019:画面全体と個別でバラバラとなった身体との連動というVRの前提

カーソルの内面化としてのスマートフォンの画面があり,そこでは,カーソルによって身体がバラバラになっていることを前提とした画面設定がなされている.個別な身体は身体全体との連動性ではなく、画面全体との連動性のなかで機能するように画面が設定されている.画面全体と個別でバラバラとなった身体との連動というVRの前提が出来上がる.

ある1点への行為が画面全体=平面=空間と連動していき,スマートフォンでは,バラバラとなった身体が画面全体との連動が当たり前になっている.ここでは,生物的身体というか,統一的な身体は必要とされていない.必要なのは,画面に触れる指という個別化した身体であり,スマートフォンを握る手であり,スマートフォンを移動させる足といった,機能によってバラバラになった身体の寄せ集めである.そして,バラバラとなった身体と連動する画面には地と図との区別があるようでないというか,それはいかようにも設計できるようになっている.

地と図とがのっぺりとしたいかようにも設計できる空間のなかで,バラバラの身体の行為を設計していくことがVRでは求められているのではないだろうか.地と図との区別が明確ではないのっぺりした空間もバラバラの身体もあまり馴染みないものであるからこそ,二つをうまく使って,生物学的に統一された身体からバラバラ化が可能な知覚原理としての身体を引き離してみたい.

このように考えると,VRとはバラバラ化した身体とのっぺりとした空間認識を重ね合わせられる環境なのかもしれない.のっぺりとした空間もまた個別にバラすことができる.個別な要素設計することから,空間自体に意味が与えられる.意味が与えられたバラバラでのっぺりとした空間で,バラバラ化した身体が最小化された行為を遂行していく.そのときに,統一的な身体とバラバラ化した身体とを結びつけるのが呼吸であると考えてみる.バラバラであっても,ヒトは呼吸が必要であり,呼吸という行為が,身体が身体であることを保つのである.

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