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デジタルバレンタイン

今日はバレンタインデー。
僕は学校に向かいながら、そわそわした気持ちで何度もスマホ見た。

ピコン
スマホが鳴った。

スマホには「チョコレートが届きました」
の文字。
期待したのも束の間、
なんだ母さんか…

自宅に届ける
コンビニで受け取る
送り先を指定する
の自宅に届けるにチェックを入れ、スマホを閉じた。

上靴を取ろうと靴箱を見ると
チョコレートが入っている。

今時靴箱の中にチョコレートを入れる子なんていない。
買いたいチョコレートのバーコードをピッと読み込み、日にちと送り先を入力すれば、相手に届くというデジタルバレンタインが当たり前だ。

チョコには
田中一郎様 美代子より とある。
田中一郎は僕の父だ。

その時学生服を着た今よりずっと若い父がやってきて、田中と書かれた僕の靴箱に手を伸ばした。

あれ?チョコ…
美代子って誰だよ。

それ、母さんだよ。
僕の声は届かないようだ。

父は不思議そうにチョコを持ってどこかに消えた。

夜帰宅して母に尋ねると、

あら、
2041年2月14日を間違えて、2014年にしてしまったんだわ!
あの頃はまだお父さんと出会ってないから、そりゃー誰だ?ってなるわよね。

母は呑気に笑った。


本文ここまで  

これはたらはかにさんの企画
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。

今回のお題は
【デジタルバレンタイン】のお題で、【SFチックな】ショートショート
でした。

この企画、410文字前後で書くというものなのですが…
すみませーん、483文字になってしまいました😣

ちなみに美代子お母さんは、夫の職場のロッカーに送ろうとしたみたいですけど、年を間違えたから、27年前の靴箱に届いてしまったようです。

なぜロッカーに?
家で渡せばいいじゃん!
と思ったあなた‥

単身赴任だったとか、サプライズだったり、はたまたドッキリだったり?
美代子さんの心の内はわかりません 笑笑

私の頭の中では、この話どんどん膨らんでしまって、ショートショートにするのが大変でした😅



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