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142:「広大で大部分からっぽの空間」のコピー

空をわれわれは,重力のはたらく向きとは反対方向に広がる,広大で大部分からっぽの空間と特徴づけたことを思い出そう.地表を撫でまわす巨人は,地球とそのまわりの空間の境界を知覚するのだから,地球を知覚するのと同時に,そのまわりの空間も知覚すると言えよう.そして,このまわりの空間が,重力の向きと反対方向に広がり,広大で大部分からっぽであることも知覚する.つまり,われわれが特徴づけたような空であることを知覚する.p. 194

前回のnoteは,コピトラのインタビューで「空がコピーできた!」という言葉が興味深いということだけを書いて,終わってしまった.今日は,空についての上の引用とコピトラの「空がコピーできた!」を考えてみたい.

空を「重力のはたらく向きとは反対方向に広がる,広大で大部分からっぽの空間」と考えたときに,それがコピー機でコピーできるのか.コピトラはコピーができたとしている.確かに,青い空を示す青い平面はコピーできたのかもしれないが,それが空をコピーしたことになるのか.「広大で大部分からっぽの空間」ではなく,青い平面,太陽からの光を散乱させて青くなっている状態をコピーできたのではないか.

しかし,飯田の「広大で大部分からっぽの空間」の方が間違っているような気もする.空は見上げたときに広大に広がる青い面のような気がするからである.しかし,そうすると,青い面とコピー機とのあいだが開いてしまう.「広大で大部分からっぽの空間」だとすると,コピー機と空とは接触しており,コピーによってその空間の一つ面が写し取られたと考えることできる.しかし,ここでも「広大で大部分からっぽの空間」で青い面となっているところは,コピー機から離れているとも言える.

果たして,コピトラは「空がコピーできた!」のだろうか.やはりできたのだろう.飯田の「広大で大部分からっぽの空間」が青い面に集約されて,平面化されてコピーされた.もしくは,コピー機によるコピーとは空間を平面にすることだとすれば,コピーは確かにできたのだろう.「広大で大部分からっぽの空間」はコピーされた空の色の中にすべて入り込んでいる.

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