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党内選挙はどうあるべきか

こんにちは、海原雄山です。

今日は維新党内での選挙はどうあるべきか、自分なりに考えを備忘録的に整理していきたいと思います。

したがって、今からここで論じることについて、異論のある方もいるかとは思いますが、『こういう考えもあるんだなあ』程度にふまえていただければと思います。


党内選挙をまず整理しよう

まず、党内選挙には何があるか、整理しましょう。

①党代表選

まずは、昨年も実施されて記憶に新しい党代表選です。

これは党の代表を決めるもので、他の主要政党でも行われているものです。

多くの政党では被選挙権が現職政治家(というより、実質的に現職出ない人は出られない?)にあり、一定数の特別党員らからの推薦が立候補には必要になります。

一般党員と所属議員に投票権が与えられますが、多くの場合前者と後者で一票の重みに差がつけられています。

維新の場合は、現状として一般党員も特別党員も一票の重みは同じで、これは創設者の1人である橋下徹氏の意向を強く受けたものと言われています。

②公職選挙公認候補予備選

次に、各公職選挙の立候補者を決めるための予備選です。

昨年は大阪維新において、大阪市長選公認候補を決めるための予備選が実施されました。

また、今年の夏は、大阪公明区4選挙区への公認候補を決定するための予備選が実施されています。

公認の公募自体に党籍の有無を問わないため、予備選の立候補は一般に開かれたものも多いですが、特別党員の推薦を求められる場合も多いです。(維新の大阪市長選予備選、大阪公明区予備選も同様)

選挙権は、一般的にその選挙区の特別党員らに絞る場合もあれば、一般党員も投票可能なパターンもあります。

また、昨年の大阪市長選予備選は党員はもちろんLINE会員にも選挙権があたえられていました。(ただし、票の重みは党員の9分の1になるよう調整)

被選挙権はどうあるべきか

まず被選挙権について考えてみましょう。

①党代表選と②公職選挙公認候補予備選の2つで分けて考えていく必要があると思います。

先に②について考えると、先述のとおり、公認候補公募プロセス自体、エントリー時に党籍の有無を問われないのが一般的かと考えられますが、維新の予備選においては、大なり小なり特別党員の推薦が必要になってきた経緯があります。

大阪市長選予備選では、大阪維新の特別党員1人から推薦を受ければ立候補できましたが、大阪公明区予備選では、選挙区内特別党員の概ね25%程度から推薦を受ける必要がありました。

これについて、特別党員の推薦の数が多ければ多いほど、特別党員に懇意な人の多い人でないと立候補できず参入障壁が高くなる、身内が有利となるという意見もありますが、『地元の特別党員からの支持がないと選挙に勝てない』という考えのもと大阪公明区予備選が行われているため、その趣旨には沿うのではないでしょうか。

つまり、この推薦人要件が適性のある候補者を絞り込む実質的な篩として機能しているということと考えられます。

対応する公職選挙の性質によっても、どこまで推薦人を求めるかは、議論があるでしょう。

次に①代表選について考えると、昨年の代表選であれば、国会議員であろうが地方議員であろうが、立候補に際しては推薦人を30人必要としていました。

しかし、昨年は馬場伸幸氏に300人近い推薦が集まり、(意図してか意図せずかは別にしても)他の候補らを威圧してるという声もありました。

そのため、現在代表選規則の改善案として、推薦人の上限を設ける案が出てきております。(個人的には、推薦人の数は支持の特別党員支持率のバロメーターであり、それが選挙戦においても反映されるべきと考えるので、この上限はなくてもいいのではと思いますが、政治玄人からするとこういうのは必須らしいです。ゆるふわ層の私にはよくわかりません。)

また、新しい代表選規則の中には、推薦人の数の要件として、『候補者と同じ議会の特別党員過半数または5人のいずれか少ない方』『必ず地方議員と国会議員が1人ずつ必須』というものも検討されているようです。


前者の要件については、一部から『議会内で人気のない人が排除される懸念がある』との声もあります。

しかし、個人的には、党を束ねるならば、同じ議会の同僚議員から推薦が得られるくらい信頼される仕事ぶりでないと、仮に代表選に当選したとしても、周りがついてこない=その後の党運営に支障をきたすことが考えられますので、同僚議員からの推薦は大事な要件だと考えます。

選挙権と投票制度はどうあるべきか

投票権の重み

先述のとおり、維新の党内選挙は、一般党員も特別党員も1人1票で、その重みに差が無いのが特徴的です。

これについては、少々難しい問題があります。

それは、特別党員に対して一般党員が圧倒的に多く、内情をよく知らない党員のなんとなくな空気で結果が左右されるのではないかという懸念の声も聞かれます。

一般党員がその候補者の仕事ぶりや人となりなどをすべて知ることができるかと言うと、必ずしもそういうわけではないです。その点特別党員や維新の中のスタッフは、身近にその人を観察してるわけで、より適性を見極めることができるという考え方もできるでしょう。

だとすれば、1つの選択肢としては、第一次選抜として特別党員や政界の専門家による選考を実施した上で、第二選抜として一般党員等による投票にかける等の制度設計も取りえるのではないでしょうか。(大阪市長選予備選はこれに近い形式でした。)

あるいは、一般党員と特別党員の投票の1位2位が特別党員による決選投票で雌雄を決するというのもありかもしれません。これは、自民党総裁選であるパターンですね。

LINE会員の投票

また、大阪市長選予備選では、LINE会員による投票制度も取り入れられました。

これは、当初電話による世論調査を行うことを想定されてましたが、公職選挙法に抵触する可能性があるため代替案として作られた制度です。

趣旨としては、維新公認候補として誰が相応しいか広く意見を聞くものと捉えていますが、これは、大阪市長選に限らず、代表選を始めとした、他の党内選挙にも是非導入すべきと個人的に考えます。

一般党員からしたら、なぜ自分たちは党費を払って1票を投じてるのに、LINE会員はタダで投票できるんだという批判の声もありますが、個人的には、党員以外の人も候補者決定のプロセスに巻き込むことで、広く世間の関心をもってもらうことができると考えます。

一般党員とバランスを取るため、有効投票数にウェイトをつけることで不満は一定緩和されるでしょう。

また、党員票とLINE会員票の2票持つこともできて、1人しか選べないことによる微妙な民意の汲み取りができないという弊害も克服できるのではと思います。(Aさん、Bさん、Cさん…の中で、甲乙つけ難い場合、ウェイトをつけて投票が可能)

選挙運動はどうあるべきか

応援の仕方


さて、選挙運動の話です。

②の公職選挙の公認候補決定の予備選は少々センシティブで、運動の仕方によっては公職選挙法における事前運動の規定に触れる恐れがあります。

したがって、現状において予備選は、あくまで一定のクローズドな形をとらざるを得ず、例えば大阪市長選予備選では、特別党員による選挙運動は禁止されたり、一般党員や維新支持者も候補者の応援が一定自制を求められたことは記憶に新しいかと思います

。実際、一般党員の応援は、特定候補者に対するひどい誹謗中傷等が無ければ、別に差し支えないものだったようですが、この件については後述します。

一方、①の党代表選はどうかというと、別に公職ではなく、一党の代表を決める話にしか過ぎないので、そこらへんの縛りは無く自由度があります。

しかし、ここで①②に通じるいくつかの論点があります。

まず、例えば、特定の候補者を応援する立場にあるとして、その対立候補等を貶めるような言動(いわゆるネガキャン)が、党全体のイメージを下げないかということ。

昨年の代表選では、主にSNS上において、政策の批判ではなく、根拠のない誹謗中傷や党代表選自体の信頼を落とすような批判を表でやる(もっとも、党代表選事務局や応援する特別党員の側にも大いに落ち度はありましたが)ことの是非について物議を醸しました。

中には、特定の候補者の応援アカウントを装ってその候補者の評判を落としたり、応援アカウントのはずなのになぜか代表選撤退を促したりといった事象も見受けられました。


こんなことツイートする必要ある?(のちにツイート、アカウントともに削除された模様)

こうした行為は代表選の品位を下げ、決して、維新の対外的イメージをアップさせることにはなりません。

こういう事象が起きるからこそ、①においても一般党員や一般有権者の人たちの応援や選挙運動について一定の自制を求められることになるのだろうと考えられます。

政治好きな方は熱心でまじめな方が多いゆえに、感情が入りすぎて、自分のひいきの候補のために対立候補をついつい貶める行為を行いがちですが、外部や一般からどう見られるかは考慮にいれて、慎重に発信する姿勢が求められるでしょう。

党員名簿どうする?

そして、もう一つの論点は、党員名簿をどうするかという問題です。

党内選挙は一般党員も参加できる形が多く(ただし、兵庫維新代表選では特別党員に有権者を絞っていた)、しかも、特別党員と同じ一票。

よって、いかにして一般党員にアクセスするか、一般党員に候補者の主張をどのように伝えるかが、選挙戦を有利に働かせるために重要となってきます。

その際、党員名簿をどこまでオープンにするかが議論になります。

昨年の代表選では、候補者に党員名簿を公開するかどうかは、各支部長の判断となっていて、党から一括で渡すことはしていませんでした。

そこは、今回の大阪公明区の予備選においても同様で、特別党員が持っている名簿を候補者に見せるかどうかは、その特別党員の判断となっています。

このため、下記のような批判がありました。
・より多くの特別党員の推薦や支持を集めた方が選挙に有利になり、党員民主主義とは言えない
・党員名簿は、特別党員の個人資産ではなく党のものなので、一特別党員が公開するかしないかを判断するのはおかしい

これらの批判は、確かに筋が通っています。

一方で、私個人としては、こう考えます。

党員が特別党員の言うことを100%聞くかと言えば、そういうものでもないので(下記画像参照)、党員名簿を握っている特別党員を多く抱えた方が有利かと言うと、必ずしもそうではないと思います。

代表選時に一般党員に電話作戦をかけたときの馬場陣営の様子

党員になるというのは、支持者になるというのと比べて非常にハードルが高く、一定の政治的リテラシーを持った方=ガチ勢も多くいらっしゃると考えられます。

そのため、どの候補が代表や公認候補に相応しいか、単純に特別党員の意見を鵜呑みにして判断するかというとそういうわけでもないと考えられます。

実際、昨年当noteで実施した党代表選についての意識調査においても、 代表を選ぶにあたって重視する要素として「政治家の推薦や支持」と答えた方は極々少数でした。

したがって、単純に紐づけとなっている特別党員が推すからと言って、一般党員がその人に投票するかというのは別問題と言えるでしょう。(もっとも、一般党員に対してPRする機会がより多く得られるということは別に否定はしていません。)

また、仮に多くの特別党員の推薦や支持を集めた方が選挙に大いに有利になったとしても問題ないと考えます。と言うより、むしろそうあるべきだと個人的には考えます。

党をまとめる代表を決める代表選では、推薦や支持が多いということは周囲からの支持があるということであり、当選後の党運営も安定すると考えられます。

特別党員からの応援される候補が選ばれてほしいという吉村共同代表の想いがある今回の大阪公明区予備選の場合だとなおさらのことで、(地元)特別党員から多くの支持を集める候補者が有利になるべきでしょう。

よって、私としての考えとしてはは、党員名簿の扱いは、特別党員が判断する現状の扱いで良いということです。

他方、これは、一般党員に最低限の情報がいきわたっていることを前提としています。

昨年の代表選のように、政見がQRコードで公式サイトにアクセスしないと見れないというのでは、スマホなどが得意でなかったりスマホを持っていない方(主に高齢者?)は、誰が立候補しているのかさえ分からず、それこそ特別党員がこの人ですと言った候補しか記名できなかったり、あるいは面倒になって投票を棄権するということが起こります。

今回の大阪公明区予備選では、どうやら有権者である一般党員に候補者の政見チラシのようなものが郵送されているようなので、一定の改善が見られるのは評価されるべきでしょう。

まとめ

私なりの党内選挙のあり方について、たらたらと書き連ねましたが、私の考えがすべて正解だということではないと思います。

みなさまの中にも、党内選挙はかくあるべきというものがあると思いますので、みなさんの意見も是非聞かせてください。

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