見出し画像

工藤吉生の短歌まとめ・第三十三期【2019年7-9月】 15首

▼この時期の主な出来事
角川短歌「新人賞受賞歌人競詠5首+作歌信条」参加。
短歌連作サークル「あみもの」初参加。
「死の短歌bot」 @shi_no_tanka 作成。



〈1〉
ピンクの雲いいなさわってみたいなあ財布にいくら入ってたかな

〈2〉
持ったまま眠ってしまい目が覚めてふたたび使い始めるスマホ

〈3〉
エンジェルはラッパが上手そうだなあ ちゃんと聴かなきゃわかんないけど

〈4〉
真夜中にパイの実喰ってるんだよと教えてあげるツイッターにだけ

〈5〉
言おうって思って忘れちゃうんだが思い出したら自慢話だ

〈6〉
トワレって書いてあるから調べたらトイレのことだやりやがったな

〈7〉
大声でひとりごと言うばあさんとすれちがい聞く「バカはバカだ」と

〈8〉
鏡のなか見てたら思い出したけど詐欺の電話がこないだ来たよ

〈9〉
エスカレーターで眠ろうつかんでる手すりの角度が変化するまで

〈10〉
注射針刺され思わずまんなかに顔のパーツを寄せてしまうよ

〈11〉
にんげんのハグのかたちに猫抱けば四本足がつっぱるつっぱる

〈12〉
何を拾っているのだろうと見ていたらそんな体操だったんだ朝

〈13〉
上空からオレを見たならヒッヒッヒ何も知らずに歩きおるわい

〈14〉
いちおうはそういうことにしておこう一応そういう事にしとこう

〈15〉
肝心な場所に小さな穴があるオレにもオレの履くズボンにも






〈1-2〉〈4-9〉結社誌「未来」
〈3〉角川短歌
〈10-15〉うたつかい

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?