数理科学科でのジェンダー小噺

今日は母校の理工学部一年の学科分け説明会を手伝いに行き、その後数理男子会(懇親会)に参加してきた。数理科学科への一年生の訪問者は約80人のうち女性は4人だけだった。女子学生の訪問以外でも、否応無くジェンダーの話題になった(これだけでかなり進歩を感じる)。

教員、学生の同期、後輩など、十数人の男性の中で私一人が話していても、耳を傾けてくれたり、思い当たる事を話してくれたり、共感してくれたり、こういうことは一年前では考えられなかった。

男性でもそのような「ジェンダー問題解決への理解を示す」ようなことをしては、内輪の男性からせせら笑われるような、ホモソーシャルな抑圧が今より色濃くあったと思う。

冷たい空気で面倒事に巻き込まれたように下を向いてやり過ごす、自分の不勉強を疑いもせず直感でマンスプしてくる奴に揶揄されながらでも懸命に話すしかない、という去年なら当たり前の状況が解消されていることが感慨深い。

「論理的に正しいということは分かるんだけど、抑圧にすっかり洗脳されて生きてきたから消化に時間がかかる」「頭では正しいと分かっていてもすっと腑に落ちない」ということは去年や一昨年の私も経験していて、賛同者が少ない中で主張していくことは失うものや痛みがバカにならないけれど、そういう段階の人が一人でも増えていって欲しいので機会があれば話していきたい。

数学科で60人中女子5人という状況で「今年は女子多いね!」と言われるの全然意味が分からないし「いや多いのは男子だろ」という感じである。50代の男性の先生達の話を聞くと、当時は数理科学科で3分の1が女性だったという時代もあるそう。日進月歩ではないのだなと思う。今後とも「今年も男子が多いね〜」と言っていきたい。

「反例を出されたら間違いを認めざるを得ない」みたいな意味で、数学の民はかなり日々の営みや考え方の中にフェアネスを内包しているほうだと思うので、問題提起を重ねていけば、このジェンダー後進国ジャパンでも考える下地が出来ていくと信じている節がある。

理系には全般的にホモソ男尊マッチョイズムやマウンティング文化が根強く残ってしまっているが、他の工学分野に比べると、慣習やバイアスの是正のしやすさは数理には確実にあるはずだと思うことは増えた。

改善を求めて諸方面に訴えにいくにあたり、諸経費がなかなかバカになりません。頂いたサポートは、公益貢献費として大切に使います。ご支援感謝します。