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月曜モカ子の私的モチーフ vol.165 「管理担当者」

 ”note”で書く月モカ!2回目。先週noteを投稿してから、文月悠光ちゃんのページを見に行って、あまりにも美しくカスタムされていておののく。
「へえ、こんなことできちゃうのか!」とびっくりしきり。
「マガジン」てなんなんだろうと思っていたけど、つまりはこの月モカは、
月モカでまとめていくわけだから「マガジン」になるのねと理解。

 物事ってシンクロするっていうけど、シンクロの不思議って結構ある。
 先週妹が「来週東銀座のとあるスペイン料理行くんやけどさ」
それで名前聞いてみたら、ちょうど先週わたしが行ったところだった。
聞けば妹の友人の義理の弟の店らしい。「ああ!いたよそのスペイン人の彼!」覚えてる覚えてる、なんたる偶然。
 先週ちらっと書いた牡牛座の新月の話も、なぜかその前の土曜に、バイト先のワインバーに常連さんが来て、バリバリキャリアウーマンの女の方で、全然そんなイメージなかったのに「ここだけの話、わたし昔占いの学校通ったことあるのよ」それでこれまで一度も占いの話したことがなかったのに、わたしのことを星廻りで見てくれた。
 その時に、占星術には角度というのがあって、29度を超えると次の星になるということを教わった。つまり、わたしは月の星座が牡牛座らしいのだが、その角度が29度に近いところにあって、つまりはふたご座に移行しつつある牡牛座だから、牡牛座と言ってもふたご座っぽいところがあるということだった。
 そういう話を聞いていたので、7年ぶりに天王星が牡羊座から牡牛座に入るというのは、いわゆる角度でいうと29度を超えるということなのだな、とか、頭の中でイメージできたし、なんでも羊だと思っていた自分の月の星座が牡牛座であることを知り「牡牛座っていうのはね」とレクチャーを受けていたので、今回の天体移動に関して、理解が早かった。
今朝は「スッキリ!」で鍵屋の特集をやっていたのだが、なぜか今日、わたしの家にも突然鍵屋がやってきた。ああシンクロ、ああ不思議。

 わたしの新しい家には管理担当者がいる。
 もちろんどんなマンションにも管理人はいるのだが、この家は特殊で、
ありとあらゆることをその管理担当者がやるので、困った時は彼に連絡をしてくださいということ。この彼が、しこたま! 変わっている人で、
わたしにはその変わりどころが非常に面白く、この人が管理してくれる家って面白そう! というのもこの家に住んだ動機の一つにあった。
 その彼は、不動産会社だけど、そこに野心も目標はありません! というタイプの人で、年齢はわからない。たぶん結構上なんだけども茶髪で、ミュージシャンがスーツ着ているような人。生真面目で丁寧で、ちょっと、いや、だいぶ焦げている(オタクっぽいって意味)。自分の人生を大事に生きているてマイペース。定期的に、今ここで起こっていることを、自分が最近見た映画になぞらえて話してくるのだが、タイトルを全く覚えていない。
ちょっとこの人の変わり方を説明するのが難しいので、今後もちょこちょこエピソードで話そうと思うのだが、まず今日はいくつか家に気になる点があって来てもらった。
 扉の外の電球の変え方がわからないという、呼ぶまでもない案件からやってもらい、電球の中身がミニクリプトンだとわかったのだが、わたしが「クリプトンかぁ……家にないわ」と言ったら、突然、
「買ってまいります」

 え? 管理の人って普通そこまでしてくれるの?
わたしがびっくりしている間に、彼はサササーと電球を買いに行ってしまった。その出かける前に大変激しい、トランスみたいな着信音が鳴る。
わたしに気を使って全然でないのでトランスは鳴り続ける。
「え、出ていいですよ!」と言っても出ずに、とりあえず電球買ってきますと言うときに、
「ちょっとね、勇ましい音楽で申し訳ないんですが、これを聞くとね、頑張らないとと言う気になりまして」と彼ははにかみながら出て行った。
 こんなにもマイペースで、野心もないのに、なぜこんな盛大な音楽に背中を押されて日々を過ごしているのか謎。

 前述したカギのことは、その人が鍵屋に電話をしてくれて、ちょっと建てつけが悪かった玄関を直してくれたのだが、わたしは、台所のシンクの中の長方形型の網が、入居当時から古かったのがすごく気になっていて「これ新しいのにしてほしいんですけど」と言うとまた、「買ってまいります」
「え? こんなのそこいらに売ってるんですか!?」
わたしとしてはメーカーの品番を控えて、発注し後日持ってくる形だと思ったのだ。しかし管理担当者の I 氏が、そういうのが売ってるところが後楽園にあるからというので、もうこれは管理のプロに任せようと思い、わかりました、と言った。彼が「買い物パート2」に行ってる間に鍵屋が来て、扉を直してくれた。そのあとI氏から電話。
「あのう、こちらにはどうも今もう丸型のものしかないそうなんです」
「あ、そうですか」
やっぱり、と思いながら答えているとI氏、

「あのう、やっぱり、丸型では具合悪いです・・・よね?」

 具合悪いも何も・・・はまらへんやろ! シンクの底、四角なんやから。
 野菜のカスとか、こぼれて行くやろ!

 結果 I 氏は戻って来て、シンクの下の扉を開けて品番の写メをとって帰って行った。そうそう、それよ、わたしが最初にイメージしていた手順。
後楽園まで行って無駄足して疲れているかと思えば、けっこう楽しい様子。
「いま、あんまり忙しくないし、僕、管理がメインですから」
そしてまた、話すのは上手で、それ観たいってなるのに、タイトルも、役者の名前もわからない映画の話をして I 氏は帰って行った。
  雑談とかして仲よさそう、に見えると思うが、彼はとっても真面目だから、わたしと話す時も常に何メートルか離れて、部屋の隅から話して来るし、椅子とかに座ったり絶対しない。

やる気はないです。でも毎日は楽しい。
心にゆとりがあるので、電球なんかもすぐ買ってきてくれる。
そんな、ちょっと変わった、でもこの屋敷に40年いますとかいう執事さんのような我が家の管理担当者 I 氏のお話。


                (文...中島桃果子 / 絵...Mihokingo)

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【New!!】わたしが劇中原稿の制作と主演の中山美穂さんの書く字を書いた映画「蝶の眠り」がGW明けから公開されます!
このHPの予告編にもわたしの手(と字)映ってます!笑
http://chono-nemuri.com/
【New!!】「かぐらむら」はこちらから!
 ■冊子希望→https://artisticpantie.stores.jp/
 ■WEBで読みたい→http://kaguramura.jp/symphony
☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。

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