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『OMM LITE 2020』で地図を読むことについて考えた話

人間にも帰巣本能が備わっていて、どんな状態になったとしてもちゃんと帰るべき場所へ戻ることができるらしい

2020年はコロナウイルスの影響を受けて、メインレースとして参加する予定だったTor des Geantsは開催中止。正式に発表されたのは7月頃だったと記憶しているけど、発表される前から開催されたとしても行けないだろうと諦めていた。その諦めから、レースのために頑張るのではなく(普段からとても頑張っているとは言えないけれど…)、今まで以上に一生懸命遊ぼうと決意し、これまでやりたかったけど、時間がなくて手が出せなかった遊びをいくつかスタートさせ、いよいよ『地図読み』に足を踏み入れた。

『今』どこにいるのか

OMMは例年だと一斉スタートだったという。スタートまでのカウントダウンが始まり(チヨさんがかける素敵な音楽に併せて)会場も盛り上がったのだそう。今年は、スタート時間から1時間以内に各チーム自由スタート。スタートと同時にと飛び出すチームもいれば、ゆっくりとスタートを切るチームもいる。我々のチームはOMM本戦経験者が2人いるものの、今回はOMM本戦に初参戦となる私とバディの練習の位置づけのため、ゆるりと後方からスタートした。
地図はスタート前に渡されていて、ある程度の作戦は考えていた。まずはゴンドラに乗り、地図に記されている北側のポイントを取りに行く。
山頂に付き、予定通り1つ目のポイントをゲット。続く2つ目のポイントの時、周りがそっちに向かっているから同様に同じ方向に進んだのだが、自分たちのいる位置を見失ってしまった。正確には、自分たちにいる場所は合っていたのだが、自信を無くしわかるポイントまで戻ることにした。
この時そのことを気にせずそのまま進んでいたら、大切なことに気付かずこの先でトラブっていただろう。分からなくなったら戻る。基本的なことなのだろうが、ちゃんと自分たちの位置を確認できるポイントまで戻ることの大切さを学んだ。
途中、進行方向にどうしても納得のできないポイントがあり、チームメイトと話し合い。しかし全員が自分とは違う意見で、納得できないけど渋々進もうとした時に、本戦のバディが『納得できるまで待つよ』と言ってくれた。落ち着いて、周りを見て、磁北を併せて…結果進もうとしている道から1本ズレた道に行こうとしていたことがわかった。ちゃんと待ってくれるバディに本当に感謝だった。
そんなこんなで『今』どこにいるのかを常に確認しながら進む技(まだ極まってはいないけど)を覚えて1日目は終了。

道が明瞭な場合は、次の次まで考える

1日目とは打って変わって、2日目はロードがメイン。(高いポイントを狙いに行くには1日目はトレイル、2日目はロードの配点だった)コンパスを使うことは少ないけど、分岐が何個あるかなどの確認は怠らずに現在地を取りながら進んだ。
ロードがメインなので、ポイントさえおさえれば、次の次まで先を見越した作戦を考えながら進むことができる。今回のチームメンバーは走力差があったため、分岐まで走りながら次の作戦を練りつつ、分岐でメンバーの到着を待つたびに作戦会議。どう回ればポイントに最速でたどり着けるか。『次の曲がり角で作戦会議しましょう!』とコミュニケーションをちゃんと取って、認識を併せて進んでいく。こういう会話でお互いに今いるポイントをしっかりと合わせられるので、間違いも少なく進むことができた。
ただし、何もなかったかというとそんなことはなく。。。ロードのコースは余計なことを考えずに素直にロードを進んだ方が速い場合が多いことを学んだ。今回2回ほど、トラップに引っかかり、時間を捨ててしまったのが反省。

初参戦となった地図読みは、自分がいる場所がちゃんとわかった時の快感はすごい。藪こぎも少しやったし、こういうもんかっていうのは少しは理解できたので、本戦がますます楽しみになった。

そして夜は更けていった

OMM LITEは本戦に比べ装備が軽い。理由はキャンプサイトがスタートゴールになっていて、宿泊は自由。テント泊・オートキャンプ・ホテルなど参加者が自由に選べる。
大会以上に楽しみにしていたのは夜の宴会。Twitterで知り合った山仲間のネムネムさんとはるちゃんも夜は一緒に宴会できるとなり、気合いの入った宴会になった。バディが食材など準備してくれたのだが、その量が凄まじく、全部食べきることができなかった。ネムネムさんとバディの掛け合いを見て楽しくご飯。あんなに笑ったのは久しぶりだった。
そして1次会が終わり、ランボーの仲間のテントサイトへ移動し、焚き火BARで2次会開始。ただ焚き火を見ながら、他愛もない話しをするだけ。でもその時間が特別に感じられた。そしてバディは蓋の空いた焼酎とコップを抱え、ヘッドライトを付けたまま寝た。ほんの数秒前まで全力で話していたのに。突然スイッチが切れたかのように寝た。温かいし、とりあえず焚き火が消えるまではこのままでいいんじゃない?ということになり、一旦放置。1時間くらいすると、突然起き上がり、焚き火に向かってよろけて転びそうになる。フラフラのままトイレへと消えていった。その後なかなか戻ってこないので、自分のテントで寝てるのかな?と心配になり(この気温なら外でも死なないでしょうwとみんなで笑っていたけど)自分が寝るときに、テントを確認したら、ちゃんと帰ってきていた。
山の中では地図がないと場所もわからないのに。帰巣本能ってすごいな。と思ったOMM LITEの夜。星空がきれいだった。

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