男は海の中に１つの光を見つける。
あれはいつか、人生で１番惚れた女性に送った宝石と同じ物だろうか。
と何とも夢のある思いに浸っていた。
実はもう、その女性は妻になり、宝石なんて送らなくても近くに居るのだ。

しかし、光るものを見ると手に取りたくなるのが人間である。
その男は光る所丁度に手を入れ、静かにすくい出した。
まさに、見たこともない輝きの鉱石であり、高く売れるのでは無いかと、競売にかけた。
すると、どんどんどんどん値段は、はねあがり数億もの値段がついてしまった。
男は思いもよらないお金を手に入れたが
人間は欲が深いものである。
その周辺をなんどもなんどもなんども掘り起こし
鉱石を売りに売りまくった。
男はどんどんどんどん裕福になり、城も出来、妻や子には何でも買い与え、更には孫も生まれた。
町のどんな人からも頭を下げられ、この上無い幸せを噛み締めた。
妻や子、孫にも慕われ、なに不自由無く生活を送ることが出来た。
あんな小さな鉱石から、こんなに裕福にしてもらっても良いのかと毎日思っていた。

ある時、男が何気無く鉱石で飾られたテレビを眺めているとニュース速報が入ってきた。
「速報です。皆様にはご協力頂いておりました、鉱石の必要以上の売買の自粛ですが一部の人のため、報われなかったもようです。地球が割れてきているとの情報が入りました。皆様、動かずにただ静かに地球に刺激を与えないようにお願い致します。
どうか、この世の終わりが出来るだけ先に延びるようお祈りください。
さて、地球のエネルギーも無いようなので、今までお世話になりましたテレビも本日で終了致します。

電気もガスも止まりますので、火の確保に努めて下さいませ。では。」
ザーーーーーーーーーーーーーー。

男は
鉱石により今まで培ってきた財産、名誉
そして
妻や子供、孫、町の人までもの命

地球の最後。
もう取り返しのつかない事を悟り
自分の欲深さを今さらながらに反省し
頭を抱え
鉱石よりも固くなり丸くなっている。

しかし輝きは無い。

完結