『骨と十字架』配信をみましょう

ごきげんよう、なかにしけふこです。
きょうは新国立劇場ウェブサイトでの『骨と十字架』無料配信のお知らせにまいりました。

『骨と十字架』配信を見ましょう


新国立劇場のウェブサイトで10月2日まで『骨と十字架』(野木萌葱作、小川絵梨子演出、2019年7月初演)の無料配信をしてくださっています!
わーい!拍手!

進化論を支持して救済論・原罪論を刷新しようとしたことで問題視された実在のイエズス会所属カトリック司祭・古生物学者ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(1881-1955)の1920年代の信仰と科学のあいだの葛藤を対話劇で描いた作品で、セキュラーセクターから登場した紛れもない傑作です。ぜひ見ましょう。

ほんとうに無料でいいのですか、と恐縮したくなります。
円盤と台本を販売してくださるならぜひ買います。
新国立劇場さまどうぞよろしくご検討ください。

いまのテイヤール先生再評価

1955年4月にニューヨークで帰天した後もテイヤール・ド・シャルダンはカトリック界ではコントロヴァーシャルな存在でありつづけてきました。
学問関係教会関係の同志たちが編纂した著作集が、スイユ(Seuil)社から陸続と刊行されます。しかし、テイヤールの著作は1962年に教皇庁から要注意物件として警告(monitum)をうけました。
日本でも『著作集』の刊行から間を置かずにみすず書房から邦訳版『テイヤール・ド・シャルダン著作集』が刊行されています(全集ではありません)。当時のフランス文学研究界の実力者たちが力を注いで翻訳しています。月報からも当時の新しいカトリック思想の潮流を紹介し、新しい道を開く熱意が感じられます。お近くの図書館(特に大学図書館に行ける方は大学図書館)でぜひ検索なさってみてください。

昨今の環境倫理の大きな見直しの必要からテイヤール・ド・シャルダンの名誉回復が進んでいます。
教皇フランシスコは回勅『ラウダート・シ』でテイヤールの「自然の一員として生きる人間」の思想に注目しましたし、フランスではイエズス会とローマ・カトリック教会パリ・エヴリー・ナンテール・ヴェルサイユ教区のきもいりでテイヤール・ド・シャルダンセンターがパリ郊外サクレーの学園都市に開設されました。
極北の測候所のような木造のカッコいいたてものです。
公式ウェブサイトへのリンクをはっておきます。英語版ができましたね。


ということで、繰り返しますが、今回の『骨と十字架』無料配信は時宜を得た企画です。ぜひご覧下さい。

なかにしによる関連記事



私のブログ「ホッキョクウサギ日誌」での初演時コメントはこちらです。
『福音宣教』(オリエンス宗教研究所刊)2020年3月号・5月号・6月号にもテイヤール・ド・シャルダン紹介文を書きました。

主演俳優・神農直隆さんへのインタビューを『福音宣教』2000年4月号で行いました。
神農さん、新国立劇場さま、『福音宣教』編集部のみなさま、その節はありがとうございました。
当時の私のブログでの告知文はこちらです。


2019年秋学期からの私のキリスト教関係宗教学関係クラスの受講生・卒業生のみなさまへ


どれだけの方がこちらのnoteをごらんになっているかはわからないのですがなかにしが授業で紹介してきたあの作品がついに配信されます。
傑作です。
まぎれもない傑作です。
ぜひ見ましょう。
9月末開講クラスのみなさんは大至急見てください。


『刀剣乱舞』とそのメディアミックス作品の感想からこちらに来られたみなさま、『アイドリッシュセブン』の感想からこちらに来られたみなさまへ

お互いに理解し合いたいと思って至高を求め、切磋琢磨しながらけっして互いに手が届かない二人と、知性の瞬きある会話の応酬に思いをはせるみなさまにはきっと響くものがあります。
本作長義と山姥切國廣(伯仲組)のファンのみなさま、七瀬陸さんと和泉一織さんのやりとりに胸打たれるみなさまに熱をこめておすすめします。

みなさま、ぜひ『骨と十字架』を見ましょう。



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