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月曜モカ子の私的モチーフvol.199「スーパーブラッドウルフムーン」)(2019.01.21 アーカイヴ)

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諸君、すべての諸君に捧ぐまえがき

まず、君は「おとな」かね、それとも「子ども」かね。
もし君が「おとな」であったなら。
これから始まる一切の物語について「何も考えない」ことをお勧めする。
「せいごうせい」だの「つじつま」だの「そんなはずはない!」だのは、
できれば本を閉じてからがよかろうかと思う。
なぜなら我ら「おとな」は、年を重ねて少しづつ、いろんなことが「わかるようになってきた」つもりでいて、その実、ほんとうは、いろんなことがどんどん「わからなくなって」いるのだから。せいごうせい!実際のところそれがピシリと取れた日々が、これまでにあったかね? つじつま、それがあうことで何かほっとしたかね。むしろその逆、つまらないと思わなかったかね。そんなはずはない!でも、そんなはずはないことを積み重ねて、今君はそこにいるのではないかね。

そして子どもの君。
僕たちは君たちから習いたいことがたくさんある。
僕は君たちに、何かを教えようと思ってこの絵本をつくったのではない。
むしろ教えて欲しいんだ。
この惑星(ほし)にまだ来たばかりの君たちに、
僕たちがその日から遠く離れて、忘れてしまった、
大切なことたちを。
だから「子ども」の君、この本を読み終えたら、君が、この物語のことを、
「おとな」に教えてくれないか。
そう、君のパパやママや、親しいおとなたちに。そして僕にも、手紙を送ってほしい。

なぜなら僕は「おとな」で、この絵本を作ったにんげんだけれど、僕自身が、この物語のことを、まだよくわからないでいるから。

「ポッペンバッザーグ女王、何かを掴まえる(仮)”プロローグ”」より

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少し前から月モカに送られてくる近郷画伯の絵がすごいエネルギーを発し始めたので彼女の絵で絵本を作ろう!
と思っていて、その出だしをこんな感じにしようかなと思っています。
とても大切な絵本なので誰かに盗まれたりしないように、ここに「初出」を記しておきます。
今後、この物語の「突拍子もなさ」に、様々な苦難がやってくることと思う。きっと簡単には受け入れてもらえないと思う。なぜなら子どもに届く前に、まず大人がこれを読んで決めるというハードルがあるから。
新しい絵本を作るってことは大人が試されているってことでもあるなあと思う。
                          
ただ、受け入れてもらいにくいかもと思うと同時にひょんなことから「この部分だけは使えるかも」という風に切り貼りして勝手に使われるなんてこともあるかもしれないとも考える。当然ここの部分だけを切り取っても、この先、を正しく綴れなければ物語は生きたものにはならないのだけど、小説と違って絵本にはそういうフレイズのリスクもあるなあと思って、いつも月モカを読んでくださっているみんなに生き証人になってもらおうと思って掲載しました。ある誕生、に立ち会ってくださりありがとう。
わたしがそういうリスクを警戒するって結構意外だとみんな思うかもしれないしわたしも意外なんだけど、それだけこの絵本をわたしが重要な絵本だと考えているってことになるだろうか。

なお今日の満月、東の空に夕方ぽん、と浮かび上がった月がびっくりするほど巨大でしかもちょっとオレンジで、街行く人が見つけて「うわぁ」と叫んでいた。アメリカでは今日の月をスーパーブラッドウルフムーンというらしい。

                            <イラスト=MihoKingo>

☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。

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