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ちいさなパチンコ屋の話

おれが大学生ぐらいのころまでは個人経営のちいさなパチンコ屋がまだたくさんあって、おれはとにかくダイナムとかマルハンみたいな混んでる大型店が嫌いだったから、駐車場に車3台ぐらいしか停まってないような哀愁漂う店にばっかり行ってたんですよ。どの店も一体どうやって成り立ってんだという感じだったんだけど、そういう店にもちゃんとホールに店員のおっさんがいるしカウンターにはおばちゃんがいて、ヒマだろな、給料いくらなのかな、毎日どういう気持ちで働いてんのかなってよく思ってました。だいたいそういう店は新台入替をする金がないから、もうどこにも設置されてないような古い台いわゆる珍古台が元気に稼働してたりして、そういうのを見つけ次第冷やかしでちょろっと打つのが好きだったんですよ。ハナっからそんな店で勝てるなんて思ってないからただの思い出づくりのつもりで打ってるんだけど、そういうときに限って意外と当たっちゃったりして、客がおれしかいないような店だから静かな店内に大当たりの音がこだましちゃって、別に悪いことなんか一切してないんだけど店員に何か怪しまれたりしてないかなとかそわそわしたりして。ほんとに怖かったんですよ当時のパチンコ屋の店員は。流れ者みたいなやつばっかりで。詳細は省くけど地元の店では店員に頭ひっぱたかれたこともあったし。おれはびっくりしたね。おれはびっくりしたよ。ひっぱたくかね客を。まあ7:3ぐらいでおれが悪かったんだけどね。でもまあユルくていい時代だったと思いますね。いまはすっかり時代が変わっちゃって、おれが大好きだったような店は大手チェーン店にどんどん駆逐されて廃業してしまったね。あのおっかない店員のおっさんたちはいまどこで何してんだろうかね。

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