パ・リーグ投手/累積投球数トップ10(2013-2022年)

NPBの過去10年間のシーズンで、「投球過多」の投手は誰なのか。
累積投球数が多かった投手を調べたみた。

前回はセ・リーグに在籍している投手を取り上げ、この10年間で累積投球数10000球を超えた投手は11人いた。

1位 菅野智之(巨人)25,308
2位 西勇輝(オリックス・阪神)24,785
3位 大野雄大(中日)22,902
4位 小川泰弘(ヤクルト)22,875
5位 大瀬良大地(広島)18,426
6位 九里亜蓮(広島)16,192
7位 今永昇太(DeNA)14,189
8位 田口麗斗(巨人・ヤクルト)12,641
9位 青柳晃洋(阪神)12,010
10位 柳裕也(中日)11,442
11位 小笠原慎之介(中日)10,972


今回は、パ・リーグに在籍する投手をみてみよう。


パ・リーグ投手のシーズン投球数トップ5の推移(2013年-2022年)



まず、2013年以降、パ・リーグの投手でシーズンの投球数が多かったトップ5は以下の通りである。


2013年にデビューした則本昂大(楽天)が6年連続でトップ5入りし、そのうち2年目から3年連続を含む4度、トップに立っている。
しかも、シーズン3000球越えが3年連続で、通算5度もある。

則本以外にリーグトップに立ったのは、金子千尋(オリックス・日本ハム)、岸孝之(楽天)、涌井秀章(楽天)、千賀滉大(ソフトバンク)、高橋光成(西武)、山本由伸(オリックス)である。
しかも、2019年までは毎年、シーズン3000球超の投手が存在した。


パ・リーグ投手の過去10年間の累積投球数トップ10

次に、現在、パ・リーグに在籍する現役投手が過去10年間のシーズンで、累計でどれくらい投球数を投げたのかを集計してみた。

その結果、累計で15000球以上を投げている現役投手はパ・リーグ在籍だけで10名いる(西勇輝はオリックスから2018年オフに阪神へ移籍したため除外)。
一方、セ・リーグでは6人である。

パ・リーグの投手の投球数がセ・リーグの投手より多い理由は、やはりDH制の影響だろう。

2013年にデビューした則本昂大(楽天)が26163球で断トツで堂々のトップ。
則本昂大はNPB全体でみても、セ・リーグトップの菅野智之(巨人)の25308球を凌いでトップである。
則本昂大と菅野智之は共に2012年ドラフト入団組である。

2位にはこのオフ、中日への移籍が決まった涌井秀章(ロッテ・楽天)、3位は僅差で涌井の同僚だった岸孝之(西武・楽天)、4位には2014年にデビューした石川歩(ロッテ)、5位はこのオフ、日本ハムを自由契約になった金子千尋(オリックス・日本ハム)がランクイン。
いずれも2010年代の各チームを代表するエース格ばかりだ。

パ・リーグ投手の過去5年間の累積投球数トップ30

では、直近5年間で累積投球数が多い投手はどうか。
5年間で累積投球数5000球を超えた投手は27人いるが、そのうち10000球を超えた投手は5人だけである。



過去5シーズンの累積投球数で見ると、今オフにMLB移籍を表明している千賀滉大(ソフトバンク)がトップに立つ。

続いて、2年連続で「投手五冠」というNPB史上初の快挙を成し遂げた山本由伸(オリックス)、則本昂大(楽天)、上沢直之(日本ハム)、高橋光成(西武)が続く。

現在、パ・リーグで年間2000球以上を5年連続で続けた投手はゼロ

気になるのは、この5年間を見ると、5年連続で年間2000球以上を投げた投手が一人もいない点だ。

高橋光成だけが唯一、4年連続でシーズン2000球以上を継続している。
2000年はシーズン120試合しかなかった点を考慮すると、1961球を投げた山本由伸も実質、4年連続2000球以上をクリアしたと言ってもよい。

そう考えると、直近3年連続でシーズン2000球前後を投じた先発投手は、来季、故障に要注意だということがいえるだろう。

要注意なのは、高橋光成、山本由伸、則本昂大、田嶋大樹(オリックス)、松本航(西武)、小島和哉(ロッテ)あたりである。

続いて、要注意予備軍なのは、美馬学(ロッテ)、石川柊太(ソフトバンク)である。

「エースたるもの、痛くても調子が悪くてもマウンドに上がるもの」という考えは美しいが、稀有な才能を使い潰してしまっては元の子もない。

「職業としてのプロ野球」を考えるのであれば、チームの首脳陣も、個々の投手の選手生命、すなわち登板過多の問題には配慮すべきだし、投手個人もそれを脅かすリスクに自覚的にならなければならないと思う。


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