見出し画像

偽薬だけでなく実薬にもプラシーボ効果はあると考えられている

【実薬のプラシーボ効果】

 「……しかし、プラシーボ効果というのは、一般的に副作用のない偽薬のことであり、薬理効果・副作用のある実薬ではプラシーボ効果は起きないのでは?」という声が聞こえてきそうです。

 実はこれは私も引っかかっていたことでした。

 宇多川久美子という薬剤師の本に「実薬にもプラシーボ効果はある」といったことが書かれていた記憶がかすかにある程度で、詳しいことはよくわからないままでした。

【抗生物質のプラシーボ効果】

画像1

 そんなある日のことです。アンドルー・ワイルの〈人はなぜ治るのか〉という本の中におもしろいエピソードを見つけたのは。引用します。

 医師自身を含む、いわゆる世故にたけた患者にもプラシーボ療法がよく効く一例として、ウィルス性の喉の痛みに対する抗生物質処方の例をあげてみようか。普通の喉の痛みは、ほとんどが細菌性ではなくウィルス性で、抗生物質は細菌には効いてもウィルスにはなんの効果もないはずである。したがって、いかにひどくしつこい咽喉痛でも、特定の細菌による感染が証明されない限り、抗生物質療法は適応外ということになる。(中略)

 私は、抗生物質療法を開始して24時間ないし48時間以内に、ウィルス性の咽喉痛が収まった患者の症例をたくさん集めてみた。その中には、ほかの治療では何日も、何週間も治らなかったというケースもあった。

 ウィルスによる喉の痛みが、なぜ抗生物質で治ってしまうのか?プラシーボ反応以外には考えられないし、それで治る人が多いということは、医師・患者双方の抗生物質の効力に対する信仰がいかに強いかを示しているといわざるをえない。私が集めた症例の患者は、その大半が知的職業に従事していて、典型的なプラシーボ陽性反応タイプとはほど遠い人たちだった。その中には内科医もいるが、彼らは自分で抗生物質を処方して、たちまち咽喉痛を治してしまったのである。

【プラシーボ効果を引き出すために偽薬を使う必要はない】

 もう1つ。サイモン・シン/エツァート・エルンスト〈代替医療解剖〉から引用します。

 最後にもう1つ。プラセボ効果に頼った治療を避けなければならない理由がある。実際、その理由は非常に有力なので、偽の薬や治療法を日常的に利用する必要はどこにもなく、まったく正当化できないことがすぐに明らかになるだろう。プラセボ効果はときに非常に有益なものにもなるという点は誰も否定しない。しかし実を言えば、プラセボ効果を引き出すために、偽薬を使う必要はないのである。一見すると逆説的だが、少し詳しく説明すれば、あまりにも当然のことだとわかるだろう。

 医師が効果の証明された薬を処方すれば、患者には生化学的、生理学的な効果があるだろう。そしてその効き目は、プラセボ効果によって常に強められるということを思い出そう。薬の標準的な効果のほかに、その薬が効くと患者が期待することによって、標準的なレベルを上回る効果があるはずなのである。別の言い方をすれば、効果の証明された薬には、プラセボ効果というおまけがついてくる。それなのになぜ、プラセボ効果だけしかない治療を受けなければならないのだろうか?なぜセラピストは、プラセボ効果だけしかない薬を使うのだろう?それは単に、患者を騙しているだけではないのだろうか?

 ……これでわかるように、副作用のない偽薬だけでなく副作用のある実薬にも「プラシーボ効果はある」と考えられているようです。

 ならば当然、血圧や血糖値を下げる薬にもプラシーボ効果はあるはずで、現代医学と主治医を信用しながらそれらを飲んだ患者の体調はよくならなければおかしいはずです。

 が━━実際にはそうはなっていません。私のプラシーボ効果への疑念は、ますます強固なものになっていきました。

 ちなみに前述のエピソードについてワイルは「抗生物質には喉の痛みを和らげる効果があり、プラシーボ効果ではない可能性もある」といったニュアンスのことも書いていることを付け加えておきます。

【まとめ】

 ●偽薬だけでなく副作用のある実薬にもプラシーボ効果はあると考えられている。


 この記事が少しでも役に立ったと感じていただけたら応援クリックお願いします🙏


 無数の日本人が服用しているコレステロール低下薬。しかし、コレステロールは高いほうが健康によく、薬で下げる必要はないのです。コレステロール低下薬の服用をやめることをぜひご検討ください。

目次へ


サポートしていただければ嬉しく思います。もちろん、すべて《世界の真実》を見つけるための費用にしたいと思っています。