい。簡単にいうと「すごく読むのが得意」という状態を指すが、ハイパーレクシアの反対であるディスレクシア(失読症)と同様、他の能力に比べて、という注釈がつく。詳しい定義についてはwikipediaか何かを読んでほしいが、私はこのハイパーレクシアというやつに大いにあてはまる。“ハイパーレクシア”で検索して驚いたのは「幼いわが子がすらすら本を読むのですごい才能だと思っていたが、ハイパーレクシアという特性だと言われて少しがっかり」というニュアンスのブログが何件かヒットしたことだ。普通に良いことじゃん、めっちゃ読めるの。
雑に見た範囲では、当事者の意見をあまり見つけることができなかったので、そんなちょっとがっかりモードになっている親御さんに向けて、私なりのハイパーレクシアで良かったこと/イマイチなことをまとめてみた。成人です。なおこれはあくまでも個人の感想であり、特性には個人差があります。

〇ハイパーレクシアで良かったこと
□現代では、メールやLine含め文字でのコミュニケーションが多いので、単純に便利
□文字の資料を参照しながらの作業は圧倒的に有利
□ただ読みと理解が速いだけで、仕事でもちょっと有能っぽい感じを出すことができ、苦手な部分を多目に見てもらえることがある
□物理的な作業実行力は普通かそれ以下である(得意な人もいると思う。うらやましい…)が、苦手な作業で後れを取っても、読みの速さで取り返せる。マイペースでできる仕事を選ぶのがおすすめ。
□本からの知識や文章からの勉強・調査が重要になる仕事(法律関係とか)につくと、情報収集に関してはすごくアドバンテージを発揮できるし、活躍できる可能性がある。
□読むこと自体が好きなため、同じ本を何度でも楽しめるのでお得。そのはずなのに気が付くと本棚はいっぱいになっているのであった…。

〇ハイパーレクシアであんまりよくなかったこと
□周囲の人間は読むのが遅すぎ&文字から情報を読みとれなさすぎてイライラすることが多い(能力には個人差があり、他の人と共存するには寛容さが必要であることを、お手本を示しながら教えてあげよう)(子供のできない部分に対してきつく当たったり馬鹿にしたりすると、子供も自分ほど読めない大多数の人に対して同じように振る舞うぞ)
□ひたすら本を読む姿から、「国語の成績はさぞ良いんでしょうねー」とみんなに言われるが、実際はそんなでもない。むしろ悪いこともある。(せっかく読めるように書いてあるのに、わざわざ声に出すとか意味がわからないし、自力で直感的に理解できることを、ゆっくり考えさせられるのは退屈)
□意外と文章は上手くない。(複雑な文を大量に読んでも理解できるので、簡潔にまとめる意味が分からない。しかし、職場や学校では初稿がダメダメでも、君は文章得意なはずだから、きっとできるよ!と暖かく励まされ、結果的になんとかなったり、練習のチャンスを多くもらえることがある。ラッキー!)
□なんでも一瞬で読み終わってしまうので、お小遣いで本を買うようになると、読むのが遅い人はコスパが良くてうらやましく感じる
□部屋が本であふれる。片づけたいけど、手に取った瞬間に読み始め、気づいたら一日が終了している
□普段意志の力を使わず身体が勝手に読んでいるため、本当に興味がないものについては本来の読み能力を発揮できない。その時のフラストレーションは半端ない。

〇親として嬉しいかもしれないポイント(あくまでも伝聞&想像です)
□ひたすら本を読む姿から、さぞかし良い教育をしているのだろうと勝手に思われ、鼻が高い
□字をすぐ読めるようになる、ただ、書けるとは限らない。
□字以外も、いちいち教えなくても勝手にいろいろなことを学んでくれる(個人差があります)
□本さえ与えておけば、たいていのことはなんとかなる。読み終わるまではおとなしく待っているし、いたずらもしない。便利!!
□もし自分(親)も本好きなら、本をおすすめしあったりできて結構楽しい。
□学校で本好きのグループに入ることができれば、グレる心配はあまりしなくてよい。(ただ、読書以外に真面目に取り組むことはあまり期待しない方が良い)
□子供が本/文字で時間つぶしをしてくれるのは、他のおもちゃやゲーム、動画で遊んでいる場合にくらべて見栄えが良く、暇な他人に攻撃されるリスクが少ない。

〇親としてがっかりするかもしれないポイント(あくまでも伝聞&想像です)
□もう置く場所がなくても、めっちゃ本や漫画を買ってくる(図書館などの無料で本が読める施設に自分で行けるようにしてあげよう)
□本屋などに連れて行くとおとなしく読みながら待っているが、大人の用事が終わっても帰りたがらない(「今はいったんおしまいにしよう、買ってあげるから電車に乗ったら読んで良いよ」など、続きを読める時間がまたやってくる見通しをつけてあげよう。また、帰り渋るときは、今立ち読みしている本を読み終わりたい場合もあるが、ただ読むという行為をやめたくないだけの時もあるので必ずしも買ってあげなくて良い。交渉しよう。)
□お出かけに本を沢山持っていきたがり、重い。だが、すぐ読み終わってしまうので、本が足りないと退屈してしまう。(電子書籍で解決だ!)
□本を読みながら道を歩くなど、危険な場合がある(交通事故の怖さは繰り返ししっかり教えよう。)

まあ、苦手なこともいろいろあるけど、困った特性だけではなく、沢山物が読めるからこその嬉しい事、楽しい事、良かった事は数え切れないぐらいいっぱいあるので、得意な部分を存分に伸ばして人生をエンジョイしてほしい。本は友達!

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