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仕事が面白くない時、どう向き合えばいいのか

仕事とは、人に求められて初めて発生する

激烈に忙しい。なのに報われない。
あるいは、働きたいのに職がない。
これは、生活の根底にも関わることなので、とてもダイレクトに人間の心の余裕を奪っていく。

だから今、「仕事が面白くない」という不満を抱えている人が多い。
自分の希望する職業に就けないから、やりがいを感じられない。
そういった場合、自分の仕事とどう向き合っていけばいいのだろうか。

まず前提として押さえておきたいのは、どんな職種でも決して甘いモノではないということ。
仕事は人生の営みの中で非常に重要なことではあるが、そもそも世の中には、自分の「やりたい仕事」だけをやって生計を立てている人はほとんどいない。
どんなに自由に見える芸術家や芸能人でも、自分の自我を満足させることだけで生計を立てている人は、一人もいないといっていいかもしれない。
なぜなら、「仕事とはニーズがあって初めて発生するもの」だからである。
自分の主張や特技が、そのまま仕事になるわけではない。
それが他者に必要とされてようやく仕事として成立するわけである。

極めて現実的な需要と供給の中でしか成立しない。
なので、仕事の中で「自分のやりたいことはこれなんだ」と、ひたすら自我を強く押し出しても、それでは必然的に自分が苦しくなるだけである。

とはいえ、私たちは単なる社会の歯車として機能するだけのような、無機的な生き方にはとても耐えられない。
だから、尊敬できない上司から命令されるままに、あまり興味の持てない仕事を嫌々やっていたのでは、やはり自分が苦しくなるだけである。

たぶん、自分の仕事に不満を感じている人は、漠然と「私を活かせる仕事をしたい」と願っている気がする。
ただその欲望が漠然としている限り、具体的なニーズを呼び寄せる力にはならない。

与えられた仕事を、自分なりに創意工夫する

では、どうすれば私たちは仕事を面白くしていけるのだろうか。

それは、「やりたい仕事」ではなくて、「与えられた仕事」をできるだけクリエイティブにこなそうとする姿勢を持つことである。

基本的には「仕事をするには工夫がいる」と考えた方がいい。
与えられた仕事をそのままするのではなく、何かの創意工夫をしてこそ、自分の仕事だという感覚を初めて持てるのではないだろうか。

例えば、企画書なんかを書く時も、自分の中で課題を決めた方がいい。
ダラダラ長く書いてしまう人だったら、3行で明確に伝わるようにしようとか。

仕事を自分のものにしている、楽しんでいる、人生の一部にしている人っていうのは、自分の中で創意工夫している感覚があるはずである。
クリエイティブな仕事をしているとか、していないとかの仕事の種類に関係なく、絶えず工夫をする習慣をつけている人というのが、仕事を面白くできる人ではないだろうか。

試行錯誤する方が、仕事に充実感が出る

ルーティンワークならそうやって、やりがいを保てるかもしれないが、時には苦手な仕事を無理やり押し付けられる場合もあるが、そういう時はどうすればいいのだろうか。

どうしても嫌だな、やりたくないな、と気が重くなる仕事に関しては、思い切って断ってしまう勇気も必要だと思うが、ただその前に、「自分のフィールドに引き寄せる」というやり方も、創意工夫のひとつである。

最初は気の進まなかった「与えられた仕事」が、何か着地点はないものかと考えあぐねているうちに、たまたまかもしれないが、自分の言いたいこと、つまり、「やりたい仕事」にポンと合致・変化したりすることがある。

目の前にある仕事に対して「うわぁ、やりたくないな」と思うよりも、「いや、ちょっと待てよ。どういう風な切り口ならやる気になるだろう」と試行錯誤するほうが、圧倒的に仕事の時間を充実させられるとは思う。

自分らしさが出せれば、仕事だけでなく他のことも楽になる

私たちが社会で生きていく上で、「やりたい仕事が来たらやる」という頑固な姿勢は、自分の想像力の貧困さを証明しているにすぎないのかもしれない。

なぜなら、やりたくない仕事だと思うものも、もしかしたら自分の先入観、自分の少ない経験値で嫌っているだけかもしれないからである。

それよりも、「与えられた仕事」を自分のミッション(使命)だと捉えて、肯定的に考えることの方が、はるかにクリエイティブな能力が必要とされるのである。

つまり、与えられたものをどう楽しめるか。どんなものを与えられたら楽しめるかではなく、与えられたものをどう楽しめるかということの方が、より本質的な力なのではないかと思う。

本当にクリエイティブな人というのは「こだわり」という自分の価値観や美学を押し付ける人ではなくて、どんなミッションを与えられても独自の工夫でこなすことができる人、と言える。

いろんな創造性があっていい。
例えば、端から見ていて、仕事ぶりがすごくわがままに見える人でも、よく見ると、自分に与えられた時間やお金などの枠の中ですごく創意工夫をしているのかもしれない。
クリエイティブさというのは、ある限定が生じたときに、それでもその中でやろうと決心した場合に、最も発揮されて来ると思う。
「与えられた仕事」を楽しくやれると自分も嬉しいし、結果として要求した人の期待にも応えられる。一挙両得なわけである。

そして、仕事が楽しくなると、目の前にある仕事に、その時その時で「今、ここ」の集中力が高まるはずである。

しかも集中できると、人間はさらに楽しくなる。
そうすると雑念も起こりにくくなるし、空想も起こりにくくなるし、その分落ち込みの時間も減っていく。
仕事に対する工夫のひとつで、そこまで人生が充実に向かう可能性が大いにあり得るわけである。

与えられたものを、どう自分の好みに変えていけるか。
そこが、仕事を楽しむポイントである。
理屈的にはどんな仕事が来ても、自分なりのやり方で取り組もうとしてみる姿勢が生じてくれば、実は仕事だけではなくて、かなりいろんなことが楽になってくるはずである。

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