墓石の営業の話

こないだ大きな墓地の近くにある石材店の前を通りかかって思い出した話なんですけど、うちの父は20年ほど前に亡くなってるんですけど、亡くなった次の日、我々家族が深い悲しみに暮れているそんなところに石材店から電話がかかってきたんですね。「墓石のほうの御用命はございませんか」って。信じられます?なんちゅう商売だよ。もう母親は怒り狂っちゃって「少しは人の気持ちも考えてください!」って受話器を叩きつけてオイオイ泣いてましたよ。当時のおれはまだ社会に出たばっかりで世の中のこと何もわかってなかったから、なんかこう死神というか喪黒福造というか、とにかくそんなフィクションみたいな電話がかかってきたことにまずびっくりしたんですよね。そんでその電話の主にも、よくそんな人から憎まれるようなことして平気でいられるな、と思ったりしたんですけど、きっとその人も平気ではなかったんじゃないかと思いますね。嫌だ憂鬱だと思いながらも社長の方針で仕方なく電話かけてたんじゃないかなとか、今となってはその営業マンには同情や憐みのような気持ちが湧いてきますね。でも中にはそんな会社でイキイキと営業しまくって成績上げてる奴とかもいるのかな。いるかもしれないな。いろんな人がいるからね。

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