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サブカル大蔵経748稀見理都『エロマンガノゲンバ』(三才ブックス)

オリンピック開会式でのマンガのフキダシとゲーム音楽。現在の日本らしいクールさを表現するなら、デザインをエロ漫画家に依頼して欲しかった。

稀見理都さんの前作で紹介された世界唯一の進化を辿った芸術表現。常に進化する技術と発想。海外にはない歴史と環境。春画からの伝統だとすれば現代の江戸芸能ともいえる。劇団ひとりなら、触手で引きずりこめたのでは?と夢想します。

なぜ本書が貴重なインタビュー集なのか。

誰も今まで聞こうとしてこなかった鉱脈。

軽やかに語られるプロの厳しさと矜恃。

作家の著者への信頼感と、著者の使命感。

ベテランほど、柔軟な印象でした。

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【森山塔】そうですね、高校生の頃秋田書店や小学館から出ていた漫画文庫で真崎守、つげ義春、萩尾望都、大島弓子などを読んでました。p.19

 森山塔(山本直樹)の青年誌での異質性は萩尾望都と大島弓子由来だったのか…。そういえば『奇面組』の新沢元栄も最初は少女漫画でした。

あ、巨乳は宮崎駿さんで補正されました(笑)それまではガリガリの貧乳ばかり描いていたんですが、ナウシカで巨乳もいいなあと練習して、そこでちょっと補正されましたね。p.23

 ナウシカの影響が、まさか森山塔に…。『極めてかもしだ』連載前に補正された?

【河本ひろし】吾妻ひでお先生が大きな存在ですね。「レモンピープル」のピンナップか何かを見たとき、こんなかわいい絵が存在するんだと興奮しました。その頃までは水島新司先生が好きだったんですよ。p.52

 河本ひろしと水島新司!そういえば謎のスポ根的な泥臭い描写もあったような…。

【ダーティー松本】僕の単行本を持っていた人も家に置いておけなくなって、引っ越しの時に捨てちゃったりする。p.79

 エロ漫画の宿命であり勲章。空き地で拾ったエロ漫画雑誌には、いつもダーティー松本がいたような。空き地で出会う菩薩。

そうだ、僕も同じ24年組なんですよ。「エロマンガ24年組」(笑)p.83

 実は通底しているところがあるのでは?と思いました。24年組のエロス革命。

あと、デッサンは死ぬまでやったほうがいいです。いまだに朝はとりあえず書き始めがデッサンなんですよ。23枚の写真を見ながら書いています。p.90

 これだけレジェンドになられても…。本書で一番背筋が伸びた箇所。

【松山せいじ】松山版ピノコ。あれは唯一単行本に収録させてもらえてないんですよ。多分、秋田書店が自主規制しているんだと思うんですがわかりません。p.249

 エイケンから鉄道漫画へ移る間の時期でしょうか…。見てみたい…。エイケンで東雲(しののめ)という読み方を覚えました。

【早見純】親子でファンなんですって、母親と娘が2人で来たことが一度ありましたね。p.277

 この時だけ、日本を信じられる。

ペンネームも変えます。絵柄も変えます。p.280

 一番の衝撃。

三峯徹が載っている雑誌は美少女コミック雑誌であるという説。p.306

 伝説の読者投稿者。

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