水谷健吾

小説家/脚本家/YouTuber/「食糧人類」原案/決定版「小説生計を立てるまで」https://note.mu/mizutanikeng/n/ndc9e8df2faf1

思考実験小説「モノクロ人間」

モノクロ人間たちの居住区は、使われていない下水道の内部に位置していた。

専用のマンホールから入って5分ほど歩くと鉄製の扉がある。コンコン、と二回ノックをするとゆっくりそれは開いた。

「おっ、西条くん。いらっしゃーい」

メガネをかけた細身の男が、西条を出迎える。

「お久しぶりです、矢野さん」

「久しぶりぃ。相変わらずシュッとしちゃって、もう、カッコいいねぇ!」

「今日は早いんですね」

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思考実験小説「午前3時教」

「午前3時教へようこそ」
目の前に座っているのは、20代前半の女だった。
目は一重で猫背。化粧っけもなく、髪はぼさついている。もし高校生の時に出会っていたらイジメてそうだ、と私は思う。

ここは、一軒家のリビング。

木製のテーブルが中央に置かれ、私たちは向かい合うようにして座っている。キッチンには洗われたばかりの皿が並べられていて生活感があった。ここで共同生活を行っているというのは本当らしい。

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思考実験小説「AIラプラス」

ぴぴぴぴぴ、とアラーム音が聞こえる。

「ううん」
僕はむくりと起き上がった。

今しがた見ていた夢の残像がまだ脳裏に残っている。すぐにそれは現実の世界に溶け込み、どんな内容だったのか思い出せなくなった。

目をこすりながら、テーブルの上にあるスマホに手を伸ばす。

「今日って…」
「土曜日です」
スマホから声が聞こえた。やや一本調子な女性の声。

「ありがとう、ラプラス」
反射的に僕はお礼を言う

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思考実験小説「不幸になる権利」

「我々には、不幸になる権利がある!」

メガネをかけた細身の男が声を張り上げる。後ろにいる10名余りの人々が「おぉー」と呼応した。

額のハチマキに書かれているのは、「不幸同好会」という文字。仰々しいプラカードを持つ者もいれば、数人で弾幕を掲げている人たちもいる。

彼らが立っているのは、家路に急ぐ人々で混雑している駅前のロータリーだった。太陽は沈みかけ、赤と黒が混じり合った奇妙な光が街全体を染め

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舞台「マイナス1回目のプロポーズ」はじまります

みずけんです。
4/17〜21に舞台「マイナス1回目のプロポーズ」が東京の中野新橋駅近くの劇場で公演されます。

1月にSFと嘘つき勘違いのコメディ「捏造タイムスリップ」の脚本を書いたのですが、今回はプロポーズと嘘つき勘違いのコメディです。

ちなみに7月にもまた別の舞台「幽霊が見えない部屋(仮)」があり、初稿が書きあがったのですが、こちらはなんと、幽霊と嘘つき勘違いコメディとなっています。

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映像作品とコミュニティの可能性

水谷です。作家YouTuberをしています。

お気付きの方は多いと思いますが、最近の僕は小説を書くよりも、映像や舞台の脚本執筆にどっぷりハマっています。(ついでに企画動画を編集したりしています)

今後の活動も、どうやら脚本家がメインになっていきそうです。

誰かと作り上げるからこその化学反応はもちろん、応援してくれる視聴者のみんなと一緒に作っているというのがけっこう楽しい。

自分の顔を出して

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