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取材しやすい人、しにくい人

職業別ベスト3/ワースト3(私見)

さまざまな職業の人を取材する機会があるが、取材しやすい職業ベスト3を私見で選ぶなら、弁護士・大学教授・政治家となるだろうか。

いずれも総じて取材慣れしているし、自分の意見を論理立てて人に説明することに長けた職業だからである。
 
同様に、物書き(ジャーナリスト、評論家など)、企業経営者、企業の広報担当者(これは取材しやすくてあたりまえだが)も、おおむね取材が楽だ。

逆に、取材しにくい「ワースト3」を挙げると、芸能人・物書きを除いたアーティスト・一般人となる。

芸能人は、わがままだったり気難しかったりして、「扱いにくい人」がやはり多い。また、取材時に同席するマネージャーが途中で横槍を入れてくるこもある。何かとやりにくいのだ。

アーティストの場合、①気難しい人、②話が抽象的すぎてわかりにくい人、③無口すぎてインタビューにならない人にぶつかる率が高い。①②③の三拍子が揃っている人もいる。
「インタビュアー泣かせ」としてギョーカイに名を馳せているロック・アーティストなども多い。

一般人は、一見取材しやすいように思えるが、じつは意外な強敵である。
なにしろ「生まれて初めて取材というものを受けた」相手が大半だから、うまく話を引き出すためには技術を要するのだ。
話がなかなか要領を得なかったり、レコーダーのスイッチを押したとたんに緊張して「貝になって」しまったり(だから、一般人相手の取材ではレコーダーを使わないことも多い)……。

むろん、以上のことはあくまで一般論で例外もあるし、私とは感じ方が違うライターもいるだろう。

こんなことを考えるのは、私がどちらかというと取材が苦手(昔に比べればかなりましになったが、いまだに苦手意識アリ)だからでもある。
「取材が得意で、好きでたまらない」というライターなら「弘法筆を選ばず」で、「◯◯は取材しにくい」なんてことは言わないだろう。

「スイッチオン!」するだけの取材も

取材慣れした能弁な人の中には、名人芸のような人もいる。
そういう人への取材は、たとえばこんな感じで進む。

「先生、今日は〇〇についてと〇〇について、この2点を伺いたいのですが……」
「うん、わかった。1時間くらいでいいね?」

それで、「スイッチオン!」。そこからはもう、こちらはときおり相槌を打てばオーケイである。1時間きっかりで、テープ起こしすればそのまま記事に使えるような理路整然とした話をしてくださる。

しかも、話の中にはタイトルになるようなフレーズ、小見出しに使えるフレーズがきちんと入っているし、笑いなどの読者サービスまで盛り込まれているのだ。
マスメディアで活躍する識者の中には、そのように「取材がラクだから重宝されて売れている」人が、一定数いる。

ただし、話がうまくて取材しやすい相手の中には、まれに「話術だけがすごくて、話は無内容」という人もいるので、要注意である(笑)。

巧みな話術に幻惑されて、「いやー、いい話が聞けた」と満足して帰ったものの、いざ文字起こししてみたら思ったより中身がなく、記事にするのに往生するケースがあるのだ。

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