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顔自動販売機

篤郎は路地裏で
不思議な 
顔自動販売機

と書いてあるものを見かけた。
それには、アイドルやスポーツ選手、有名人などの顔の花が咲いた植物の写真があった。
なんか面白そうだな。
篤郎は1つカプセルを買ってみた。

カプセルの中には、一粒の種と説明書が入っていた。
水と肥料を多めに与えてください。
環境次第では普通の花が咲く場合もあります。
と書いてある。

篤郎は、毎日声をかけながら、肥料をやったり、水をやったりして、大事に育てた。

ある朝その植物に蕾がついた。

これ朝顔じゃないのかな?
篤郎はそう思いながらも、綺麗な花が咲いてくれたら朝顔でもいいな、などと思った。

そして翌日、とうとう花が咲いた。
普通の朝顔の形ではあったが、見たこともない、オレンジに黄色のサシが入った美しい朝顔だった。

篤郎はその花を見て、同僚の悦子のことを思い出した。
えっちゃんみたいな花だな。
そして自分が優しくて気が利く悦子のことが好きだと気づいた。

この種は全くの偽物と言うわけじゃなかったんだな。

しばらくして、その自動販売機のところに行ってみた。
よく見ると自動販売機の「顔」の字の前に「朝」の字が薄く消えかかり、花見本の写真にはアイドルや有名人の写真がペタペタと貼られていた。


ここまで 本文410文字

これは、たらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
の企画に参加したものです。

お題は、そのまんま
「顔自動販売機」でした。

いろんなシチュエーションが浮かびました。

自分の顔を自由に変えられる。
ペットやロボットに好きな顔をくっつけられる。
彼氏、彼女の顔を好きな顔に変えられるなど…

そして、好きな顔のお花が咲く植物があったら‥

あなたなら、誰の顔のお花がいいですか?
自分?

いや、怖すぎる…

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