見出し画像

地盤沈下


ブラジル北東部アラゴアス州都マセイオ市総面積の20%が地盤沈下の被害にあい、2018年以降、6万人以上の居住者が住居を後にせざるを得ない状況に追い込まれている。
同国の鉱物資源並びにエネルギー省管轄部門である地理研究院によると、
サンパウロに本社を置く石油化学事業を営むブラスケンS.A社による長年にわたる岩塩掘削が原因とされている。
2018年3月3日にマグニチュード2,4の地震が発生し、当時ピニェイロス、ムタンジェ、ベベドウロ、ボン パルト、ファロルなどの地区における
1万4000件強の一般家屋、商店、病院などに亀裂が入るなどの大々的な被害が生じ、被害者らは立ち退きを余儀なくされ、市全体の不動産価値の下落が顕著になっていき、2020年の1月に、同社による被害者への損害賠償支払いの司法手続きが開始された。
そのような中、先週2023年11月29日に、市が同社が管理するマセイオ市内のムタンジェ地区に位置する一鉱山が完全沈下目前だとして警告を発したため、周辺に居住する市民の即時退避が促された。
現段階では、1時間に2,6センチのスピードで地盤沈下が進んでいるとされている。11月29日から12月3日までの期間には1メートル77センチの沈下が計測されている。

ブラスケン社の筆頭株主(50%保有)は、ノヴォノル社(旧オデブレヒト社/ブラジル建設最大手)。それに続く大株主はペトロブラス石油公社(40%保有)。
オデブレヒト社とペトロブラス社は、ブラジル史上最大の汚職事件の一つとされるペトロロン事件において、司法調査の対象となった大企業2社であることは記憶に久しい。スキャンダルは、労働党所属の元ルセフ大統領政権下において発覚し、現職のルラ大統領もこれを機に当時禁固刑を課された。
ブラスケン社の設立は2002年。ペトロブラスが同社の株購入を開始したのは2007年である。

###


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?