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2022年第2クウォーターハイライト

2022年も早くも前半戦終了・・・ということで第2四半期のベストアルバムのことをまとめようと思いますが、その前に個人的にハイライトな音楽イベントのことを少々。

5月16日(月)、恵比寿のガーデンホールで行われたThundercatのライブ。 これがもう本当に素晴らしかった。個人的には2020年1月に観に行ったQueen + Adam Lambertの来日ツアー以来、実に2年数ヶ月ぶりの海外アーティストの来日公演の鑑賞ということでかなりスペシャルな日でもありました。Thundercatのベースはもちろん、サポートできていたLouis Coleのドラムの超絶っぷりたるや・・・1時間半ほどにわたってもはやジャムセッションのような鬼気迫る熱いパフォーマンスで会場は大いに盛り上がりました。どれくらい現場が盛り上がったかというと、本編が終わって客電がついてもなお拍手が鳴り止まず、本来予定されていなかったアンコール演奏がされたほど。

僕がこのThundercatライブで最も強く感じたことは「海外アーティストのライブにはそこでしか得ることのできない刺激がある」ということです。パンデミック下でしばらくは日本のアーティストのライブを観てその一つ一つが良かったのですが、やはり海外勢には海外勢にしか醸し出せない雰囲気があるんですよね。そういうのに2年以上現場で触れることができなかったので、少しずつだけどようやく失われた日常が戻ってきたんだな〜と感極まりました。

この第2四半期は一周回って悲鳴が上がるほど新規の来日公演発表ラッシュでもありましたね。毎週誰かしらの来日が決まる感じも久しぶりで本当に最近嬉しく、今後もどんどんいろんな発表があると思うと楽しみで仕方ありません!

前置きが長くなりましたが、それでは第2四半期のベストアルバムです!

20. HOLLOW SUNS『OTHERSIDE』

19. lyrical school『L.S.』

18. The Smile『A Light For Attracting Attention』

17. LÜCY『LÜCY』

16. Yawners『Duplo』

15. Kindsight『Swedish Punk』

14. Tomberline『i don’t know who needs to hear this…』

13. Jack White『Fear Of The Dawn』

12. FOALS『Life Is Yours』


11. Horsegirl『Versions Of Modern Performance』

10. Hatchie『Giving The World Away』

9. Toro Y Moi『MAHAL』

8. SOUL GLO『Diaspora Problems』

7. 春ねむり『春火燎原』

6. Wet Leg『Wet Leg』

5. Liam Gallagher『C’mon You Know』

4. Harry Styles『Harry’s House』

3. 羊文学『our hope』

2. Kendrick Lamar『Mr. Morale & The Big Steppers』

1. Fontaines D.C.『Skinty Fia』


4〜6月で印象的だったのはやはり名だたる大物アーティスト・バンドの新作が続々リリースされたことですね。
恐ろしいのはただリリースされただけでなく、傑作もめちゃくちゃ多かったということ。この数年間はパンデミックでライブができなくなり、新しい音楽の制作に向かう時間が増えたことも、このタイミングで内容の濃い作品が続々出てきた要因なのでしょう。それにしてもこの第2四半期はマジで傑作揃いでした。

まずは現在世界を席巻する勢いのHarry Styles。人気ボーイズグループOne Directionのメンバーとしても有名な彼ですが、僕自身ソロアーティストとしての彼の作品はこれまで一度も聴いたことがありませんでした。1D活動中も彼らの楽曲を聴きながらどれが誰の歌声なのかも意識はしていなかったので、名前が出てき始めた時はあまりピンと来なかったのを覚えています。しかし、そんな僕が一気にHarryに釘付けにさせられたのが、今年のCoachellaでのヘットライナーとしてのパフォーマンスでした。

ステージに現れたHarryのただならぬスター感から、直感的に「あ、これやばいの来るやつだ。」となりましたね。そして一度音が鳴り響けば、まるでロックスターのように激しく、時にしっかり歌い上げる最高のパフォーマンスを繰り広げていました。派手な衣装もあってその姿はさながら往年のDavid BowieやQueenのFreddie Mercuryを彷彿させるかのよう。このCoachellaでのステージを見たことがきっかけでHarryの過去作品を聴き、翌月リリースの『Harry's House』に備えました。『Harry's House』は80年代ポップスを軸にフォークやソウルの要素も取り入れ、ポップだけどアーティスティックでとても完成度の高い作品。Harryが案外渋い感じの歌声なのがこのレトロな作風にマッチしてるのがとても好きですね。アルバムタイトルが細野晴臣の『HOSONO HOUSE』からインスパイアを受けていることは、日本のファンにとっては嬉しいポイント。日本であまりセールスがふるってないことも指摘されていますが、先日はTHE FIRST TAKEにHarryが登場したことも話題になりましたので、今後彼の良質な音楽がより広まることを願うばかりです。


Harryと同じくイギリス出身といえば、こちらの方の勢いも半端ないですね。はい、我らがロックンロールスターのLiam Gallagher様です。5月27日にリリースされたソロ名義での3rdアルバム『C'mon You Know』は、Liamがソロに完全転向してからは一番の傑作ではないかと思っています。Liamのソロは1stから徹底して観客が思わず口ずさんで合唱できるアンセミックな曲作りをしつつ、Oasis時代にはなかったグルーブを取り入れることを意識しているなと個人的には感じていました。

Foo FightersのDave Grohlや、Vampire WeekendのEzra Koenigも参加する今回の3rdアルバムは、これまでのLiamのソロ作品の要素はしっかり押さえつつも、かつてのマッドチェスターやOasisの4thアルバム『Standing On The Shoulder Of Giants』が頭にチラつく、かなりサイケデリックロックな路線で多くのロックファンを驚かせました。ソロアーティストとしてもさらに一段階ステップアップしたLiamの新たな黄金期を象徴する作品ではないでしょうか。

実際Liamが新たなゾーンに入っていることは、先日開催された聖地Knebworthでのライブでも証明されていると言っても過言ではないでしょう。Beady Eye解散後、一度はミュージシャンとしてのキャリアが絶望的な状況まで追い込まれたLiam。伝記映画『AS IT WAS』で描かれたカムバック劇を経て、今年あのOasis伝説のライブ会場でソロアーティスト「Liam Gallagher」として大勢のオーディエンスを集め、2日間のライブを成功させたことは純粋に最高すぎませんか・・・Liam様、どうか早く日本にもお越しくださいませ。


そしてやはり忘れられないのが、Kendrick Lamarの新作アルバム『Mr. Morale & The Big Steppers』。2月のスーパーボウルのハーフタイムショーのパフォーマンスがいまだに強く印象に残っています。何度見てもKendrickの時だけ空気が一気に変わる感じがして鳥肌が立ちます。そんな彼が正式にアルバムリリースを発表したのは4月19日(アメリカ時間4月18日)。今や時代の代弁者の一人としてもあげられるKendrickの『DAMN.』(2017年)から5年ぶりのアルバム。しかもこの5年は物凄く色々なことがありました。それを経て彼がどんなことをアルバムで表現するのだろうと、なぜか物凄く緊張しました。

日に日にソワソワが増していく中、突如リリースされたのが「The Heart Part 5」。結果的にこの曲はアルバムには収録されませんでしたが、「本当にKendrickが新曲出した!」とめちゃくちゃテンションが上がりましたね。一瞬ラテンぽく聞こえたトラックはMarvin Gayeの「I Want You」のサンプリング。そしてPVはディープフェイクの技術により、Kendrickの顔がさまざまな著名人に変わる。Kanye West、Will Smith、Kobe Bryant、Nipsey Hussle…..1曲でこれならアルバムだとどうなってしまうのかと思うほどの内容で、思わず鳥肌が立ってしまいました。

そして満を辞してリリースされた『Mr. Morale & The Big Steppers』は「The Heart Part 5」のソウルな路線を引き継いだ作風で、サウンド面だけでいうなら結構聴きやすいな〜という印象です。一方でリリックはキャンセル・カルチャーや「男らしさ」、コロナ禍での葛藤など、過去作と比べても非常にパーソナルな内容が多めで、いまだ完全に解釈できていないというのが正直なところ。様々なライターさんの解釈や今後リリースされる国内盤の解説等で、今後しばらくは何度も聴き返すことになりそうです。

余談ですが公式からリリースされた声明文は、NBAレジェンドMichael Jordanの一度目の引退からの復帰時のものにそっくりなのが、個人的には上がりました。


4-6月の第二四半期の個人的トップはポストパンク勢の中でも最も勢いがあると言っても過言ではない、Fontaines D.C.の3rdアルバム『Skinty Fia』。今作ではアコーディオン(フロントマンのGrian Chattenが母からプレゼントされたアコーディオンが今作に影響を与えているのだとか)やエレクトロなどの音色も多く聞こえ、彼らの特徴の一つでもある退廃的なロックサウンドにどんどん磨きがかかっており、アイルランド人としての苦悩と混沌から来るリリックにより深みが増すという素晴らしい作品。
そんな彼らは今年のフジロックにラインナップされていて、非常に最高なタイミングでその勇姿を見れる予定でしたが、残念ながらキャンセル・・・そう遠くない未来に新たなチャンスが巡ってきますように。


今日で2022年が半分終わってしまいますが、今年は本当に内容の濃い傑作揃いの年で、個人的にはもう1年分の新しい音楽を聴いてしまったような気分です。下半期もどんな作品に出会えるのか今から楽しみで仕方ないですが、まずは7月7日、あの4人組のカムバックを心待ちにしています・・・・



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