弱い人

人生で「1番自分が弱かった」と思う時期がある。小学生の頃だ。僕はいじめっ子グループに属していた。いわゆるガキ大将側に着いていた。いじめられるのが怖くて、その子に嫌われないように機嫌をとる日々だった。

そのガキ大将も根は悪くなかったから、例えばトイレに閉じ込めて上から水をかけるとか、カツアゲするとかはなかったんだけど、ドラえもんで言うところのやはりジャイアンで、僕はスネ夫だった。そしてスネ夫は何人もいた。

今でもそういった過去を思い出しては部屋で1人変な声を静かにあげたりする。僕は嫌な過去を思い出してはデタラメなフランス語みたいな言葉を発して誤魔化そうとする変な癖がある。誰かが見てたら心配するだろうし、誰かが見てればそんなことはしないけど。

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ネットの世界では暴言や誹謗中傷が後を立たない。昨日はその話題で持ちきりだった。それを見るたび思うのは、「あぁ、この人たちは弱いんだな」ということ。

僕も弱い。すぐに弱音を吐くし、最悪な自体を常に想像しては不安に負けたりする。そんな僕から見ても弱いと思うのは、悪口を言う人だ。

誰だって気に入らない人はいる。僕にだって嫌いな人はいる。人には悪がある。それをたまに漏らしてしまうこともあるかもしれないけど、名指しでぶつける事は無い。思っても心の中でその悪が消えるのを待つ。

でも弱い人は、心の中で生まれた悪に勝てない。自分の悪に勝てないのだ。だから我慢できずに吐き出してしまう。愚痴っぽい独り言ならまだいい。だけど、本人にぶつけないと気が済まない人がいる。少しでも自分の中の悪を体から出したいのだろう。

匿名性のあるネットの世界ではそれが加速する。言ったところでバレないだろうとか、そういう甘えからさらに人は弱くなる。(実際のところ特定は可能だけど知らない人が多い)

リアルな世界なら「言い返されるかも」とかいう恐怖や、「面と向かって叫ぶまでのエネルギー」が無かったりして、ランチタイムの陰口で消化するのだろう。

でもネットはある意味リアルより鮮明だ。たとえ独り言でも本人に届く可能性があるし、記録に残る。SNSでの悪口が、ランチタイムの陰口と同じだと思ってるならそれは大間違いだ。その声は地球の裏側まで届く。

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他者を傷つける人は、弱い人だ。自分の悪を外に出しても、その悪は自分の体にこびり付く。気付けば自分自身の悪が体で覆われていて、悪人として生きるしか出来なくなってしまう。

誰もあなたの中に生まれる悪を否定はしない。自分の中に正義がある以上は、その対極には悪がある。それは自然なこと。けど、それに負けないで欲しい。自分が弱いと認めることから始めて欲しい。

僕らは弱い。その自覚があるから人に優しくできるんだ。

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