見出し画像

月モカ!!vol.275「回る、回る、くるくるまわる」

来る2/17土のラジオ深夜便で朗読されるわたしの小説「はじまりのものがたり」については月モカVol.274👇をご覧ください!

あと昨日の「#日曜TUBE📚」でも話しました!
タイムテーブル[23:42]くらいからです。本日の夕方までにはチャプターついてるかと思われ。


回り出した。それだけ。重たい石の歯車を押せども押せども回らない、そんな3年を過ごしていたから、回り出したことには気づく。
まさにローリング・ストーンズ♫♩旋律を伴って。
回りだすと「上昇」と「回転」はまた違うものなのだと知る。
月モカの読者の方や我が店イーディの常連陣にとってはもう「何度も」聞いた話だと思うが最近わたしを知って今これを読んでくださっている人もいるであろうから再度説明をすると、わたしは約5年前の5/31に人生の水底にコツンとぶつかりその反動で2019年の6/1から上昇を開始した。
気分的には2022年の6月に水面に到達、そこから近刊「宵巴里」をインデペンデント刊行で世に放ったり、最新作「K192」を書いたり、あるいはお店の雰囲気も一昨年より去年、去年より今年、という感じでどんどん良くなっていき、我々(自分とイーディ相方の栞)は上昇を確信していた。
もちろん勝手に上昇したわけでなく、本当にたゆまず努力し続けたのでーーー人生はゆるやかに降下するが上昇を決めた時それには下降の倍いや二乗の時間と努力が必要だと知った小説家は努力を止めることはもうしないーーー上昇していることには間違いなかった、しかし船は前に1メートルも進まなかった。進まなかったばかりか押し戻されているような気さえした。

そう!時は満ちたのだ!!

最新作でありわたしの大傑作は小さな(といえるだろうデビューした時のやつに比べたら)文学賞の下読みすら通過せず「宵巴里」の売れ行きも全くかんばしくない。おまけに飲み屋には全然お客さんが戻ってこず、数ヶ月で250万ほどが飛んだ。そうだな上昇の数値を”ガンバリ”という単位で測るなら「10000ガンバリ」で上昇し続けても運命の圧はさらに倍の単位で持って我々を押し戻す。台風の中、突風の中を押し戻され押し戻され歩くように、
2023年の我々は進んでも進んでも、引き戻された。
ところがどうだろう。突然運命が、我々を「圧する」のを辞めた。そんな感じだ。まだ結果は出ていない。だがしかし我々が「凧(たこ)」だとすると、よくわからない謎の気流に乗って突然ビュン!とスピードが上がり、重力がなくなったような感じ。逆に何かを立ち止まって考える時間もない。

回る、回る、くるくる回る。
くるくる回る、運命の輪。Wheel of fortune…
そうかこれが「回転」か。”上昇”と”回転”は全く違うものなんだな。
風に乗ったが最後「怖いからおろしてください」とは決して言ってはいけない。気流の洗濯機に揉まれ、小さな擦り傷や切り傷に魂が傷んでも、風に乗り続ける。

(だって君は、これをずっと待っていたんだろう? 5年前から。次は絶対ににがさない、と胸に誓って)

審判の声がする。
そうだ。最初の時は分からなかった。
それが運命の風だということも。それに自分が乗って、人生が大きく押し上げられているのだということすらも。
いい仕事はしていた。だけどよくない恋をしていた。大切なことが何か、あまりよくわかっていなかった。若かったのだろう。
けれどそれすら今、運命の風に揉まれて凧のようにくるくる回るわたしの頬を彗星のようにかすめる「美しき蒼の時代」
今わたしはいつかのわたしと4次元の気流の中ですれちがう。
インターステラーのアメリアのように。

軽い。軽い。重力がない場所は軽い。
すべての蒼き過ちを今ロゴス(言葉)は運命の風に溶かすか。
知っている。こういうふうな時は、大きな衝撃波もやってくること。
知っている。自分がそんなにタフな心の持ち主ではないことも。
けれど学んだ。だからくるくる回りながら準備を整える。
何かにぶつかっても、大きく傷まないような体勢を見つけて飛ぶ。

回る回る、くるくる回る。
そのうち誰かにまた嫌われるだろう。
この数年でもずいぶんと多分、嫌われた。
傷つけるつもりはないのです。
ただ風の力が強すぎて、その中で自身の軸を保つのに精一杯。
この風にはぐれないよう、風と呼吸を合わせるのに精一杯。
なのでときおりバランスを崩したわたしの手や指先やつま先が、
近しい誰かにコツンと当たるでしょう。
引っ掻いたつもりも、蹴ったつもりもないんです。
ましてや侮辱するなんて。
嫌われたいわけもない。
けれどもそこまで掌握できるほど、この風は容易くなくて。
人を失う覚悟もしながら、わたし風に身を委ね、運命に巻き取られてゆく。

だってこの時を5年間、ずっと待っていたのです。
上昇していると確信してからの2年は特にきつかった。
やっていることと結果があわない時間は、自身の狂気の可能性を見るから。
狂気が正気か、伝説なのか、只者かーーー。

回る、回る、くるくるまわる。
運命に今、からみとられて身を委ねる。4次元の中で3次元を生きる。
なのでわたし時間を制し、今日はいち早く「月モカ」を書いた。
4次元の中で3次元を生きる。肉体があるからね。
肉体がある限り時間は24時間を刻んでくるから。
それをドット化するには、感覚的に時を止めなくてはならない。
ゆっくり流れているような感じがする1分や2分をひねりだそうか。
カップヌードルができるのを待っている長い3分のように。

わたし、時間を制し、いち早く今日は、月モカを書いたーーー。

著者/大野百合子(ユニティタロット2023)

<月モカvol.275「回る、回る、くるくるまわる」>
※月モカは「月曜モカ子の私的モチーフ」の略です。


「宵巴里」はこちらから☝️購入していただけます!!!

✴︎  ✴︎  ✴︎

☆モチーフとは動機、理由、主題という意味のフランス語の単語です。☆このページを通じて繋がってくださっているあなた! あなたの「いいね!」はわたしの励みになっています、いつもありがとう。

がんこエッセイの経費に充てたいのでサポート大変ありがたいです!