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「青って200色あんねん」セリアで始めるインク沼入門

最近、書店で取り扱っているムック本や、セリアで取り扱いを始めたガラスペン用インクなど、万年筆やつけペン用インクを使い始めやすくなったと感じる。

しかし、「インクが気になるけど、絵の具と何が違うの」思う方もいるだろう。そこで、液体状のインクならではの魅力をお伝えしたい。


「インクの中に複数色あんねん」インクにハマる理由

インクにハマる理由は人それぞれだが、個人的に感じる魅力は「1個でたくさんの色を感じられる」ということである。

万年筆やつけペン用インクに限らず、サインペンやボールペンのインクは、黒、青、赤…など一見単色に見えるが、実は複数色混ぜて作られているものが多い。つまり、200色は誇張しすぎだが、インクの中に複数色あんねん、ということだ。

(ただ、今回の趣旨とは外れるが、染料の組み合わせは無限大のため、実際のインクが200色以上あるのは間違いない。)

とりわけ、万年筆やつけペン用インクは「染料を使った液体」である性質から、たくさんの色を感じやすいのである。このことについては後ほど説明する。

セリアのガラスペン用インク3本

今回、説明に使うのはセリアのガラスペン用インク。1つ税込110円と圧倒的な安さで、初めてインクを使う方も手に取りやすいだろう。

パッケージ裏面の注意書きに記載されているように、インク補充式の万年筆やボールペン等には使用できない。ガラスペンやつけペンと一緒に使う。

ガラスペン用インク コバルトブルー MA-1306 税込110円
JANコード:4978929 913069

こちらは2023年に発売開始した、「ガラスペン用インク コバルトブルー」。

ガラスペン用インク ターコイズブルー MA-1307 税込110円
JANコード:4978929 913076

こちらも2023年に発売開始した、「ガラスペン用インク ターコイズブルー 」。

ガラスペン用インク スカイブルー MA-1479 税込110円
JANコード:4978929 914790

こちらは2024年に発売された新色のひとつ、「ガラスペン用インク スカイブルー 」。

実際に書いてみた

左:コピー用紙
中:コクヨオリジナル原紙
右:ツバメ中性紙フールス

実際にセリアのガラスペン用インクを使って書いてみた。書く用紙によって発色や濃淡の差がある。

インクを水筆で伸ばしてみる

「1個でたくさんの色を感じられる」を実感できるのが、「インクを水筆で伸ばしてみる」こと。以下のものを用意する。

  • 色を塗る筆記具(今回はセリアのガラスペン)

  • 水を入れたコップ

  • 用紙

用紙は水筆を使ったときに、インクが伸ばしやすいものがよい。メーカー品のノートが手頃で使いやすいだろう。

ガラスペンは寝かせると、面で塗りやすい。

インクが完全に乾く前に、水をつけた筆をインクの上から伸ばしていく。比較するために、水をつけていない部分も残しておくといい。

コクヨオリジナル原紙

水筆で伸ばすと、今まで見えていなかった色が現れる。元々の青色のなかに、ピンクや紫が出てきた。シャボン玉のような色合いで幻想的。

ツバメ中性紙フールス

写真で見るより、直接見た方がインクの色変化を感じるので、ぜひやってみてほしい。

ペーパークロマトグラフィーをやってみる

インクを水筆でのばしたとき色が分離するのは、インクに含まれる色素の親和性によるもの。

水性カラーペンのインクは、見た目が1色でも、いろいろな色がまざってできているんだ。インクは、色によって水へのとけ方や紙へのつきやすさがちがう。だから、水が紙にしみて上がっていくとき、それぞれの色のインクが分かれる。このように紙を使ってものを分ける方法を「ペーパークロマトグラフィー」というよ。
監修:秀明大学 大山光晴

実験ペーパークロマトグラフ.学研キッズネット.https://kids.gakken.co.jp/jiyuu/category/try/paper_chromatograph/,(参照 2024-03-21)

「ペーパークロマトグラフィー」を使うと、さらにインク内に含まれている色素がわかりやすい。

こちらのサイトを参考に、セリアのガラスペン用インクで、ペーパークロマトグラフィーをやってみた。

ちなみに、学童用の絵の具を水筆でのばしても色素が分かれない。理由は、色を分離させない比重の顔料を用いた絵の具を採用しているため。

左:コバルトブルー 中:ターコイズブルー 右:スカイブルー

上の帯状の紙が、ペーパークロマトグラフィーをやってみたもの。下の紙は、そのままインクをキッチンペーパーに垂らしたものである。

ペーパークロマトグラフィーをやってみると、今回使ったインクの場合、似た水色の色素を持ちながら、ピンクやグリーン、パープルなど、他の色素が混ざることで、3色違ったインクができたことがわかる。

また、下の紙のように、そのままインクをキッチンペーパーに垂らした状態でも、一部色が分離している。万年筆やつけペン用インクは「液体」であるため、たくさんのインクを紙に含ませやすい。

例えば、中〜太字のガラスペンやつけペンを使ったときは、たくさんのインクが紙にのる。片付けのときに、ペン先をティッシュで拭う。このとき、紙に吸水されやすい色素が分離する。

そのため、日常的に使う場合でもペーパークロマトグラフィーのような状態になりやすいのだ。

紙にのったインクを「きれいだな」と思ったら沼の始まり

青いインクをつけ、ガラスペンを紙に走らせる。インクの濃淡と、インクの中に感じるピンクや紫のゆらきを感じる。そして、「インクってきれいだな」と思う。

そう感じる方はインクを楽しむ才能がある。無限に広がるインク沼に、ぜひ入水してみてほしい。

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