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憲法を使った舞台作品まとめ

かもめマシーン「俺が代」は、日本国憲法をテキストにした作品ですが、日本国憲法そのものだったり、日本国憲法を使った作品を上演している劇団は実は少なくありません。そこで、これまで日本国憲法を使った演劇・ダンス作品のまとめ。

笠井叡「日本国憲法を踊る」

愛知県芸術劇場では、僕らがやる翌日に、この作品を上演する。笠井叡といえば、土方巽、大野一雄らとともに舞踏の草創期から活動していたレジェンドである。例えて言うならば、ニール・ヤングといっしょの枠でイベントをやるくらいすごいことなのである(例えが適切であるかはわからない)。まさか、そんな人物とセット券が発売されることになるとは、思いもよらなかったよ。
さて、この作品は、2013年に、大野一雄フェスティバルにて発表されたもの。この功績により、芸術選奨文部科学大臣賞舞踊部門を受賞している。

2016年に発表した作品のチラシには

今回、オイリュトミー公演において、日本国憲法を取り上げたのは、政治的な衝動からではなく、私たちの方だを支える衝動としてこの憲法を捉え、それを舞台作品として上演したいと思います。内容は、大日本帝国憲法(明治22年)から始まり、フランス人権宣言、古事記冒頭の国産みの神話、天皇による玉音放送を経て、昭和21年公布の日本国憲法にまで、カラダとコトバを通して、表出してみたい、と思います。

と書かれている。残念ながら未見だが、僕はとても共感を覚える。

ままごと『あたらしい憲法のはなし』

柴幸男氏による作品。憲法を原作に、架空の島国を描いている。パルテノン多摩の水上舞台で上演された。
こちらから戯曲をダウンロードできる。

柴氏はこの作品について次のように経緯を語っている。

前々から(あたらしい憲法のはなし)を、やりたいなと思っていたのですが、今回パルテノン多摩の方からなにかやらないか、という打診がありました。
パルテノン多摩は野外だから、劇場でやるよりも堅苦しくなく、市民劇のようなかたちで気持ちよくやれるんじゃないかと思ったんです。ワイルダーが持っているような抜けるような空気感を、憲法で語れるかもしれない、と。
https://synodos.jp/culture/15882

小嶋一郎『日本国憲法』


現在、四国で活動している「250km圏内」の小嶋一郎氏による作品。
フェスティバル/トーキョー10の作品として、自由学園明日館で上演されたほか、京都芸術センターでも上演され、京都芸術センター舞台芸術賞大賞を受賞。

批評家の渋皮まろん氏によれば以下のような作品である。

京都芸術センター舞台芸術賞大賞を受賞した《日本国憲法》*1は、客席が設定されず出入りは自由、「日本国憲法」を単なる音として発話する俳優たちを間近でまたは遠巻きに体験する空間を設計し、「憲法」と私たちの物理的な/意味的な距離感を可視化した。私たちの無意識に沈んでいる「日本国憲法」をもう一度〈私〉の価値観を揺るがせる他者として開示してみせること、そうすることで〈私〉にとっての憲法とは何かを問い直し、その新しい意味へ自由にアクセスできる〈公共空間〉を仮設した


地点『CHITENの近現代語』

京都を拠点に活動する劇団「地点」による作品。ただし、こちらは日本国憲法ではなく、大日本帝国憲法。劇団の解説には以下のような説明がある。

『CHITENの近現代語』の前身は2006年に初演された『話セバ解カル』(後に『木堂先生』に改訂)。2011年夏に上演された『his master's voice』を経て、F/T「なにもない空間からの朗読会」のために制作された。日本の近代の始まりから終わり、すなわち大日本帝国憲法の制定から敗戦に至るまでを、文体も用途もバラバラな言葉をコラージュすることによって描いた地点の隠れた名作。カフェ・モンタージュでの継続的な上演により、磨きがかけられた。http://chiten.org/archive/archives/59

僕は、たまたま8月15日にこの作品を、彼らのアトリエであるアンダースローで見て、すごく印象に残っている。ただ、なぜかスイカを持ったシーンがいちばん印象に残っているのだが。

その他

この他に、今年の4〜5月には、日暮里のd倉庫、日本国憲法を上演するという形のシリーズ上演が行われる。ノアノオモチャバコ、IDIOT SAVANT theater company、中野坂上デーモンズの憂鬱、Super Dといった集団が日本国憲法を上演するほか、詳細は明らかにされていないのだが、三鷹のSCOOLでも、5月3日に日本国憲法が上演されるという。

あるいは、(大変申し訳無いことに未読なのだが)「非戦を叫ぶ演劇人の会」という団体でも憲法についての作品を上演していて、劇団チャリT企画の楢原拓さんらが戯曲を下記に掲載している。

あるいは、関西の劇作家・くるみざわしん氏は「振って、振られて」という作品を上演しているし、

横浜では『がんばれッ!日本国憲法ーわたしたちの憲法劇ー』という作品が毎年上演されている(なんと25年以上!)

あるいは今は亡き観世栄夫も、「群読 日本国憲法」という小作品を演出していた。


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