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再会

2022年1月の話。


元彼と10年ぶりに再会した。


彼とは中学2年生の頃に半年程付き合っていた。
付き合うといっても手紙交換したり一緒に帰ったりと、本当に初心なことばかり。2人っきりで話すのすら恥ずかしい…そんな羞恥心まみれの思春期の恋だった。


彼はサッカー部のキャプテンで学年1サッカーが上手くて、足が速くて、小麦色の肌で、字が綺麗で、クシャって笑うそんな人だった。
どういう所が好きだったのかは正直よく覚えてない。けど彼のことが好きだったのは覚えている。好きで好きで、よく嫉妬していた。
「なんで私とはあまり話してくれないのに、あの子とは話すの!」「なんでコンクール頑張っての一言を友達に託して直接私に言ってくれないの!」って……いいよねなんか、真っ直ぐな14歳らしい恋をしてたなぁと思う。





彼は市内の高校に進学したので中学卒業きり会うこともなかった。成人式で会ったが声はかけず、そのままだった。

24歳の冬にたまたま地元の人たち数人で会うことになり、たまたま彼が私の家まで送ってくれることになり、たまたま10年ぶりに2人で話すことになった。


それは偶然のような必然のような出来事だった。



「当時は恥ずかしくて会話するのさえ難しかったよね。」なんて笑いながら話した。「私たち付き合ってたよね。懐かしいね。」ってたわいもない昔話をして楽しんだ。


そんな時だった。

私の家に着く前に
『まきときとちゃん、可愛くなったね。背も伸びたし大人っぽくなった。』と彼は言った。
その言葉を残して、私を送り届けてくれた。




嬉しかった。


本当に本当に嬉しかった。
私の人生においてこんな素敵な再会があっていいのかと困惑するくらい夢のような時間だった。あまりにもストレートに言葉を伝えてくるから思わず少し赤面してしまった。彼と付き合って良かったなと心から思えたそんな再会だった。
あの時の14歳の恋心をあのままピュアにしておけたのは、彼が素敵な人だったからなんだなと再確認できた。



そして次の日、思い出箱を漁っていると当時2人でしていた手紙が出てきた。
1枚の便箋にぎっしり書かれている彼の丁寧な字を見てまた心が温かくなった。そこには「君が彼女で本当に良かった。」「毎日楽しい。」「好きだよ。」と目を瞑りたくなるほどストレートな気持ちが書かれてあった。



私めちゃくちゃ愛されていたのね。こんなに大切に想ってくれている人がいたことをすっかり忘れていた。今や他人に見返りばっかり求める承認欲求モンスターになって、手に入らない幸せばかり望んで、手に入ったとしても満足できない、ないものねだりばっかり。
そんな自分が情けなくなった。



愛されていた、大切にされていた事実に目を瞑って、私は誰にも必要とされてないって泣き喚くのはもうやめよう。私を好きになってくれた彼にも失礼だから。


自分の愚かさと自己愛の強さ、彼の温かさを感じた再会だった。



私もこの子と付き合っていて良かったな。って思えるように胸張って生きたい。自分の愚かさと我儘に向き合いたい。 そう14歳の私が教えてくれた。


ありがとう。
人生頑張るね。

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