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サブカル大蔵経956東海林さだお『バナナの丸かじり』(文春文庫)

東海林式梵我一如。文豪・東海林さだおは退院後も健在なり。さらに斜め上の擬人化は食材だけでなく自らの身体にまで及ぶ。帯の柄本佑さんが言うちっちゃい話が生命の歴史まで大宇宙に昇華する迫力。

油揚げは、あれでけっこう悩んでいるんですね。この生き方でいいのか、と、ずうっと悩み続けていることを多くの人(日本人だけ)は知らない。/豆腐として生まれたからには豆腐で生きていきたい、というのが彼の本心だと思う。p.133.134

本書の真骨頂。このあと、みそ汁の中で…両者は…。

あと…、丸かじりシリーズの解説、誰がふさわしいのか問題、いまだ正解出ません。どこかにいるはずなんですけど…。

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人間の口の中の仕事は、まあ、言っちゃあ悪いがぜーんぶ汚れ仕事です。/毎日毎日、そういう苦難の日を送っている口の中に、ある日一粒のグミを放り込んでみることにしましょう。急に綺麗事です。急に楽仕事です。遊び半分の仕事です。人気があるんですね、グミは口の中で。p.13

口の中。最も身近で生命維持の暗黒宇宙。以前ご法話で足の裏に仏様がいるというお話を聴きました。自分が気づかない感謝したことない足の裏に自分の命は運ばれ支えられてきた。そんか足の裏のようなはたらきを昔の人は仏様とかおかげさまと敬ったもんだと。それを想い出した。口の中様。

ガムの別れは常に悲しい。p.15

ガムみないな存在になりたいと昔思っていました。噛まれて同化しないで捨てられる存在は気高いような。

しかも全員頭のない体で整然。p.17

オイルサーディン追悼。缶詰は棺桶だ。

そして身分が高いのか低いのかよくわからない曖昧な地位のアイス最中。p.78

アイス・カースト発見。

注文すべき焼き鳥の名前を店員に告げて安心していると突然タレ・シオ問題を持ち出されてびっくり仰天し、結局店員にバカにされて帰ってくるという人生をくり返しているのです。p.104

先程見たYouTube「玉袋筋太郎の玉ちゃんねる」でもいきなりタレ塩場面出ました。常連ほど隙をつかれる。店長曰く、塩はどこも同じ、タレこそ店独自の味わいだと。


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