東北本線で地元に帰ったときの話

上京したばかりのころ、一回だけ東北本線で地元に帰ったことがあって、何時間も乗ってたから疲れ切ってウトウトしちゃって、夜の10時ぐらいに地元の駅に着いたところでハッと目が覚めて、あわててドアの方に行ったんだけど、田舎の電車って車内にドアの開閉ボタンあるのわかります?ドアの横んとこにボタンがついてて、それを自分で押さないとドア開かないんですよ。で、そんときドアんとこに高校生のカップルがいて、男の方がちょうどその開閉ボタンのある位置でなんかカッコつけて寄っかかって女と話してたんですね。普通その場所にいて人が近づいてきたら、あ、降りたいんだなってわかるじゃないですか。でもそいつおれが近くまで行ってもぜんぜん避けないというか完全に無視で。停車時間は限られてるんだから、おれは焦ってイラッとしながら「あーちょっとごめんね」つって男の子を強引に押しのけて開閉ボタン押したんだけどウンともスンともいわないの。なぜなら反対側のドアだったから。ホーム無いほう。ドア開かないほう。開いても線路。外まっ暗だったからわかんなかった。高校生カップル無言で見てるし、バツが悪すぎて妙に落ち着きを装った声で「あ、逆か」って言っちゃった。あのとき死ねばよかった。

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