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煙草は"良い子ちゃん"の武器(後編)

一週間は「煙草を持っている」という事実だけで
「悪いことをしている私」という名目で生きることができた


午後3時くらい
その日は休日で寒い日だった

私は近所で煙草が吸えそうな場所を探し歩いた
喫煙者の気持ちが少しだけ分かった気がした

最初はライターの付け方が分からなかった
指が水膨れを起こすくらい何度もこすった

吸い方もよくわからなかったが
なんとなくの持ち方と吸い込み方で吸ってみた


世の中に唾を吐いているような
そんな気持ちになれて
ちょっとだけ自分が強くなれたような気がした


その後は2~3日に一度のペースで
死にたくなった時
一本だけ吸うようになった。

誰も私が煙草を吸っているなんて知らない

その事実が
私の中に自分だけのスペースのようなものを誕生させ
誰にも左右されないような強さをくれた

手に残る煙草の香りは結構好きだった

夜、赤く線香花火のように光る煙草を見ながら
一人物思いにふけるのは
思っているよりも良いものだった


最近は久しく煙草を吸っていない
またこの話は後日出来たらと思うが
理由は愛の力とでも言っておこう


私が煙草を吸っていた事実を
私を知る人は誰も知らない


私のような全国の良い子ちゃんへ
本当に死にたくなった時は
煙草に逃げてみるという選択肢がある

"ワル"になってみるというのは
自分に強さをくれる

ただその事実は周りには周到に隠すべきだ
周りを困らせたり悲しませたりするのは
我々が最も避けねばならぬことである

隠してこそ、その強さや人としての深さが表情や行動に現れる


先輩に誘われて吸い始めた
なんかかっこよさそう・モテそうだから吸い始めた

そんな浅はかな理由で
路上喫煙やポイ捨てを行う奴らとは一緒にしないでほしい


私達にとっての煙草は自分軸を貫き通すための武器の一つなのだ


全国の良い子ちゃんが強く生きれることを祈って

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