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工藤吉生の短歌まとめ・第二十六期【2017年10-12月】

▼この時期の主な出来事
ピクシブ文芸に短歌を投稿しはじめた
「みんなでつくる短歌bot」@minna_no_tanka 始動
ひさびさに批評会・歌会に参加
質問箱をつくり、質問すべてに短歌で答える
「二〇一七年度 未来賞」受賞




〈1〉
マネキンにつるつるあたまよく似合うのっぺらぼうとはだかも似合う

〈2〉
引っ越しのトラック停まっている家を出てきて家具が浴びる太陽

〈3〉
ふわわわと恥ずべき過去はあらわれてオレに小さく首を振らせた

〈4〉
残念な人と言われることもある生きてるかぎり死なないかぎり

〈5〉
十本の指は両目を覆うとき不満になってズレようとする

〈6〉
工藤にも生きる権利があるという嘘みたいだがほんとの話

〈7〉
のぞく気はないが野球のアカウントばかりをフォローしている人だ

〈8〉
左手と右手のミニカーぶつけ合う一人遊びの弟の笑み

〈9〉
ヨーグルトを容器とフタとスプーンとスプーン袋にして食べ終える

〈10〉
水面に映るマンションちょっとした風で崩れる全面的に

〈11〉
爽快な速さになってくる位置に「スピード落とせ」の看板はある

〈12〉
たこあしのように出口のある駅の未知のいっぽん近道だった

〈13〉
なんのツボなのか忘れた親指と人さし指のあいだ揉みこむ

〈14〉
レーズンの埋まったパンはガキのころさわった岩を思い出させる

〈15〉
木の棒につらぬかれてる塩辛いさかなも食べたお別れの会

〈16〉
文字だけでこんな光の感触を描けぬものかと思いつつ踏む

〈17〉
アンパンマンアンパンマンと呼ぶうちに泣き声になりエンベンメンベン

〈18〉
「品性がない」と聞こえて自動的に首からグンと振り向いていた

〈19〉
安いから買ってきたのに深みあるコクやらキレを誇るコーヒー

〈20〉
とびかかってきそうな鋭い目の人をたまに見かける激安店で

〈1〉〈9-10〉毎日新聞「毎日歌壇」
〈2〉読売新聞「読売歌壇」
〈3〉角川短歌「角川歌壇」
〈4-6〉〈12-17〉〈19-20〉未来
〈7〉野性時代「野性歌壇」
〈8〉NHK短歌テキスト
〈11〉仙台っこ「仙台っこ歌壇」
〈18〉ネットプリント毎月歌壇






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