謝礼キャンペーンにおける謝礼の適正金額の基本的な考え方
謝礼キャンペーンにおける謝礼金額を適正な金額に設定するための考え方について今回書いてみます。
謝礼キャンペーンのよくある失敗
先に謝礼キャンペーンでよくある失敗について2つ紹介します。
1. 謝礼金額が促したい行動の対価に見合ってない
謝礼を提示したけど行動を起こしてくれた人が少なかったり、謝礼キャンペーンが想定よりも短期間で予算切れになってしまったりといった失敗はよく起きます。謝礼金額は多すぎても少なすぎてもダメで、促したい行動の対価としてちょうどよい金額に設定する必要があります。
2. 同時期の他社施策と似通ってしまって効果が薄れた
同業他社が同時期に同じような謝礼キャンペーンを走らせてしまった場合、もともと見込んでいた謝礼による期待効果は薄れてしまいます。業界の繫忙期に起きがちです。異業種間でも年末商戦の時期や、引越や転職活動のようなライフイベントが重なる1-3月には似通った謝礼キャンペーンが同時に走ってしまいます。他社の動向に注意してそもそもこのタイミングで実施するかどうかよく考えなければいけません。
謝礼金額を決めるときのセオリー
謝礼キャンペーンの失敗を防ぐためにはどうすればよいでしょうか。基本的にはセオリー通りに謝礼金額を決めていくのが最も安全です。次のプロセスで謝礼金額を決めることを推奨します。
謝礼対象者に促したい行動の具体化
類似する他社事例の調査(同業以外も含む)
謝礼用予算の確保
謝礼金額と謝礼対象者数の最終調整
プロセス通りに行いつつ、以下のポイントにも注意しておきます。
Point1:他社事例は可能な限り解像度を上げる
このプロセスで謝礼金額を設定するときに一番慎重に行いたいのは、他社事例調査です。
一体どのような行動に対してどれぐらいの謝礼金額を設定しているのか、解像度を上げられる限り上げて「1アクションあたりの単価」を正確に把握します。
例えば、アンケートに答えたら1000円というケースに対しては、アンケート項目数や設問内容や対象者の属性などのだれに具体的にどんな行動を促すのかも解像度を上げて整理します。ざっくりと1アンケート回答1000円という捉え方をしてしまうと1アクションあたりの単価を見誤るので、こういう人にこれくらいのボリュームの行動に対して1000円の謝礼を設定していると言えるところまで解像度を上げておきましょう。
Point2: 謝礼金額には対象者の年収や忙しさも考慮する
謝礼金額には対象者の年収や忙しさも考慮することを推奨します。例えば、年収が高く日々忙しい医師や弁護士を対象者に多く含むのであれば、スキマ時間にわざわざ取り組んでも良いと思えるような高めの謝礼を設定すべきです。対象者となる母数も限られてますし、確実に謝礼キャンペーンは成功させにいく心づもりが必要です。
Point3: 抽選制は極力避ける
抽選で10名様に高額謝礼進呈のようなことをやると、見栄えはよいのですが、消費者も日々謝礼オファーを浴びて訓練されているので「どうせ当たらないんでしょ」と無視される割合が上がります。
一方で、ポイ活に前のめりな属性を持った人たちはタイパだけでも合えば応募する割合が高くなってしまうため、特にアンケート回答で抽選で謝礼進呈のようなことをやると回答者の属性が似通ってしまう問題が発生しかねません。
応募締め切り後の抽選作業や通知作業においても法務との調整作業が発生したりと社内手続き上の面倒も多いです。
こうしたことから、どうしても抽選制にしなければならない理由がない以上は抽選制は避けるべきです。
Point3: 謝礼金額を高く設定できない場合はオファーを工夫する
もし謝礼金額を他社ほど高く設定できない事情があるなら、タイミングや見せ方などオファーを工夫すれば低い金額でも同等効果を得ることは可能です。行動開始率、完了率をそれぞれ上げる作戦です。
例えば、次のような工夫が可能です。
完了推定時間の提示で行動開始率と完了率を上げる
イラストでステップを図解して行動開始率を上げる
入力必須項目の削減で完了率を上げる
マーケティング企画だけでなくデザイナーも巻き込んで取り組めば、どの会社でも効果が出ます。
Point4: 実施後の振り返りを忘れない
謝礼キャンペーンの実施後に、結果の振り返りを手を抜かずに行うことも大事です。次のような振り返りもできるとよいと思います。
謝礼対象行動開始数、完了数
謝礼対象者増加の推移
謝礼キャンペーンへの接触経路
同時期に実施されていた他社施策との比較(類似施策の有無、謝礼金額)
次回実施に向けての課題抽出
おわりに
インフレ時代に突入して物価も賃金も上がりつつある中で、いずれは謝礼金額も物価や平均年収に合わせてあげていかなければならない日が来るかもしれません。極端な話ですが、今の1,000円札の価値が20年後には500円の価値しかないのであれば、確実に見直しは必要でしょう。とはいえ、その頃には適正な金額をはじき出してくれるAIに頼ることにになっているかもですね。
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