平成最後の今日。
私は昭和生まれだけど、昭和から平成に変わる瞬間は3歳だったので、何も覚えていない。
平成から令和に変わろうとしている今、まるっと生きてきた自分の平成はどんな時代だったか、想いを巡らせている。
いっぱい泣いたり怒ったり笑ったりしていた。
色んな出会いがあったし、別れもあった。
辛かったこともあったけど、そんな時、いつも「言葉」に救われて背中を押してもらっていた。
***
6月に大切な先輩の結婚式のスピーチをすることになってしまった。
「あのさ、スピーチお願いできないかな」
そう言った先輩の少しはにかんだ笑顔を見たら
「私で良ければ!」
と口が動いてしまった。
私は人前で話すことが苦手だ。
あがり症だし、人の目が怖い。
「結婚式には偉い人しか来ないし、おじさんばっかりだから、若い風吹かせてやってよ。何喋ってもいいからさ。」
「さっきのはにかみどこ行った?」と思わずツッコミたくなる先輩の変わりように「ぎゃふん」と言いそうだった。
「偉い人しか来ない」
というワードは、私を緊張させるのに十分だった。
「なんで引き受けてしまったんだろう」と家に帰ってから布団をかぶってジタバタしていたが、大好きな先輩が私を選んでくれたことは嬉しくもあった。
私は私が緊張しやすい人であることをよく知っているので、次の日にハウツー本を買って来た。
ネットで「後輩 結婚式 スピーチ」と検索したりもした。
でも、どれも何かが違っていた。
私とは遠いところの誰かの話のようだった。
あたりまえだ。
それは私の言葉ではないからだ。
どうしよう、、、どうしよう、、、
焦っているうちに平成最後の日が明日に迫ってしまった。
そんな中、本屋で原田マハの
「本日は、お日柄もよく」と出会った。
祝儀袋のデザインのこの本の裏面を見ると、
OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。(略)
と書かれていた。
「これは!!!今私が読むべき本なのでは?」
と電気が走った。
昨日と今日とで時々泣きそうになりながら読了した。
言葉の力って本当にすごい。
純粋な、まっすぐな、心からの言葉は人の心を動かすことに気づいた。
私が読むべきは、ハウツー本ではなくて、この本だったのだ。
この本にこのタイミングで出会えたことがとても嬉しかった。
私は、私のまっすぐな「おめでとう」を私の言葉で伝えればいいのだ。
平成の終わりに心が揺さぶられる本に出会えてよかった。
令和の時代にもステキな言葉に出会えますように。