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工藤吉生の短歌まとめ・第二十七期【2018年1-3月】20首

▼この時期の主な出来事
「未来」の新年会に参加
79年生まれの歌人によるネットプリント「ゆふぎり」参加
タウン誌「仙台っこ」第11回 仙台っこ歌壇・俵万智賞の準賞をいただく

〈1〉
衝動のままに深夜の暗黒をスマホで撮ってみたよ手軽に

〈2〉
ウインカーつけて曲がってゆく車 しずかな夜を眠れずにいる

〈3〉
55を20と20と15とに分解してる雪道のうえ

〈4〉
母の目玉さがす夢から覚めてなおしばらくさがす母の目玉を

〈5〉
釣り針に小さな虫をつけている時は器用に見えていた父

〈6〉
「こう蹴ればもっと上手になりますよ」などとしゃべるか未来のボール

〈7〉
ロッテリアのバケツポテトをつまむ昼バケツから食う人間オレは

〈8〉
九時を知らすチャイムが鳴って気がついて見上げた時計今まさに九時

〈9〉
見れなくて涙流したこともある「となりのトトロ」のテレビ放送

〈10〉
文化的で人間らしい生活と耳に聞いても聞こえないふり

〈11〉
クリスマスの灯りぼんやり点してる家のDVをドラマは映す

〈12〉
参考書見てる女性の背後からのぞいたオレのちんぷんかんぷん

〈13〉
水泳はちょっと頭が痛いから休むと言えば「ちょっと?」が返る

〈14〉
オレに対し決定的な一言を持っていそうな沈黙の人

〈15〉
無愛想だった郵便局員が今日はにこやか。その理由とは?

〈16〉
君からの電話を待って待って待って今日は川辺で半月を見た

〈17〉
「引」と書いてあるけど押してもひらくのが分かっちゃったし肩からいくぞ

〈18〉
貼り紙に近づいてみるとまったくの白紙 窓から誰か見ている

〈19〉
夜だから道路で変な顔をした急ブレーキがぎゅうと聞こえた

〈20〉
ニャンちゅうのものまね一度やってみるすこし似ていてまったく惨め


〈1〉〈5-6〉読売新聞「読売歌壇」
〈2〉公募ガイド「短歌の時間」
〈3〉野性時代「野性歌壇」
〈4〉ネットプリント毎月歌壇
〈7-11〉未来
〈12-15〉ネットプリント「ゆふぎり」
〈16〉あなたを想う恋のうた
〈17-18〉poecrival3
〈19〉NHK短歌テキスト
〈20〉うたの日

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