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細野豪志議員の福島の甲状腺検査に関する衆議院2021年5月28日 環境委員会でのご質問の文字起こし

衆議院 2021年5月28日
環境委員会
案件:環境の基本施策に関する件


細野豪志議員(自由民主党・無所属の会) 9時01分〜20分

動画が以下にでています 国会の動画です

https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&u_day=20210528

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東日本大震災からちょうど10年という節目の年を迎えています
あの年私は 補佐官として 原発事故の収束を担当していまして
9月から環境大臣を兼務しました
そのときにおこなった さまざまな政策決定のなかで
そのなかには今でも残っていて
今小泉大臣が取り組まれている課題がたくさんございまして
そのいくつかにつきまして 今日は質問したいと思います

まず

中間貯蔵施設 再生利用の話が半分 (ここは略)

30分48秒から

福島県の甲状腺検査の問題についてご質問したいと思います

当時福島県の 健康問題について
何省で担当するのかというのが 非常に調整が難航いたしました
健康の問題ですので
厚生労働省ということも考えましたもが なかなか厚生労働省も 前向きにならなかったなかで
環境省のなかの環境保健部がですね
それを担当して ずっとやっていただいた

そして、福島県で行われた県民健康調査 事業の中のメイン事業のひとつが甲状腺検査
当初はヨウ素の問題がありまして
甲状腺癌が増えるのではないかという心配があって
若い方々に甲状腺検査をするというのが県民の総意だったと思うのですが、
その判断は間違っていなかったとおもいます
しかし10年たちました 明確に 福島県の子供達に甲状腺癌の増加はない

県内で検査をやっても浜通りと会津の間に違いはない
福島県外の若者も検査をしても甲状腺癌の発生率については違いはないということがすでにこの10年間で明確になっています


そして逆にですね 甲状腺検査というものは 日本中はもとより世界中で幅ひろく行われたことはないのですね
ほとんど
なぜかといいますと甲状腺検査を積極的にすることは奨励をされていない
その理由は 甲状腺癌というものは予後が非常に良い癌で明確に症状が現れてから対応したので遅くない
若い時にやると 一定の割合で甲状腺癌は出るけれども
逆にそのことによって がんが出ると、手術を選択する人が 非常に多くなる
そうですね 子供が癌になると 当然手術をする人がほとんどになるでしょう
手術を選択したら もちろん手術をやると 
やってもやらなくても命に別条はないわけですけれども 薬をずっと毎日飲み続けないといけない
さらに 例えば 女性であれば、男性もそうですが ここに傷跡がのこる
そして 生命保険に入れない
さらには それが非常に深刻になった場合には、例えば女性の妊娠やそういったことなどに影響が出たりするというような話もある

今福島県で問題になっているのは これが過剰検査になっているという
過剰診断になっていないか という問題があるのですね

で この問題意識について 先日大臣に委員会の中でお伝えさせていただきまして
福島県にも強く働きかけをさせていただきまして
今 いろんなアクションがおきています
先日行われました
検討会でもですね さまざまな議論が行われたときいていますが
その時の資料を持ってきましたので ご覧いただけますか

これはその時の調査の中で出てきたヒアリングの結果なのですが
当事者のお子さんが3名 保護者6名の調査結果になっていまして
2ページ目をご覧いただきたいのですが、
5番のところですね
学校で検査を授業中に行っていることで 検査を受けなくてはならないものと思ってしまうか 
という質問があるのですが

https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/446623.pdf

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これは私が何度も求めた
検査の任意性を確保する上で重要だということで出された質問だと思いますが
回答をごらんいただきますと
まずは検査対象者本人 若者の回答ですが
させられているというよりかは内科検診と同じ感じだ
学校でやる健康診断と同じ感じでうけていると
まあ、ほとんど100%ですからみんな受けるわけですね
こういう答えがあります

さらには 親御さん 保護者の方をみてみますと
半強制的みたいな感じだが という言葉がでてきますが
もう一つ
本人たちの方にでていますが
時間をとってやるというのはあるので、受けないのが変かなと思う

こういう状況なんですよ
検査といわれると だれでも 受けた方がいいとだれでも思ってしまうわけですね
安全性を確認したいと思う

しかし 過剰診断 過剰検査の問題のある検査が 学校で行われ そして授業中に行われ
ほぼ100%に近いという現状は そろそろ変えないといけない

念のために申し上げますが 私も検査を継続することには賛成です
心配な方には 無料で受けていただく環境を作らないといけない
しかし 今のやり方は問題がある

で、まず 私が提案した中で 
今福島県立医大が提示をしている同意書ですね
検査をしますかどうかという同意書ですね
これを学校で回収するのをやめたということでよろしいですね

学校で回収していますから 皆受けます って回答しているのが
ここは確認をしたいのですが よろしいでしょうか

小泉大臣

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そのとおりです 前回3点ご指摘いただいたののの1つ 学校での同意書の回収でした
これをやめたらどうか
これが細野先生からの提案の一つで このご提案が一つ実現しました
ご提案 ありがとうございます

細野議員


そこは大臣がイニシアティブをとっていただいたということで心から感謝申し上げたいとおもいます

そして、もう一つ
私は放課後にやるべきだと提案しました
学校の時間中ですと 例えば小学生や中学生が
みんな検査をする中で いや私は受けないのですというのは
相当勇気のいることです
それを それぞれのみなさんが 親御さんも含めて本人が選択するためには
放課後にやるということを やっていただきたいと申し上げたのですが
ここはまだ明確な答えが出ていない 

さらに踏み込んで提案したいのですが
例えば授業の最終時間であるとかですね
例えば5時間目まであるとしたら 5時間目にいれるとか

そういう工夫ができないのでしょうかね
私が福島と話している感じでは 大勢の学校だと 
なかなか人数が多いと1時間ではできないということを言うのですが
それはね 大臣
調べる側の論理なのですよ
調べられる側の 子供の立場に立った時に きちっと選択ができるようにするためには
やっぱり授業の合間にですね 普通の授業の時間帯にやると言うのはどうしても同調圧力がかかります
ですので そこは
もう一回交渉していただけませんか
福島も現状を理解しつつあると思います
やめると言うことではありませんから 任意性を確保するために
きちっと過剰検査をなくして
場合によっては 国際的にも批判を受けるリスクもありますから
それを国として回避をすると言うことを含めと もう一回イニシアティブを発揮していただきたいと思います
いかがでしょうか


小泉大臣


まず前提として 任意性を確保する このあり方に検査を見直すべきは見直す 
これは全く同感です

ですので  受けたい人がうけられ、受けたくない人はうけなくてすむ
この元で 同意書の回収もそうですし
細野先生が言われた デメリットをしっかりと情報提供すべきだと言うのも
それをリーフレットなどにして しっかりお届けすることなどをやっていきます
さらに 放課後などの対応についても
私もきいているのは 大規模な福島県内の学校ではこの検査だけで4時間くらいかかると言うふうにもきいております
中規模の学校 小規模の学校では
例えば小規模の学校であっては 例えば最終時限だとか放課後だとか
そういったことが対応が可能だと言うところがあれば、
今年度からでも そういったところから実行可能なところからやっていただく
と言うことは
十分にありうるんじゃないかと
うちの環境部長が 検討委員会にも出席していますので
そういった考え方も含めて しっかりと助言もするように 私からも指示をしております

細野議員

これまでの環境保健部長のなかでいうと 田原さんは(田原 克志:環境省 大臣官房環境保健部長)
もっともこの問題に踏み込んで関わっていただいていますし
非常に使命感をもっておられますので
発言も 本当にふみこんでいただいて
感謝しています
ただ 最後は政治ですからね

特に私が最後に強調しておきたいのは
この782億円と言う交付金は国から出ているのですよ

(この図、今回の国会の議論の中では出てきませんでしたが 貼っておきます)

https://www.env.go.jp/press/y050-36/mat06.pdf

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で 
その積立金を使ってずっと検査をしてきていましてね
この予算をつけたのは私なのですよね
で今 あのお金を使ってかりに手術が必要でない子供達に手術が行われていたとしたら私それ見過ごせないのです
政府は連続しています
政権は変わりましたけれども 連続しています
そして 同様の検査を継続しています
ですので これは国費でやっている検査です
ですので この正当性は政府に強い責任があると言うことだけはご理解をいただいてですね
大臣にあと一歩踏み込んで対応していただきたいと思います

最後に風評についてなのですが
除染土の再生利用の問題についても
甲状腺の検査についてもこれからも風評はついて回ると思います
私は 10年前のことを思い出した時に 一つだけ やはり
後悔しているというと、ちょっと悩ましいのだけれど 正直いって
もっと踏み込めばよかったと
それは風評の原因となっている風評加害
非科学的な情報 非科学的な報道に対しては
単に丁寧に説明するだけではダメだということなのですね

風評被害にたいしてはきちっと反論することが求められているということを
ぜひわかっていただきたいと思います

小泉大臣ならできると思いますので
期待しております



この次の9時21分から30分の枠の中で

立憲民主党の近藤昭一議員が

福島の県民健康調査の甲状腺に関わるご発言をいくつかされておられました。

長いので(またきちっと聞き取れていない言葉も多いので)全ては動画に出ていますのでそちらをご覧ください

1.県民健康調査甲状腺検査サポート事業について
『情報提供を希望されない方は支援金を返還していただくことがあります』という条項が4月1日にはあり、『返還していただく』の項目は削除された
2.甲状腺癌が何人か見つかっているが、5月17日の第41回「県民健康調査」検討委員会で放射線の影響の否定的評価が残念ながら出されている 今後の精査が必要
3.鈴木真一氏が学会のガイドラインに従って手術しているので過剰診断でないと言っておられている
4.3.11の会でのアンケートで 手術した人が検査をやってもらってよかったといっておられる


県民健康調査甲状腺検査サポート事業はこれですね
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/439596.pdf
お話にでてきた同意書はこれですね

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1 県民健康調査甲状腺検査サポート事業 環境省の拠出額
田原克志環境省 大臣官房環境保健部長より
平成27年度から実施していて
直近3年間の件数と交付確定額は 
平成30年度は87件 約1126万円
令和元年度は101件に約1132万円
令和2年度は104件 約1396万円

2に対しての 小泉環境大臣のご回答

福島県の県民健康調査検討委員会における甲状腺検査の結果は
評価時点で把握している癌患者数と国連科学委員会 UNSCARE こちらで公表された 推計甲状腺吸収線量を用いて評価されたことと承知しております
このUNSCAREの評価については 医学等の専門家のコンセンサスのえられた科学的な知見であって環境省でも重要だと考えております

先生からご指摘があった不確実性ですが
今後より詳細なデータがでて 検討がなされて 改善されていくものであると承知しております
ただし、そのために強制的に調査をすべきだとは考えておりません
調査の意義やそのメリット デメリットを理解して
検査を希望する方が受診でき、検査を希望しない方が受診をしないで済む
そういったことが自然と選択できるようにすること
任意性の確保が重要
だと 先程の答弁でもお答えさせていただいた通りでございます
環境省としてはこういった考え方のもと検討委員会による評価が行われる
委員として参加している環境保健部長が適切な助言を行うなど
適切な支援をおこなってまいりたいとおもいます


3.については小泉大臣のお答えは

検査をやめると言うことは全くないです、あり方に対してもっとも重要なことは
検査を希望する方が受診でき、自らが希望しない方が受診をしないで済む
任意性の確保が大事
だと考えています

全てが放置して良いがんだという 極端な考え方をしているわけではありません
中略
一方で
福島県の検討委員会のがんの取りまとめの中間報告では 統計などから推計される有病率より多い甲状腺癌が発見されている
これについては 将来的に臨床診断されたり 死に結びついたりしない癌を多数診断している可能性があると言及をしています
環境省が重きをおいているのは
検査を続けるなかにいかに任意性を保ちながらすること


この話については

国内外の専門が集まって結成された若年型甲状腺癌研究会のホームページの解説が出ているのでご紹介します

http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/labo/JCJTC/QA.html

Q7 学会の出しているガイドラインに従って検査・治療を受けていれば、過剰診断の被害を被ることはありませんか?
A7  若年者ではわかりません。
国内各学会から甲状腺がんの診断・治療に関するガイドラインが出されていますが、これらは主として30歳以上の成人のエビデンスに基づいて作成されたものであり、若年者、特に小児に対してこれらに基づいた診療が適正であるかどうかは判断できません。


4.については過去の論文で、過剰診断の重大な被害に遭った患者は、被害を訴えずにかえって検査を擁護しようとするポピュラリティーパラドックスという現象が起こることが解説されています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/sraj/28/2/28_67/_pdf/-char/ja
第 31 回日本リスク研究学会年次大会 総説論文
福島の甲状腺がんの過剰診断 ―なぜ発生し,なぜ拡大したか―

4.9 被害者は被害を訴えない 

過剰診断の被害に遭った対象者・及び保護者が自分達が被害者であることを認めることには困難 を伴う。なぜなら,検査を受ける選択をしたこと が誤りであったことを認めればさらに傷つくこと になり,「早く見つかって良かったんだ。」と思い込むことの方が心理的な負担が少ないからであ る。このことは被害者自身が検査を正当化することにつながりかねない。実際,現時点までに甲状腺がんと診断された対象者やその家族から検査を批判する声はほとんど上がっていない。このようにして実際の被害がマスクされることにより被害の拡大にブレーキがかからなくなる恐れがある。