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業界情報 住宅

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⚫️2021.9.7NewsPicks

業界情報 住宅
⚫️2021.9.7NewsPicks📱

【サマリー】
コロナ禍を背景に
住宅の間取りが変わる
よりゆとりあるスペースがニーズに

【思ったこと】
工夫が増える
工夫してころの生き残り

もう家の中に廊下は要らない。コロナ禍で進化するマンションの間取り



奥に見える玄関から廊下を兼ねたリビングがまっすぐに配置された間取り。筆者撮影
 コロナ禍は、マンションの間取りにいくつかの変化を及ぼした。テレワークが増えたことで、住戸内に仕事スペースを設けるケースが増えたのもそのひとつ。そして、最先端の動きとして、「室内廊下をなくす」動きが出て、不動産業界の注目を集めている。
 各地のモデルルームで出合った「室内廊下をなくす」事例と、その利点を解説したい。
室内廊下をなくすと、住戸内が広々する
 下の写真は、江東区大島で分譲中のマンションのもの。玄関を入ってすぐの寝室を廊下スペースと一体化。どこまでが寝室か、どこからが廊下かを曖昧にして、寝室が広く感じられる。


「ブリリア大島パークサイド」のモデルルーム3LDKにて。筆者撮影

 次の写真は、横浜市内で分譲されているマンション2LDKのモデルルーム。玄関からリビングに向かう通路の途中に、フルサイズのシステムキッチンを設置。本来は室内廊下になるスペースを、キッチンスペースに取り込んでいる。
 そのおかげで、開放的なキッチンができあがっている。


「ライオンズ横濱関内レジデンス」のモデルルームにて。筆者撮影

もっと積極的に室内廊下をなくした、個性的間取りも
 兵庫県西宮市で分譲中のマンションでは、完成した建物内で3つの提案型モデルルームを公開しており、その中には大胆に室内廊下をなくしたプランが含まれる。
「みんなの笑顔を見晴らすMa」と名付けられた間取りでは、玄関ドアを開けると、専用庭まで縦長の巨大リビングダイニングが目に飛び込んでくる。(下の写真参照。タイトル写真も同じモデルルーム)


「ルネ西宮甲子園」では、事業主の総合地所が一級建築士の渡辺淳一氏とともに考えた、今までにない間取りが提案されている。写真手前に、床が少し下がっている部分が見える。この部分が玄関となる。筆者撮影

 巨大なリビングは、室内廊下を取り込み20畳近い広さ。土足で歩くこともできるように床の強度を上げてある。廊下部分とともに玄関部分も取り込み、古民家の「土間」感覚で仕上げてあるところが、むしろ新しい。大テーブルを中心に、コロナ禍で家時間が増えた家族が思い思いの時間を過ごすことができるスペースだ。
 この間取りでは、20畳のリビングダイニングに沿って寝室やキッチン、洗面所、浴室、トイレが並べられ、プライバシーも確保される。


引き戸が設けられたキッチンと居室。引き戸なので、開け放して生活することもしやすい。筆者撮影

 ほかに「センターリビングの間取り」というべき間取りの住戸は、3LDKを基本としながら、バルコニーに面して設置されがちなリビングを住戸の中央に配置している。この間取りでも、室内廊下をリビング内に採り入れている。


「ルネ西宮甲子園」につくられた提案型モデルルームのひとつ。住戸の中央部分にリビングがあるプランだ。このリビングが室内廊下を兼ねている。筆者撮影

 以上4つの間取りは、室内廊下を設けなかったり、室内廊下を設けても、そのスペースが生活空間に取り込まれているのが特徴。廊下を通路だけにしないところが新しい。
 一般的に、マンションの室内廊下は2〜3畳分の広さとなりがち。そのスペースをリビングなどに取り込めば、個性的な間取りが完成するし、住戸内の生活スペースが広がる、という利点も生じる。
 しかし、室内廊下をなくして不都合はないのか、という疑問も湧く。というのも、マンションの室内廊下は、これまで重要な役割を果たしていたからだ。
じつは、室内廊下は、日本のマンションを進化させた立役者だった
 日本のマンションが広まったのは、昭和30年代から。最初は、鉄筋コンクリート造でも中身は和風だった。
 畳の部屋が3つと板の間のダイニングが1つ。計4つの部屋が襖で仕切られ、上から見ると、居室が「田」の字のように配置された。
 この間取りは、昔から日本の民家で見られた形式。襖で4つの部屋を区切り、襖を取り外せば大広間が出現するという便利な間取りである。
 昭和30年代のマンションも襖1枚で居間、主寝室、子供部屋を分けるタイプが主流だった。が、これは、プライバシーが守られず、居間の声が勉強の邪魔になるなど、不満の声が多かった。
 そこで登場したのが、生活空間を分ける工夫。リビングと寝室を離し、さらに、主寝室と子供部屋も離してプライベートを大切にし、音の問題が少なくなる間取りである。
 その際に、重要な役目を果たしたのが、室内廊下だ。
 玄関からリビングダイニングまで室内廊下を通し、廊下を挟んで、主寝室と子供部屋を配置。これで、リビング・主寝室・子供部屋が密着せず、プライバシーを保ちやすくなる。
 室内廊下によって、マンションは各部屋の独立性を高めたわけだ。
定評のある「田の字プラン」から個性的間取りへ
 室内廊下を設けることで、日本のマンションは進化した。その評価が高かったため、以後のマンションは同じような間取りになってしまった。
 玄関からリビングまで室内廊下を設けて、その両側に2つの部屋。リビングの横に、もう一つの部屋。この区分けを上から見ると、「田」の字になるので、「田の字プラン」という呼び名が生まれた。
 初期のマンションは4つの部屋で田の字を構成したが、その後のマンションは、住戸全体で田の字を構成したわけだ。
 「田の字プラン」は、昭和50年代からマンション3LDKの主流になった。
 マンション探しをすると、どこでも似た間取りだなあ、と感じる人が多いだろう。実際、よく似ているのは、「田の字プラン」でつくられているケースが多いからだ。
 この「田の字プラン」から脱却し、個性的な間取りはできないか……その声は、以前から購入者からだけでなく、不動産会社からも出ていた。が、定評のある田の字プランを捨て、個性的プランを採用する冒険はできないでいた。
 その状況が今回のコロナ禍で変化した。
 テレワークやステイホームで、家族が家で過ごす時間が増加。増えた家時間を快適に、楽しくするために、いままでにない間取りが求められたからだ。
コロナ禍で求められるのは「ゆとりある居住スペース」
 コロナ禍による家時間の増加で、真っ先に求められたのは「住戸の広さ」。家族全員が長く家に居るようになり、家の中で仕事や勉強をする。さらに、リモート会議のための小部屋が求められたりする。これまでより広いスペースが必要になったわけだ。
 しかし、住戸の面積を広くするのは簡単ではないし、広くすれば分譲価格や家賃が高くなる、という問題も生じる。
 面積を広くせず、ステイホームしても息苦しくないマンション住戸を実現するために目がつけられたのが室内廊下だ。
 室内廊下を通路ではなく、居住スペースに取り込むことができれば、同じ面積でもゆったり暮らすことができる。
 室内廊下を手放すことで、ゆとりが手に入るわけだ。
 ただし、単純に室内廊下や室内ドアをなくすだけでは、古いタイプの住まいに戻ってしまう。廊下をなくすが、別の方法でプライバシーを確保する。たとえば、区切るところはしっかり区切り、居室の間に収納スペースを効果的に配置する、といった工夫だ。
 その最新事例が、写真で紹介した4つの間取りである。
 室内廊下をなくすことで、個性的な間取りが増えれば、それはコロナ禍によってもたらされた予想外の恩恵と考えることができそうだ。

⚫️2021.9.6NewsPicks📱

【サマリー】
オープンハウス
チラシ作りをAIで効率化
年間一万時間削減

【思ったこと】
本業(不動PJ)で地に足つけて稼ぎ→利益をM&A等本業強化の時間短縮に使い→また得た利益を本業強化のデジタル投資に

理想の企業価値向上

【記事全文】

「年1万時間の業務削減」自社AIで成し遂げたオープンハウス カギは住宅チラシの自動作成 キーパーソンに聞く舞台裏
住宅チラシの作成をAIで自動化し、年1万1250時間分の作業を削減したオープンハウス。AIで効率化した住宅チラシ作りの裏側はどうなっているのか。

 自社開発AIを活用し、年1万時間以上の業務を削減──オープンハウスがこんな取り組みに成功した。同社はAIを活用した住宅チラシの自動作成ツールを開発し、2020年7月に運用を開始。すでにチラシ作りに必要な手間を年1万1250時間、その審査に必要な時間を年1085時間削減できたという。
 「これまでは上手にチラシを作れる営業マンもいれば、2~3時間かけて微妙なチラシを作る人もいた。(ツールを導入して以降は)顧客からは見やすくなったね、といわれることも増えた」──オープンハウスの元営業で、現在は情報システム部に所属する斎藤次郎さんは、自社開発ツールについてこう話す。


山野高将さん(左)、斎藤次郎さん(右)
 ツールを導入するまでは営業マンが30分~1時間かけて一つ一つチラシを作成しており、クオリティーにばらつきもあったというオープンハウス。1万時間以上もの業務削減に成功し、営業マンたちの負荷を減らしたツールの裏側を、斎藤さんや開発のキーパーソンである山野高将さん(情報システム部部長)に聞いた。
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 ツールはオープンハウス社員だけがアクセスできるWebアプリとして提供している。物件名を入力すると、アプリが社内データベースから価格などの情報を検索。このデータを基にチラシを自動作成する仕組みだ。
 AIが活躍するのはチラシのレイアウトや文章など。過去のチラシ数万件を学習させており、物件1件につきレイアウトの異なるチラシを最大で10数種類作成できる他、データを基に価格や戸数といった情報をまとめた文章を自動生成し、レイアウトを崩さず記載できる。必要な時間は物件1件につき2~3分ほど。データはPDFで出力する。スマートフォンやタブレットからも利用できるという。
 「どの学区の範囲内か」など、強調したい情報を事前に指定できる機能も搭載。「出力したものをそのまま使う人が大半だが、中には出力したPDFを調整して(チラシを完成させて)いる人や、事前に情報を指定している人もいる。その辺りは人によって違う」(山野さん)という。
自動化のきっかけは景表法の審査フロー改善
 このツールはもともと、住宅チラシの記載が景品表示法に抵触しないか審査するチームから「作り方にばらつきがあって審査に時間がかかる」と相談を受けて開発したという。
 こういった経緯もあり、物件の接道状況や建物の面積といった各情報は、文字の大きさなど、景品表示法に沿った形の記載となるよう調整されている。作ったチラシは、広告を審査するチームにオンラインで送信可能。チラシの承認フローをオンライン化し、各営業マンによって異なっていたチラシの作り方を統一することで、広告の審査にかかる時間も削減できたという。

「屋外でも使いやすい」 効率化・均一化以外にも効果


チラシの作成例
 効率化やクオリティーの均一化以外にも効果があった。スマホやタブレットで利用でき、作成に必要な時間が少ないことから、屋外活動中であっても欲しいチラシをすぐ作れる点が営業に活用しやすいという。
 「オープンハウスは、駅前など屋外での販売活動を強みとしている。こういった活動中、『この物件のチラシが欲しい』と思ったときに店舗の人員にデータを送り、印刷して持ってきてもらうことで、顧客に適した物件を都度紹介できる」(斎藤さん)
「バリエーションが少ない」など課題も
 一方で、現場から指摘されている改善点もあるという。一つはレイアウトなどのバリエーションだ。「飽きさせないことが重要なので、もう少し別のテンプレートが欲しいと聞いている」(山野さん)という。
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 もう一つは社内システムからデータを持ってきている都合上、最新の情報を基にチラシを作れない場合がある点だ。
 「物件価格の販売価格などは結構ころころ変わる。それがシステムに反映されていないと、最新の情報を拾ってこれない。この辺りは社内データベースにデータが入力され切れていない点が問題なので、そこから改善する必要がある」(山野さん)
 「大体は対応できているが、かゆいところに手が届かないこともある」と斎藤さん。ただし他のプロジェクトと比べ、運用自体は順調なため「どうしても他を優先しなくてはいけないが、どこかのタイミングで対応していきたい」(山野さん)という。
「土地の区割り」「顧客用の設計図面」にもAI活用
 AIとRPAの活用で業務効率化を実現したオープンハウス。山野さんによれば、他の分野でもAIを使った業務改善を進めているという。
 「まだ実運用には至っていないが、土地の区割りにAIを活用する試みや、顧客に提供する設計図面をAIで自動作成する試みを進めている。実用化されているものでは、家を作るときに似た間取りのデータを持ってくることで、(建築の)参考にできるようにするシステムが20年から稼働している」(山野さん)

 これらの取り組みも含め、オープンハウスでは今後もAIの活用を進めていく方針だ。ただし効率化に当たって、AIの活用だけにこだわっているわけではないという。
 「AIだけに絞るつもりは全くない。AIが作ったものを結局人が確認するのであれば意味がない。最終的に人が確認するというフローでも効率化になるのであれば良いが、(AIの)品質次第で簡単ではない。AIによる効果が投資を上回るのであれば、手段の一つとして使っていく」(山野さん)


21713日経

タマホームが12日発表した2021年5月期の連結決算は純利益が前の期比40%増の71億円と過去最高益を更新した。新型コロナウイルス禍で在宅勤務が浸透するなか、広い戸建て住宅を求めるニーズが強まり、利益を押し上げた。
売上高は4%増の2180億円。住宅の受注棟数は1万2324棟と上場以来の最高実績を更新した。主力の注文住宅の受注金額が23%増えたほか、戸建ての分譲住宅も36%増えた。営業利益は11%増の109億円だった。
22年5月期の連結決算は売上高が前期比3%増の2250億円、純利益は2%増の73億円を見込む。年間配当は10円増の110円を計画する。世界的な木材の供給不足「ウッドショック」の影響については「価格への転嫁はあり得るが、着工遅れなどの影響は見込んでいない」(同社)としている。

210713日経

 新型コロナウイルス禍で在宅時間が増えたことで、戸建て住宅の需要が高まっている。消費に慎重だった日本人の購買意欲が増してきているのではないか

戸建て住宅のうち建売住宅は新築マンションに比べて相対的に価格が安く、在宅勤務定着の追い風が吹いているという。オープンハウスの荒井正昭社長は「32年この仕事をしてきたが、今が一番家が売れているのではないか」と手応えを感じている。

181204日経
政府・与党は住宅ローン減税が受けられる期間を3年延ばし、現行の10年から13年とする方向で最終調整に入った。2019年10月の消費税率引き上げに伴う住宅の駆け込み需要や反動減を防ぎ、購入を支援する。購入から11年目以降の減税幅は建物価格の2%を3年間かけて所得税などから差し引く仕組みにする。
新築の一戸建てやマンションを事業者から買った場合、建物部分に消費税がかかる。住宅ローン減税では年末の借入残高(4000万円が上限)の1%を所得税などから差し引ける。年間40万円、10年間で合計最大400万円の税額控除があり、確定申告や年末調整で還付される。
政府・与党は税収への影響などを考慮して住宅ローン減税を3年延長し、建物価格の2%の金額を3年間かけて還付する仕組みを設ける。3000万円の建物の場合、計60万円の減税が受けられる。建物価格の2%と、借入残高の1%の還付を3年続ける場合を比べた際に、少ない方の金額を実際の減税額とする。
一定条件を満たす住宅購入者に一時金を渡す「すまい給付金」も拡充。消費増税後は年収775万円以下の人を対象に最大50万円を支給する。現在は年収510万円以下の人に最大30万円を配っている。

190310
http://www.rikcorp.jp/contents/sinken2018daiyosoku/

https://www.in-fra.jp/articles/4211

住宅金融支援機構
https://www.jhf.go.jp/files/300334232.pdf

https://www.juken-net.com/main/kaidoki/

smbc
https://www.smbc.co.jp/hojin/report/investigationlecture/resources/pdf/3_00_CRSDReport043.pdf

新建住宅
https://www.s-housing.jp/archives/149869

201202NewsPicks

一般住宅の住宅ローン減税のイメージ
 政府、与党は1日、住宅ローン減税が受けられる住宅の床面積の要件を緩和し、現在の50平方メートル以上から40平方メートル以上とする方針を固めた。従来は両親と子供の生活に必要な3LDKの集合住宅などを想定していたが、世帯構成の多様化など時代の変化に合わせて制度を見直し、より狭い物件を対象に含める。2021年度税制改正で議論し、10日にもまとめる与党税制改正大綱に反映させる。
 住宅ローン減税を通常より3年長い13年間受けられる特例措置については、新型コロナ感染拡大を受けた負担軽減策として、原則20年末までの入居としている適用期限を2年延長する方向となった。

201211日経
⚫️住宅ローン減税
対象拡大

住宅ローンの控除を13年間受けられる特例が2年間延長される。2022年末までの入居が減税を受ける条件になる。対象となる物件の範囲も広げる。マンション・戸建てともに現行の床面積50平方メートル以上の基準を40平方メートル以上に下げる。50平方メートル未満は1千万円の所得制限をもうける。
住宅ローン減税は4千万円を上限に年末の借入残高の1%を所得税額から控除する仕組み。13年間の控除が受けられる特例は19年の消費増税に伴って導入された。

これまでは20年12月末までに入居した場合が対象だった。今回、22年12月末までの入居を住宅ローン減税の対象とする。契約の期限は新築注文住宅は21年9月末、マンションや中古住宅などは同年11月末までとする。
現行制度でも、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で20年12月末とする入居期限に遅れた場合に、21年12月末までに入居するなど一定の条件を満たせば、同じ特例を認める措置を導入している。
13年間の控除特例を受ける際の床面積要件をこれまでの50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩め、対象を広げる。今回、面積要件を緩和するのは夫婦だけや単身の世帯が増えるなど家族の形が変わってきたからだ。
これまでは3人以上の家族などを前提に3LDKの物件などを想定してきた。ニーズが多様になっていることを踏まえ、小規模物件も対象とする。より小さい物件でも住宅ローン減税の恩恵を受けやすくなる。ただ資金力のある高所得層まで税優遇するのは望ましくないと判断し、50平方メートル未満の場合は1千万円の所得制限を設ける。
20年の新築住宅の着工戸数は減少傾向が色濃く、08年のリーマン・ショック直後に並ぶ停滞を示している。政府は住宅ローン減税の特例を延長することで住宅市場の活性化につなげたい考えだ。
住宅ローン減税の「1%控除」については会計検査院が低金利時代に合わないと問題視している。過度な恩恵を受ける人が出る可能性があるためで、22年度以降の見直しを視野に入れている。
税制改正では、子や孫への住宅資金の贈与にかかる贈与税について、上限1500万円の現在の非課税枠を21年12月末まで保つことにする。
非課税枠は19年の消費増税に合わせて3000万円まで拡大された。20年4月に1500万円に縮小し、21年4月以降は上限を1200万円に下げる予定だった。住宅ローン減税の特例と合わせて住宅需要を下支えする考えだ。非課税枠が最大1500万円となるのは耐震や省エネなどの性能に優れた住宅。一般住宅の非課税枠も1千万円の上限を据え置く

210112日経

コロナ禍は住宅市場にも影響を与えています。例えば、ニューヨーク市では、新型コロナウイルスのまん延で、郊外や他都市への人口流出が進んでいます。
失業で家賃が払えなくなった人に加えて、都市封鎖や在宅勤務の長期化を背景に、高い家賃・生活費・不健全さを我慢してまで住みたくないと、郊外や他都市への脱出が進みました。その結果、2020年6月ごろから同市中心部の新規売却件数・賃貸住宅の空室率が上昇し、逆に、郊外物件の成約件数は増えるという状況となっています。
一方、日本の大都市では、緊急事態宣言中は取引件数が激減したものの、多くの地域ではその後、急回復しました。現時点では、海外に比べると影響が少ないという見方が優勢です。
特に三大都市圏などの拠点都市中心部では、「住宅なら売れる」と見込み、コロナ禍で店舗が撤退・閉店した土地をターゲットに、ミニ戸建てや分譲マンションを建設する動きが活発化している地域もあります。
しかし、大都市や地方都市の拠点エリアに住宅ばかりが建つと、拠点としての機能低下や小学校増築などの後追い的な公共投資が必要になります。拠点エリアが住宅建設を一気に吸い取り、郊外住宅地の衰退を加速させることにもなりかねません。市町村には都市計画手法を活用した創意工夫が求められます。
また、地方都市や郊外部では「とにかく移住者や二地域居住者を取り込みたい」「地域経済の活性化につながる」からと、農地エリアなどの開発規制を緩和したり、災害リスクが高いエリアに住宅の新築を許容すべきではありません。長期的に見て、売るに売れなくなる可能性が高いエリアに新築住宅を許容する近視眼的な政策は、空き家をさらに増やし、将来世代にその対応を押し付けることにつながりかねません。
長期的に見て、未来技術を活用しやすい「まちのまとまり」を形成するためにも、コロナ禍だからと安易に住宅の総数や住宅地面積を増やさぬことが重要です。都市計画が持つ本来の役割に立ち返り、これ以上、住宅過剰社会を助長する事態を抑止すべきです。

210114日経

住宅に使う木材の価格が軒並み上昇している。米国市場で製材品価格が再び高騰したことを受けた。米国では住宅需要が極めて旺盛で、製材品は2020年夏の最高値に迫る。米国の高値が、日本や欧州など世界各地の木材価格を押し上げている。

米松丸太の価格が上昇している(広島県呉市)
ツーバイフォー(2×4)住宅に使うSPF(トウヒ・マツ・モミ類)の日本向け規格品は1~3月期の対日価格が期中に上昇した。「決着後に1割以上上がるのは異例」(市場関係者)だ。年明けに決着した2~3月積みは1千ボードメジャー(BM=2.36立方メートル)700ドル。20年12月上旬に同630ドルで決着したが、依然として引き合いが強い。700ドル台は最高値を付けた18年7~9月期以来2年半ぶり。
米市場での製材品の高騰が背景だ。米業界紙ランダム・レングスによると、米国で主流のSPFのツーバイフォー製材品「No.2&ベター」は1月第2週の価格が1千BM927ドル。昨夏の史上最高値(955ドル)から同500ドル台まで下げたが、直近2カ月で約70%上昇した。
住宅着工が活況だ。20年11月の米住宅着工件数は前年同月比12.8%多い154万7千戸(季節調整済み、年率換算値)。低金利や株高が背景だ。新型コロナ禍で在宅ワークが広がり郊外に住宅を求める人も増えた。
例年、冬場は製材品の不需要期だが、今季は引き続き強い。一方、新型コロナ感染再拡大で製材品工場はフル稼働できず、需給が締まっている。
米国の高値は国産の木材製品にも波及した。梁(はり)や柱に使う国内加工の米松製材品は20年12月、流通価格が3年1カ月ぶりに上昇。米国の製材品の高騰で原料の米松丸太が値上がりし、国内最大手の中国木材(広島県呉市)が米松製材品を値上げした。

欧州産の木材も値上がりしている。米松製材品と用途が同じ集成材の原料の「ラミナ」は、主力の欧州産の1~3月期の対日価格が1立方メートル270~275ユーロ。前四半期比20ユーロ(7.9%)高い。
欧州メーカーにも米国からの需要が強く、これが欧州産材の対日価格にも波及。海上運賃の上昇も押し上げ材料となり、日本は必要量確保のために値上げを受け入れた。
ラミナ高を受け、大手集成材メーカー銘建工業(岡山県真庭市)は1月出荷分から集成平角を1立方メートル2000~3000円値上げした。さらに3~4月にも値上げする計画だ。米国では製材品の先高観が根強く、日本の木材価格も一段と上がる可能性がある。
国内の住宅着工は20年11月まで17カ月連続で前年同月を下回る。需要が鈍い中での木材価格上昇は、住宅メーカーの重荷になりそうだ。

210115日経

新型コロナウイルスの感染拡大を機に企業が在宅勤務といった新しい働き方に対応したルールの整備を進めている。キリンホールディングスなどは従業員に手当を支給し在宅勤務への移行を促す。政府もこうした働き方の定着をにらみ税制面の対応を急ぐ。通信費の半額はテレワークに使用したとして所得税(総合2面きょうのことば)の課税対象から外すなど課税基準を明確にする。
新型コロナの感染拡大で2020年春に在宅勤務が広がり始めて以降、企業では在宅にともなう社員の負担を軽減する動きが広がっている。社員向けのルールの変更で目立つのは手当の見直しだ。

キリンホールディングスは工場勤務以外で週3日以上、在宅で勤務する社員約4000人を対象に月3000円の手当の支給を始めた。事後精算で定期代を支払う仕組みをやめ、出社時などの交通費を実費精算する形に変えた。同様の制度は富士通やソフトバンクなども導入している。
中小企業でも動きが出ている。プログラミング教育のキラメックス(東京・渋谷)はパソコンを在宅勤務で利用する場合の通信費を会社で負担する。
従来にない手当の支給では企業にとって税務処理が複雑になりかねない問題がある。特にテレワークの補助に関する税制は、どこまでが課税対象になるかが曖昧だった。財務省と国税庁は在宅勤務の普及の流れを維持するため対応が必要と判断。15日に国税庁が新たな指針を公表する。

企業が従業員向けにスマートフォンやWi-Fiなどの通信費を補助する場合、実際に使う分の実費相当以外は給与とみなされ、所得税の課税対象になる。明細がある通話料と異なり、通信費は家庭用と仕事用の区別が難しい。企業からは源泉徴収の事務負担が増える懸念があり、目安を示してほしいとの要望が多かった。
国税庁の指針では、在宅勤務をした日数分の通信費のうち、2分の1は仕事で使ったものと認める。残りは私用などとみなす。月30日のうち半分の15日を在宅で勤務すれば、通信費全体の4分の1が非課税となる。電気料金も目安を示し、業務で使った自宅の部屋の床面積などで水準が決まる仕組みにする。
今年1月分の税額の計算から適用できる見通しで、企業の担当者は交通費などの補助と同様に税務処理を進めやすくなる。国が明確な目安を示すことで、より多くの企業が補助の導入に動く効果も期待できる。
政府はこれまで11都府県に緊急事態宣言を発令した。感染防止で人の接触を減らすには夜の飲食の制限とともに会社員の出勤を減らすことがカギを握る。政府は出勤者数の7割削減を目標として在宅勤務を広げるよう企業に求めている。

210124
業界地図
消費増税
人口減
空き家増加
指標は新築住宅着工戸数

210127日経

政府は26日、収入が一定額以下の人を対象に住宅資金を最大50万円支給する「すまい給付金」制度の1年延長を閣議決定した。住宅の引き渡し期限を2022年12月末まで延長する。給付金の対象となる面積要件を50平方メートル以上から40平方メートル以上とし、小規模物件でも活用できるようにする。
すまい給付金の制度見直しは、政府が今国会での成立をめざす税制改革の関連法案が前提となる。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、住宅販売の冷え込みを回避する狙いがある。

210422日経

住宅の梁(はり)や柱に使う木材の流通価格が一段と上昇した。住宅需要が旺盛な米国に世界から木材が集まり、日本で不足している。柱などの木材を工場で事前に加工処理するプレカットメーカーは、受注制限や値上げを始めた。住宅の着工が遅れる可能性があるほか、住宅メーカーの収益の圧迫要因になる。
レッドウッドなどの薄い木の板「ラミナ」を接着して作る集成材は、梁に使う指標の集成平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の問屋卸価格が現在、1立方メートル当たり6万5千円(中心値)。前月比9千円(16%)高く、リーマン・ショック前の2007年8月以来13年8カ月ぶりの高値だ。柱に使う集成管柱(3メートル×10.5センチ角)も1本2250円と同435円(24%)高い。

原料のラミナの対日価格の上昇が主因だ。欧州産の梁向け(4~6月期)は1立方メートルあたり320~350ユーロと前四半期比で2割高い。値上がりは3四半期連続で、最高値を付けた。
旺盛な住宅需要がある米国向けに輸出が増え、欧州で木材価格が上昇。日本側は必要量を確保するため値上げを受け入れざるを得ない。
米国への流入が続き、日本のラミナの輸入量は「足元は前年比で2割以上落ち込んでいる。今後はさらに減る見込みだ」(集成材メーカー)。新型コロナウイルスの流行長期化やスエズ運河の座礁事故に伴う物流網の混乱で、コンテナ船の入港が遅れたことも背景にある。
林野庁によると集成材の20年10~12月時点の国内生産量は約43万立方メートルと、前年同期比で15%少ない。材料の不足で国内集成材大手の銘建工業(岡山県真庭市)は4月以降、生産を前年比で3割減らしている。
構造用集成材の国内メーカーで構成する日本集成材工業協同組合(東京・中央)によると、「材料不足で前年比2割以上の減産をせざるを得ない」という。生産カットの動きが広がりそうだ。
一方で需要は底堅い。新型コロナの影響で在宅勤務用のスペースが確保できる戸建て住宅の受注が、首都圏を中心に目立っている。新設住宅着工数は落ち込みが続くものの、流通市場で木材の品薄感が強い。銘建工業は高値で買ったラミナが出回り始める6月に、一段の値上げを計画する。
集成材と競合する米松製材品も価格上昇が続いている。指標となる米松KD平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の流通価格は、1立方メートル当たり6万500円と前月に比べて3千円(5%)高い。未乾燥のグリン材も、同5万7千円と3千円(5.6%)値上がりした。
原料の米松丸太が値上がりしているうえ、海上運賃も高止まりしている。米松製材品最大手の中国木材(広島県呉市)は昨年末以降、断続的に値上げをしている。
木材不足と価格上昇を受けて、需要家であるプレカットメーカーは4月ごろから受注制限を始めた。1割以上減産している会社も多く、「住宅の着工に遅れが出るのは時間の問題」(プレカットメーカー)との指摘も出ている。
プレカット各社はハウスメーカーなどへの販売価格を徐々に引き上げている。それでもプレカットメーカーからは「さらに値上げをしないと、木材上昇分を転嫁できない」との声も漏れる。
住宅の建築費用全体に占める木材の価格は1割程度と少ないが、木材の高値が常態化すれば、住宅メーカーの収益を圧迫しかねない。住宅価格の上昇につながる可能性がある。
210513NewsPicks
米住宅販売額、史上最高275兆円の見通し 在宅勤務や低金利追い風

210525日経

米国の活発な住宅着工に伴う木材相場高「ウッドショック」の影響が、日本の住宅用木材の流通価格に一段と及んできた。梁(はり)や柱に使う集成材が最高値を更新した。欧州から米国への木材供給が増えたあおりで、日本で欧州産原料の不足感が強まったためだ。同じく梁や柱に使う米松製材品も上昇し、住宅業界のコスト負担が増している。
集成材は、梁に使う集成平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の問屋卸価格が現在1立方メートル当たり7万5千円(中心値)と前月比1万円(15.4%)上昇。2007年1~7月に付けた従来の最高値を上回った。柱に使う集成管柱(3メートル×10.5センチ角)も1本2550円と同300円(13.3%)高い。集成材メーカーの値上げを問屋が卸価格に反映している。

原料に使う欧州産の板材「ラミナ」の対日価格上昇が背景にある。昨夏から米国で住宅需要が急増し、木材相場が高騰。米国はカナダ産や米国産で足りず、欧州産木材の輸入も増やした。欧州の木材メーカーは高値で売れる米国向けに増産し、日本はラミナを確保するために欧州メーカーの値上げ要請を受け入れている。4~6月期の欧州産ラミナは過去最高値だ。
ある国内プレカットメーカーは「北米産の木材はまだ値段を出せば買えるが、欧州産ラミナや集成材はいくら出しても買えない状況」という。国内の住宅着工が低迷した20年に「商社やメーカーが対日価格を下げすぎた」(問屋)ことも、足元の日本への欧州産の輸入停滞につながっているとの見方もある。国内の住宅着工はまだ厳しいものの、品不足による値上がり圧力が上回る。
集成材の値上がりは続きそうだ。大手メーカーの銘建工業(岡山県真庭市)は集成平角を6月出荷分から1立方メートル1万2千円値上げする。ラミナ不足で4月に始めた減産も続けている。最高値のラミナが入港する7月以降は「もう一段値上げする」という。
ラミナの対日価格はなお強含む。欧州勢が現在取引の参考にしている米国の木材先物相場が当面高値圏で推移するとの見方が多いうえ、欧州では例年夏場は長期休暇で工場の稼働率が下がるため、対日向けの数量も少なくなる。ラミナ価格が上昇することで集成材価格が押し上がる構図は変わりそうにない。
北米から輸入する丸太を原料にし、集成材と同様に梁や柱に使う米松製材品も国内相場の上昇が続いている。指標となる米松KD(乾燥)平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の流通価格は、1立方メートル当たり6万5500円と前月に比べて5千円(8.3%)上昇。北米産の丸太価格が上昇している影響が大きい。
米国では木材の需要期は夏場。国内への入荷不足は続き、価格も上昇基調とみられる。住宅業界のコスト上昇圧力が強まっている。

⚫️2021.9.6NewsPicks📱

【サマリー】
オープンハウス
チラシ作りをAIで効率化
年間一万時間削減

【思ったこと】
本業(不動PJ)で地に足つけて稼ぎ→利益をM&A等本業強化の時間短縮に使い→また得た利益を本業強化のデジタル投資に

理想の企業価値向上

【記事全文】

「年1万時間の業務削減」自社AIで成し遂げたオープンハウス カギは住宅チラシの自動作成 キーパーソンに聞く舞台裏
住宅チラシの作成をAIで自動化し、年1万1250時間分の作業を削減したオープンハウス。AIで効率化した住宅チラシ作りの裏側はどうなっているのか。

 自社開発AIを活用し、年1万時間以上の業務を削減──オープンハウスがこんな取り組みに成功した。同社はAIを活用した住宅チラシの自動作成ツールを開発し、2020年7月に運用を開始。すでにチラシ作りに必要な手間を年1万1250時間、その審査に必要な時間を年1085時間削減できたという。
 「これまでは上手にチラシを作れる営業マンもいれば、2~3時間かけて微妙なチラシを作る人もいた。(ツールを導入して以降は)顧客からは見やすくなったね、といわれることも増えた」──オープンハウスの元営業で、現在は情報システム部に所属する斎藤次郎さんは、自社開発ツールについてこう話す。


山野高将さん(左)、斎藤次郎さん(右)
 ツールを導入するまでは営業マンが30分~1時間かけて一つ一つチラシを作成しており、クオリティーにばらつきもあったというオープンハウス。1万時間以上もの業務削減に成功し、営業マンたちの負荷を減らしたツールの裏側を、斎藤さんや開発のキーパーソンである山野高将さん(情報システム部部長)に聞いた。
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 ツールはオープンハウス社員だけがアクセスできるWebアプリとして提供している。物件名を入力すると、アプリが社内データベースから価格などの情報を検索。このデータを基にチラシを自動作成する仕組みだ。
 AIが活躍するのはチラシのレイアウトや文章など。過去のチラシ数万件を学習させており、物件1件につきレイアウトの異なるチラシを最大で10数種類作成できる他、データを基に価格や戸数といった情報をまとめた文章を自動生成し、レイアウトを崩さず記載できる。必要な時間は物件1件につき2~3分ほど。データはPDFで出力する。スマートフォンやタブレットからも利用できるという。
 「どの学区の範囲内か」など、強調したい情報を事前に指定できる機能も搭載。「出力したものをそのまま使う人が大半だが、中には出力したPDFを調整して(チラシを完成させて)いる人や、事前に情報を指定している人もいる。その辺りは人によって違う」(山野さん)という。
自動化のきっかけは景表法の審査フロー改善
 このツールはもともと、住宅チラシの記載が景品表示法に抵触しないか審査するチームから「作り方にばらつきがあって審査に時間がかかる」と相談を受けて開発したという。
 こういった経緯もあり、物件の接道状況や建物の面積といった各情報は、文字の大きさなど、景品表示法に沿った形の記載となるよう調整されている。作ったチラシは、広告を審査するチームにオンラインで送信可能。チラシの承認フローをオンライン化し、各営業マンによって異なっていたチラシの作り方を統一することで、広告の審査にかかる時間も削減できたという。

「屋外でも使いやすい」 効率化・均一化以外にも効果


チラシの作成例
 効率化やクオリティーの均一化以外にも効果があった。スマホやタブレットで利用でき、作成に必要な時間が少ないことから、屋外活動中であっても欲しいチラシをすぐ作れる点が営業に活用しやすいという。
 「オープンハウスは、駅前など屋外での販売活動を強みとしている。こういった活動中、『この物件のチラシが欲しい』と思ったときに店舗の人員にデータを送り、印刷して持ってきてもらうことで、顧客に適した物件を都度紹介できる」(斎藤さん)
「バリエーションが少ない」など課題も
 一方で、現場から指摘されている改善点もあるという。一つはレイアウトなどのバリエーションだ。「飽きさせないことが重要なので、もう少し別のテンプレートが欲しいと聞いている」(山野さん)という。
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 もう一つは社内システムからデータを持ってきている都合上、最新の情報を基にチラシを作れない場合がある点だ。
 「物件価格の販売価格などは結構ころころ変わる。それがシステムに反映されていないと、最新の情報を拾ってこれない。この辺りは社内データベースにデータが入力され切れていない点が問題なので、そこから改善する必要がある」(山野さん)
 「大体は対応できているが、かゆいところに手が届かないこともある」と斎藤さん。ただし他のプロジェクトと比べ、運用自体は順調なため「どうしても他を優先しなくてはいけないが、どこかのタイミングで対応していきたい」(山野さん)という。
「土地の区割り」「顧客用の設計図面」にもAI活用
 AIとRPAの活用で業務効率化を実現したオープンハウス。山野さんによれば、他の分野でもAIを使った業務改善を進めているという。
 「まだ実運用には至っていないが、土地の区割りにAIを活用する試みや、顧客に提供する設計図面をAIで自動作成する試みを進めている。実用化されているものでは、家を作るときに似た間取りのデータを持ってくることで、(建築の)参考にできるようにするシステムが20年から稼働している」(山野さん)

 これらの取り組みも含め、オープンハウスでは今後もAIの活用を進めていく方針だ。ただし効率化に当たって、AIの活用だけにこだわっているわけではないという。
 「AIだけに絞るつもりは全くない。AIが作ったものを結局人が確認するのであれば意味がない。最終的に人が確認するというフローでも効率化になるのであれば良いが、(AIの)品質次第で簡単ではない。AIによる効果が投資を上回るのであれば、手段の一つとして使っていく」(山野さん)


21713日経

タマホームが12日発表した2021年5月期の連結決算は純利益が前の期比40%増の71億円と過去最高益を更新した。新型コロナウイルス禍で在宅勤務が浸透するなか、広い戸建て住宅を求めるニーズが強まり、利益を押し上げた。
売上高は4%増の2180億円。住宅の受注棟数は1万2324棟と上場以来の最高実績を更新した。主力の注文住宅の受注金額が23%増えたほか、戸建ての分譲住宅も36%増えた。営業利益は11%増の109億円だった。
22年5月期の連結決算は売上高が前期比3%増の2250億円、純利益は2%増の73億円を見込む。年間配当は10円増の110円を計画する。世界的な木材の供給不足「ウッドショック」の影響については「価格への転嫁はあり得るが、着工遅れなどの影響は見込んでいない」(同社)としている。

210713日経

 新型コロナウイルス禍で在宅時間が増えたことで、戸建て住宅の需要が高まっている。消費に慎重だった日本人の購買意欲が増してきているのではないか

戸建て住宅のうち建売住宅は新築マンションに比べて相対的に価格が安く、在宅勤務定着の追い風が吹いているという。オープンハウスの荒井正昭社長は「32年この仕事をしてきたが、今が一番家が売れているのではないか」と手応えを感じている。

181204日経
政府・与党は住宅ローン減税が受けられる期間を3年延ばし、現行の10年から13年とする方向で最終調整に入った。2019年10月の消費税率引き上げに伴う住宅の駆け込み需要や反動減を防ぎ、購入を支援する。購入から11年目以降の減税幅は建物価格の2%を3年間かけて所得税などから差し引く仕組みにする。
新築の一戸建てやマンションを事業者から買った場合、建物部分に消費税がかかる。住宅ローン減税では年末の借入残高(4000万円が上限)の1%を所得税などから差し引ける。年間40万円、10年間で合計最大400万円の税額控除があり、確定申告や年末調整で還付される。
政府・与党は税収への影響などを考慮して住宅ローン減税を3年延長し、建物価格の2%の金額を3年間かけて還付する仕組みを設ける。3000万円の建物の場合、計60万円の減税が受けられる。建物価格の2%と、借入残高の1%の還付を3年続ける場合を比べた際に、少ない方の金額を実際の減税額とする。
一定条件を満たす住宅購入者に一時金を渡す「すまい給付金」も拡充。消費増税後は年収775万円以下の人を対象に最大50万円を支給する。現在は年収510万円以下の人に最大30万円を配っている。

190310
http://www.rikcorp.jp/contents/sinken2018daiyosoku/

https://www.in-fra.jp/articles/4211

住宅金融支援機構
https://www.jhf.go.jp/files/300334232.pdf

https://www.juken-net.com/main/kaidoki/

smbc
https://www.smbc.co.jp/hojin/report/investigationlecture/resources/pdf/3_00_CRSDReport043.pdf

新建住宅
https://www.s-housing.jp/archives/149869

201202NewsPicks

一般住宅の住宅ローン減税のイメージ
 政府、与党は1日、住宅ローン減税が受けられる住宅の床面積の要件を緩和し、現在の50平方メートル以上から40平方メートル以上とする方針を固めた。従来は両親と子供の生活に必要な3LDKの集合住宅などを想定していたが、世帯構成の多様化など時代の変化に合わせて制度を見直し、より狭い物件を対象に含める。2021年度税制改正で議論し、10日にもまとめる与党税制改正大綱に反映させる。
 住宅ローン減税を通常より3年長い13年間受けられる特例措置については、新型コロナ感染拡大を受けた負担軽減策として、原則20年末までの入居としている適用期限を2年延長する方向となった。

201211日経
⚫️住宅ローン減税
対象拡大

住宅ローンの控除を13年間受けられる特例が2年間延長される。2022年末までの入居が減税を受ける条件になる。対象となる物件の範囲も広げる。マンション・戸建てともに現行の床面積50平方メートル以上の基準を40平方メートル以上に下げる。50平方メートル未満は1千万円の所得制限をもうける。
住宅ローン減税は4千万円を上限に年末の借入残高の1%を所得税額から控除する仕組み。13年間の控除が受けられる特例は19年の消費増税に伴って導入された。

これまでは20年12月末までに入居した場合が対象だった。今回、22年12月末までの入居を住宅ローン減税の対象とする。契約の期限は新築注文住宅は21年9月末、マンションや中古住宅などは同年11月末までとする。
現行制度でも、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で20年12月末とする入居期限に遅れた場合に、21年12月末までに入居するなど一定の条件を満たせば、同じ特例を認める措置を導入している。
13年間の控除特例を受ける際の床面積要件をこれまでの50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩め、対象を広げる。今回、面積要件を緩和するのは夫婦だけや単身の世帯が増えるなど家族の形が変わってきたからだ。
これまでは3人以上の家族などを前提に3LDKの物件などを想定してきた。ニーズが多様になっていることを踏まえ、小規模物件も対象とする。より小さい物件でも住宅ローン減税の恩恵を受けやすくなる。ただ資金力のある高所得層まで税優遇するのは望ましくないと判断し、50平方メートル未満の場合は1千万円の所得制限を設ける。
20年の新築住宅の着工戸数は減少傾向が色濃く、08年のリーマン・ショック直後に並ぶ停滞を示している。政府は住宅ローン減税の特例を延長することで住宅市場の活性化につなげたい考えだ。
住宅ローン減税の「1%控除」については会計検査院が低金利時代に合わないと問題視している。過度な恩恵を受ける人が出る可能性があるためで、22年度以降の見直しを視野に入れている。
税制改正では、子や孫への住宅資金の贈与にかかる贈与税について、上限1500万円の現在の非課税枠を21年12月末まで保つことにする。
非課税枠は19年の消費増税に合わせて3000万円まで拡大された。20年4月に1500万円に縮小し、21年4月以降は上限を1200万円に下げる予定だった。住宅ローン減税の特例と合わせて住宅需要を下支えする考えだ。非課税枠が最大1500万円となるのは耐震や省エネなどの性能に優れた住宅。一般住宅の非課税枠も1千万円の上限を据え置く

210112日経

コロナ禍は住宅市場にも影響を与えています。例えば、ニューヨーク市では、新型コロナウイルスのまん延で、郊外や他都市への人口流出が進んでいます。
失業で家賃が払えなくなった人に加えて、都市封鎖や在宅勤務の長期化を背景に、高い家賃・生活費・不健全さを我慢してまで住みたくないと、郊外や他都市への脱出が進みました。その結果、2020年6月ごろから同市中心部の新規売却件数・賃貸住宅の空室率が上昇し、逆に、郊外物件の成約件数は増えるという状況となっています。
一方、日本の大都市では、緊急事態宣言中は取引件数が激減したものの、多くの地域ではその後、急回復しました。現時点では、海外に比べると影響が少ないという見方が優勢です。
特に三大都市圏などの拠点都市中心部では、「住宅なら売れる」と見込み、コロナ禍で店舗が撤退・閉店した土地をターゲットに、ミニ戸建てや分譲マンションを建設する動きが活発化している地域もあります。
しかし、大都市や地方都市の拠点エリアに住宅ばかりが建つと、拠点としての機能低下や小学校増築などの後追い的な公共投資が必要になります。拠点エリアが住宅建設を一気に吸い取り、郊外住宅地の衰退を加速させることにもなりかねません。市町村には都市計画手法を活用した創意工夫が求められます。
また、地方都市や郊外部では「とにかく移住者や二地域居住者を取り込みたい」「地域経済の活性化につながる」からと、農地エリアなどの開発規制を緩和したり、災害リスクが高いエリアに住宅の新築を許容すべきではありません。長期的に見て、売るに売れなくなる可能性が高いエリアに新築住宅を許容する近視眼的な政策は、空き家をさらに増やし、将来世代にその対応を押し付けることにつながりかねません。
長期的に見て、未来技術を活用しやすい「まちのまとまり」を形成するためにも、コロナ禍だからと安易に住宅の総数や住宅地面積を増やさぬことが重要です。都市計画が持つ本来の役割に立ち返り、これ以上、住宅過剰社会を助長する事態を抑止すべきです。

210114日経

住宅に使う木材の価格が軒並み上昇している。米国市場で製材品価格が再び高騰したことを受けた。米国では住宅需要が極めて旺盛で、製材品は2020年夏の最高値に迫る。米国の高値が、日本や欧州など世界各地の木材価格を押し上げている。

米松丸太の価格が上昇している(広島県呉市)
ツーバイフォー(2×4)住宅に使うSPF(トウヒ・マツ・モミ類)の日本向け規格品は1~3月期の対日価格が期中に上昇した。「決着後に1割以上上がるのは異例」(市場関係者)だ。年明けに決着した2~3月積みは1千ボードメジャー(BM=2.36立方メートル)700ドル。20年12月上旬に同630ドルで決着したが、依然として引き合いが強い。700ドル台は最高値を付けた18年7~9月期以来2年半ぶり。
米市場での製材品の高騰が背景だ。米業界紙ランダム・レングスによると、米国で主流のSPFのツーバイフォー製材品「No.2&ベター」は1月第2週の価格が1千BM927ドル。昨夏の史上最高値(955ドル)から同500ドル台まで下げたが、直近2カ月で約70%上昇した。
住宅着工が活況だ。20年11月の米住宅着工件数は前年同月比12.8%多い154万7千戸(季節調整済み、年率換算値)。低金利や株高が背景だ。新型コロナ禍で在宅ワークが広がり郊外に住宅を求める人も増えた。
例年、冬場は製材品の不需要期だが、今季は引き続き強い。一方、新型コロナ感染再拡大で製材品工場はフル稼働できず、需給が締まっている。
米国の高値は国産の木材製品にも波及した。梁(はり)や柱に使う国内加工の米松製材品は20年12月、流通価格が3年1カ月ぶりに上昇。米国の製材品の高騰で原料の米松丸太が値上がりし、国内最大手の中国木材(広島県呉市)が米松製材品を値上げした。

欧州産の木材も値上がりしている。米松製材品と用途が同じ集成材の原料の「ラミナ」は、主力の欧州産の1~3月期の対日価格が1立方メートル270~275ユーロ。前四半期比20ユーロ(7.9%)高い。
欧州メーカーにも米国からの需要が強く、これが欧州産材の対日価格にも波及。海上運賃の上昇も押し上げ材料となり、日本は必要量確保のために値上げを受け入れた。
ラミナ高を受け、大手集成材メーカー銘建工業(岡山県真庭市)は1月出荷分から集成平角を1立方メートル2000~3000円値上げした。さらに3~4月にも値上げする計画だ。米国では製材品の先高観が根強く、日本の木材価格も一段と上がる可能性がある。
国内の住宅着工は20年11月まで17カ月連続で前年同月を下回る。需要が鈍い中での木材価格上昇は、住宅メーカーの重荷になりそうだ。

210115日経

新型コロナウイルスの感染拡大を機に企業が在宅勤務といった新しい働き方に対応したルールの整備を進めている。キリンホールディングスなどは従業員に手当を支給し在宅勤務への移行を促す。政府もこうした働き方の定着をにらみ税制面の対応を急ぐ。通信費の半額はテレワークに使用したとして所得税(総合2面きょうのことば)の課税対象から外すなど課税基準を明確にする。
新型コロナの感染拡大で2020年春に在宅勤務が広がり始めて以降、企業では在宅にともなう社員の負担を軽減する動きが広がっている。社員向けのルールの変更で目立つのは手当の見直しだ。

キリンホールディングスは工場勤務以外で週3日以上、在宅で勤務する社員約4000人を対象に月3000円の手当の支給を始めた。事後精算で定期代を支払う仕組みをやめ、出社時などの交通費を実費精算する形に変えた。同様の制度は富士通やソフトバンクなども導入している。
中小企業でも動きが出ている。プログラミング教育のキラメックス(東京・渋谷)はパソコンを在宅勤務で利用する場合の通信費を会社で負担する。
従来にない手当の支給では企業にとって税務処理が複雑になりかねない問題がある。特にテレワークの補助に関する税制は、どこまでが課税対象になるかが曖昧だった。財務省と国税庁は在宅勤務の普及の流れを維持するため対応が必要と判断。15日に国税庁が新たな指針を公表する。

企業が従業員向けにスマートフォンやWi-Fiなどの通信費を補助する場合、実際に使う分の実費相当以外は給与とみなされ、所得税の課税対象になる。明細がある通話料と異なり、通信費は家庭用と仕事用の区別が難しい。企業からは源泉徴収の事務負担が増える懸念があり、目安を示してほしいとの要望が多かった。
国税庁の指針では、在宅勤務をした日数分の通信費のうち、2分の1は仕事で使ったものと認める。残りは私用などとみなす。月30日のうち半分の15日を在宅で勤務すれば、通信費全体の4分の1が非課税となる。電気料金も目安を示し、業務で使った自宅の部屋の床面積などで水準が決まる仕組みにする。
今年1月分の税額の計算から適用できる見通しで、企業の担当者は交通費などの補助と同様に税務処理を進めやすくなる。国が明確な目安を示すことで、より多くの企業が補助の導入に動く効果も期待できる。
政府はこれまで11都府県に緊急事態宣言を発令した。感染防止で人の接触を減らすには夜の飲食の制限とともに会社員の出勤を減らすことがカギを握る。政府は出勤者数の7割削減を目標として在宅勤務を広げるよう企業に求めている。

210124
業界地図
消費増税
人口減
空き家増加
指標は新築住宅着工戸数

210127日経

政府は26日、収入が一定額以下の人を対象に住宅資金を最大50万円支給する「すまい給付金」制度の1年延長を閣議決定した。住宅の引き渡し期限を2022年12月末まで延長する。給付金の対象となる面積要件を50平方メートル以上から40平方メートル以上とし、小規模物件でも活用できるようにする。
すまい給付金の制度見直しは、政府が今国会での成立をめざす税制改革の関連法案が前提となる。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、住宅販売の冷え込みを回避する狙いがある。

210422日経

住宅の梁(はり)や柱に使う木材の流通価格が一段と上昇した。住宅需要が旺盛な米国に世界から木材が集まり、日本で不足している。柱などの木材を工場で事前に加工処理するプレカットメーカーは、受注制限や値上げを始めた。住宅の着工が遅れる可能性があるほか、住宅メーカーの収益の圧迫要因になる。
レッドウッドなどの薄い木の板「ラミナ」を接着して作る集成材は、梁に使う指標の集成平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の問屋卸価格が現在、1立方メートル当たり6万5千円(中心値)。前月比9千円(16%)高く、リーマン・ショック前の2007年8月以来13年8カ月ぶりの高値だ。柱に使う集成管柱(3メートル×10.5センチ角)も1本2250円と同435円(24%)高い。

原料のラミナの対日価格の上昇が主因だ。欧州産の梁向け(4~6月期)は1立方メートルあたり320~350ユーロと前四半期比で2割高い。値上がりは3四半期連続で、最高値を付けた。
旺盛な住宅需要がある米国向けに輸出が増え、欧州で木材価格が上昇。日本側は必要量を確保するため値上げを受け入れざるを得ない。
米国への流入が続き、日本のラミナの輸入量は「足元は前年比で2割以上落ち込んでいる。今後はさらに減る見込みだ」(集成材メーカー)。新型コロナウイルスの流行長期化やスエズ運河の座礁事故に伴う物流網の混乱で、コンテナ船の入港が遅れたことも背景にある。
林野庁によると集成材の20年10~12月時点の国内生産量は約43万立方メートルと、前年同期比で15%少ない。材料の不足で国内集成材大手の銘建工業(岡山県真庭市)は4月以降、生産を前年比で3割減らしている。
構造用集成材の国内メーカーで構成する日本集成材工業協同組合(東京・中央)によると、「材料不足で前年比2割以上の減産をせざるを得ない」という。生産カットの動きが広がりそうだ。
一方で需要は底堅い。新型コロナの影響で在宅勤務用のスペースが確保できる戸建て住宅の受注が、首都圏を中心に目立っている。新設住宅着工数は落ち込みが続くものの、流通市場で木材の品薄感が強い。銘建工業は高値で買ったラミナが出回り始める6月に、一段の値上げを計画する。
集成材と競合する米松製材品も価格上昇が続いている。指標となる米松KD平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の流通価格は、1立方メートル当たり6万500円と前月に比べて3千円(5%)高い。未乾燥のグリン材も、同5万7千円と3千円(5.6%)値上がりした。
原料の米松丸太が値上がりしているうえ、海上運賃も高止まりしている。米松製材品最大手の中国木材(広島県呉市)は昨年末以降、断続的に値上げをしている。
木材不足と価格上昇を受けて、需要家であるプレカットメーカーは4月ごろから受注制限を始めた。1割以上減産している会社も多く、「住宅の着工に遅れが出るのは時間の問題」(プレカットメーカー)との指摘も出ている。
プレカット各社はハウスメーカーなどへの販売価格を徐々に引き上げている。それでもプレカットメーカーからは「さらに値上げをしないと、木材上昇分を転嫁できない」との声も漏れる。
住宅の建築費用全体に占める木材の価格は1割程度と少ないが、木材の高値が常態化すれば、住宅メーカーの収益を圧迫しかねない。住宅価格の上昇につながる可能性がある。
210513NewsPicks
米住宅販売額、史上最高275兆円の見通し 在宅勤務や低金利追い風

210525日経

米国の活発な住宅着工に伴う木材相場高「ウッドショック」の影響が、日本の住宅用木材の流通価格に一段と及んできた。梁(はり)や柱に使う集成材が最高値を更新した。欧州から米国への木材供給が増えたあおりで、日本で欧州産原料の不足感が強まったためだ。同じく梁や柱に使う米松製材品も上昇し、住宅業界のコスト負担が増している。
集成材は、梁に使う集成平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の問屋卸価格が現在1立方メートル当たり7万5千円(中心値)と前月比1万円(15.4%)上昇。2007年1~7月に付けた従来の最高値を上回った。柱に使う集成管柱(3メートル×10.5センチ角)も1本2550円と同300円(13.3%)高い。集成材メーカーの値上げを問屋が卸価格に反映している。

原料に使う欧州産の板材「ラミナ」の対日価格上昇が背景にある。昨夏から米国で住宅需要が急増し、木材相場が高騰。米国はカナダ産や米国産で足りず、欧州産木材の輸入も増やした。欧州の木材メーカーは高値で売れる米国向けに増産し、日本はラミナを確保するために欧州メーカーの値上げ要請を受け入れている。4~6月期の欧州産ラミナは過去最高値だ。
ある国内プレカットメーカーは「北米産の木材はまだ値段を出せば買えるが、欧州産ラミナや集成材はいくら出しても買えない状況」という。国内の住宅着工が低迷した20年に「商社やメーカーが対日価格を下げすぎた」(問屋)ことも、足元の日本への欧州産の輸入停滞につながっているとの見方もある。国内の住宅着工はまだ厳しいものの、品不足による値上がり圧力が上回る。
集成材の値上がりは続きそうだ。大手メーカーの銘建工業(岡山県真庭市)は集成平角を6月出荷分から1立方メートル1万2千円値上げする。ラミナ不足で4月に始めた減産も続けている。最高値のラミナが入港する7月以降は「もう一段値上げする」という。
ラミナの対日価格はなお強含む。欧州勢が現在取引の参考にしている米国の木材先物相場が当面高値圏で推移するとの見方が多いうえ、欧州では例年夏場は長期休暇で工場の稼働率が下がるため、対日向けの数量も少なくなる。ラミナ価格が上昇することで集成材価格が押し上がる構図は変わりそうにない。
北米から輸入する丸太を原料にし、集成材と同様に梁や柱に使う米松製材品も国内相場の上昇が続いている。指標となる米松KD(乾燥)平角(4メートル×10.5センチ×30センチ)の東京地区の流通価格は、1立方メートル当たり6万5500円と前月に比べて5千円(8.3%)上昇。北米産の丸太価格が上昇している影響が大きい。
米国では木材の需要期は夏場。国内への入荷不足は続き、価格も上昇基調とみられる。住宅業界のコスト上昇圧力が強まっている。

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