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サイフォンコーヒー

テツヲさんが、サイフォンコーヒーの記事を見て、昔の記憶が蘇りました。

私の記憶の扉を開けた記事はこちら⬇︎⬇︎⬇︎

もう40年以上前の話。
その頃家に、サイフォンコーヒーを入れるセットがありました。
当時家にこれがあるところなんて、そうそうなかったんじゃないかと思います。

サイフォンコーヒーのセットは、誰が買ってきたのかわかりませんが、
父と母と姉が、使っていました。
一番使っていたのは姉だったと思います。

コーヒー入れるね、
そう言って、セットを準備し始めると、私はすぐにそこに行って、
その不思議な光景を眺めていました。

ゴロゴロゴロゴロ
豆をひく。
これは時々やらせてもらいました。
それから、その下についている、引き出しみたいなのを開けると、中に粉になったコーヒーが入っています。

その時点でもういい匂いです。
それから下が丸いフラスコのようなものを、スタンドに取り付けて、水を入れる。
上に、ロートと呼ばれる容器をおき、そこにフィルターをしてコーヒーの粉を入れるのですが…

そう言った詳しい説明は、テツヲさんがしてくれてますので、お任せして…

私は、ただ、科学の実験を見るかのように、
不思議な光景を眺めていました。

アルコールランプを使うので、その炎を見ているのも楽しい。

そしてフラスコの水がボコボコと沸騰して上に上がっていって、ロートにコーヒーがむくむくと上がっていくのが、本当に不思議。

それがまた、アルコールランプを外すと、すーっと降りてくるんだから…

そりゃもう、面白いですよ。

それに、その香りときたら、うっとりするほどいい香り。

だけど…

私はいつも見るだけ。

私がコーヒーを飲みたいというと、母は、インスタントコーヒーに牛乳と砂糖を入れてくれる。

今いれたコーヒーが欲しいというと、あんたにはまだ早いと言われた。

3人は、全員ブラックで飲んでいました。

だから、私もいつか、サイフォンコーヒーを飲む時は、ブラックで飲もうと決めていた。

サイフォンコーヒーをブラックで飲むことが、私の大人の階段だと思っていた。

私はその時、家族がみんなで美味しいコーヒーを飲んで(一名は嗅いで)いる光景が好きだった。
穏やかな、幸せな時間でした。

中学生になって、
私も飲んでみたいと訴えて、
初めて少しだけ、サイフォンコーヒーを飲ませてもらえました。

砂糖入れてもいいよ、と言われたけれど、
いらない、と言ってブラックで飲みました。

何という香りの良さ。
まるで鼻でコーヒーを飲むかのように、
コーヒーの香りがなくなってしまうくらい(なくならないけど)吸い込んで
それから一口。

苦い。
だけど、その香りの良さに、思わず美味しいと言っていた。
ちょっと無理していたけれど…

こうして私も、大人の階段を無事に登れました。

大人の階段昇る
君はまだシンデレラさ
幸せは誰かがきっと運んできてると信じているね

幸せは、誰かが運んでくれるものではないと
すぐに思い知らされますが…

しかし、私がサイフォンコーヒーを飲めるようになってまもなく、誰もコーヒーを作らなくなりました。

面倒くさくなってしまったのか、
それとも
みんなでコーヒーを飲むような家庭ではなくなってしまったからか…

私はその後ずっと、コーヒーはブラックです。
コーヒーの香りを楽しめるのは、
やはりブラックに限る。

コーヒーは好きだけど、
喫茶店に通うほどではない。
緑茶も、紅茶も、ハーブティーも、中国茶も、
なんでも美味しい。
香りも好き。

ただ、どの香りが一番好きかと聞かれたら、
やはりコーヒーだと思う。

飲まなくても、香りだけで癒される。

隣の席の人が、朝セブンでコーヒー買ってきて
デスクに置いていると、
私は横で匂いだけ盗む。

誰かがコーヒーを淹れている時も、
そっと匂いを盗む。

自分はせいぜいブルックスのコーヒー。
それでも、必ず匂いをじっくり嗅いでから飲む。

私にとって、
コーヒーの香りは、家族の団欒の香り
よき日の思い出

どこか陶酔感を感じる、その香り

たまには、従兄弟がやっている
サイフォンコーヒーのお店に行こうかな。

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